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穂村花音は苛立っていた。
せっかくの休日に買い物をしに、中心街まで出かけてきたのだが、電車が事故で運転見合わせてとなり、帰れなくなっていた。
「なんで私の休日に限って事故なんか起こすのよ」
花音は両手にブランドのロゴが書いてある紙袋を四つ抱えながら愚痴を溢した。
花音は混雑を極める駅を出て、バス停に向かう。
バス停には長蛇の列が出来上がっていた。
タクシーも同様だった。
「はぁ、もう最悪…。早く帰りたかったけど…。どこかで時間潰そうかしら」
そう言ってバス停を離れて、商店街へと向かった。
しばらく商店街をぶらぶらとして、丁度空いてる喫茶店を見つけた。
――ここでいいかしら…。
花音はその喫茶店の中に入って行った。




