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喫茶店に着いた二人は、それぞれアイスコーヒーを頼んだ。
コーヒーが運ばれてくると二人はシロップとミルクを入れてからストローを吸った。
克太が一息入れてから話を始めた。
「もうここに来るまでに、聞きたいこと全部聞いちゃったよ」
ソフィアは一口コーヒーを飲んで顔を上げた。
「そうですか…」
「後は一週間以内に、僕がほんとうにソフィアを信じられるかどうかだけだね…」
ソフィアはきりりと顔を引き締めて、
「はい」と答えた。
ソフィアは身を乗り出して、話し始める。
「実は克太さんにお願いがあります」
ソフィアはそう言って、スマホを取り出して時間を確認した。時計は午後三時を表示していた。
「克太さん、この喫茶店には五時までいましょう。そうすればあなたに有益な縁がありますっ」
ソフィアはぐぐっと顔を克太に近づけて力強く言った。
克太は気圧されて、体を若干引きつつ答えた。
「そ、そうなの。じゃあとりあえず五時まで待ってみるけど」
「はいっ、是非そうして下さい!」
そうして二人は五時まで、この喫茶店で駄弁ることにした。
克太がソフィアに聞きたいことは無くなってしまったので、今度はソフィアが克太に質問をし始めた。
ソフィアは、人間界の事をあまり知らなかったので、ひっきりなしに克太に質問した。
そうこうしているうちに、時計は五時五分前になっていた。
克太は時計を確認するとソフィアに向かって言った。
「もうすぐ五時だね…」
ソフィアは緊張した面持ちでそれに答えた。
「はい…」
二人は空になったコーヒーのプラスチックカップを呆然と眺めていた。




