43話 始まり
今回から高校編です!
怠いくらいの快晴だ。登る太陽は暖かい日差しで道を照らす。なのに、僕の歩く道は暗くて、仕方がないから闇雲に歩いている。そんな感じだ。
合格した、星樹高校へ行くには避けては通れない潮見坂を登っていた。周囲には僕と同じく真新しい白の制服を着た人たちが歩いている。
星樹高校の校門に到着した時、異常な心拍数に驚いて立ち止まった。たしかに、潮見坂は急で疲れるのはわかるが、まさかここまで酷いとは思わなかった。受験の時はそこまで苦しく感じなかったのに、どうしたのだろうか。春休みの運動不足のせいだろうか。
こんなところで止まっていては不自然なので、また歩き始め、門をくぐった。
「啓太! おはよう」
向こうから練二がこちらに寄って来た。
「おはよう」
僕は彼に近づいていいのだろうか。彼ならば、年上が入り混じる場所にいたとしても、友達の1人や2人くらいなら簡単に作ることができるだろう。だから、僕は下手に彼に関わらない方がいいのではないかと思った。
彼は僕と共に行動し、楽しい話をする。思わず笑ったり、ツッコミを入れたりと、僕の気持ちを明るくする。これだから、彼は人間として人気があるのだ。さぞ、女子からもモテモテだろう。
ここで感謝の気持ちでなく、羨望を抱くなんて、どんだけ僕はクズなんだよ。仮にも命を救ってもらった恩人なのに、今では感謝の気持ちも申し訳ないという気持ちもあるわけではない。救いようがないな。
入学式が終わり、クラスを確認した。すると、僕と練二は同じクラスであった。彼は嬉しそうに、僕へ輝く目を向けた。ただ、ここにいるはずの亜子は同じクラスには居なかった。それが嬉しくも感じた。その理由はぼんやりと霞んでいて、よくわからない。
「あっ」
オリエンテーションのため、教室に入った瞬間、そこに咲く一輪の花に目を奪われた。忘れるつもりだった。どうせ、次会う機会があるわけでもないし、僕は誰にも近づいてはいけない存在なのだから。なのに……。
あの日、一目惚れしたあの女子生徒が目の前にいた。
制服こそ違うものの、容姿や細かい顔のパーツが一致していた。つい守ってやりたいと思わせる可愛らしい顔に、そっと触れてみたくなる華奢な指先。全てが卑怯だと思える天からの恵みものであった。
「啓太? あ、もしかして」
「ん? あっ、ち、違う!」
彼女の美しさに魅了されていた僕は、数秒立ち止まって固まってしまった。そのせいで、練二に恋心がバレてしまう。
練二はニヤつきながら耳元で「どの子?」と訊ねる。慌てて否定したのも焼け石に水であった。
「あ、あの子でしょ。あの赤いゴムでポニーテール作ってる子」
図星だ。反論の余地も与えない迅速かつ的確な回答だ。さすが秀才ってところか。
「うん。そう」
もう、開き直って頷いた。でも、なんだか照れ臭い。好きな人を知られることがこんなにも恥ずかしいなんて。
こうして、僕の高校生活が始まった。




