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 「テレビの前の皆さんこんにちは、今週も趣味の園芸の時間がやってまいりました。今回は…」

 だしぬけに携帯のバイブレーションが部屋に響いた。

 克太はびくりと身体を跳ね上げてから、恐る恐る携帯に手を伸ばした。

 ――前にバックレたバイト先からだろうか…。

 克太がその発信者を確認すると、そこに大学一年になったばかりの妹の名前が表示されていた。

 克太は、大きくため息の塊を吐きだすと、携帯をベッドに放り投げた。

 しばらくの間、携帯は振動し続けたが、やがて鳴りやんだ。

 克太はそれを確認するとまたテレビの方をぼんやりと眺め始めた。

 ふと、克太は自分の空腹に気がつく。

 ――腹減ったな…。

 そういえば昨日の晩から何も食べてなかったな。はぁ、面倒だけど何か食べるか。

 何かすぐ食べれるものあったかな…。

 克太は腰を重そうにのっそりと上げると台所に向かった。

 台所の収納を一つ一つ開けていく。

 「あ、乾麺があるな。これでいいか」

 克太は小さめのアルミの鍋を出すと水道水をなみなみと注いだ。

 かちかちとガスコンロに点火して、水が沸騰するのをぼうっとして待った。

 手持無沙汰になった克太は、先ほどのニュースを思い返して煩悶した。

 特に作家のコメンテーターの言葉に腹が立ってきた。

 ――無職全員が全員、犯罪者になる訳でもないだろうに。

 確かに社会を蔑視しているという点は否定できないけど…。

 そもそもこの無職が増えた社会、誰が悪いとか決められることなのだろうか。

 俺自身が悪い、きっとそうだろう。社会が悪い、きっとそうだろう。

 親が悪い、遺伝と環境か…、それもあるかもしれない。

 いや、原因はもうどうでもいいんだ…。

 俺はこう育ってしまった。もう働きたくないという気持ちが強くなり過ぎた。

 これからどうするかが、問題なんだ。

 これからなんだ…、これから…。

 鍋の水はすでに沸騰してぼこぼこと湯だっていた。

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