第96話 他所の街
今回はいつもより長め(4291文字でいつもは2500前後)
ホントは昨日のうちに仕上げるつもりが、睡眠不足だったせいかすぐに寝てしまい遅くなってしまいました。
すみません!
際→祭 と、誤字の訂正しました。
室内に入ると、そこには身長170㎝程のリカルト王だけではなく、フローリア王女の姿もあった。
「さぁ、ナツキ殿、それに奥方達も、座って下され」
リカルト王に進められるままに、俺達はリカルト王とフローリア王女の二人と向かい合うようにして座る。
そしてサラは俺の頭の上に着地し、お座り上体に、ディーは俺の目の前に降り立ち、リラックスした姿で、リカルト王とフローリア王女の二人の方を向いていた。
「さて、ワシからナツキ殿に、いや、ナツキ殿とウンディーネ様に聞いておきたい事がある」
俺とディーは、何だろうか?と二人そろって少し首をかしげる。
「まず先にウンディーネ様」
「何かしら?」
「ウンディーネ様はナツキ殿と契約をしたという事は、やはりナツキ殿について行く、という事で間違いないですか?」
「もちろんヌシ様についていきます。それこそが我らが母の意思でございますから」
このディーの一言にリカルト王より先にフローリア王女が反応する。
「母の意思、でございますか?」
我らが母というのはきっと女神さまの事だろう。
しかしそれをリカルト王やフローリア王女、それにマルガの3人に話しても良いものなのだろうか?
ディーとリカルトの会話に、俺の頭は瞬時にその事について考えていた。
そして、女神様の存在や俺の事情について知っているミール達が、心配そうな表情で俺の方を見ている。
そんな俺達の方、というよりも俺へと顔を向けると、念話で『この人たちには話しておいた方がよいと思いますので』と話しかけて来た。
確かに、この国のトップ(俺を覗いて)には、他言無用という事で事情を話しておく方が今後は何かと助かる事もあるだろう。
もし俺に対し不利益な事をして来たら、その時は全力で対処すればいいだけだ。
それが政治的な事ならだろうが、力づくな事だろうが、きっと何とかなるだろう。
そう瞬時に判断し、ディーに向かって頷いた。
「我らの母、つまりはこの世界を管理している運命の女神モイラ様でございます」
「なんと!?」
「まぁ!?」
「!?」
ディーの言葉に、リカルト王とフローリア王女、そしてマルガの3人は驚き、目を見開く。
「あ~、そのなんというか、女神様の事もなんですけど、これから話すことは他言無用でお願いしますね」
そう前置きをし、俺は自分がこの世界の人間ではない事や、これからすべき事について話し始める。
もちろん残り4匹いるらしい[世界を蝕む闇]という存在の事も含めて。
「なるほど。わかった!今の話は決して漏らさぬようにしよう!フローリアも、そしてマルガもよいな?」
「ええ」
「はい!」
正直なところ、俺が異世界人だとか知られることくらいは別に構わないだろう。
俺が目立ちたくないという理由なのだから。
それ以外の事、つまりギルドランクや俺自身の強さ、そして一国の王女様を嫁にし、更には(本人の意思により)奴隷という身分になっている事ですでに目立ちまくっているのだが、それ以上に目立つことが無い様、どうせなら異世界人だという事は秘密にしておきたい。
しかしそんな俺自身の事とは違い、女神様から頂いたスキルにより人間離れした強さと、サラとの契約により得た精霊の力を合わせてようやく倒せる程の敵が4匹もこの世界に存在し、それがいつ襲ってくるかもわからないなんて事が知れ渡ると、きっと人々に不安が広がってしまう。
だからこそ、この話については俺の存在以上に重要な件として、秘密にしてもらいたいのだ。
「ところで、ウンディーネ様?」
「何かしら?」
「ウンディーネ様がナツキ殿について行くというは、次の水精祭は来ていただけないのですか?」
「水精祭?」
気になり、つい口を挟んでしまった俺の疑問に答えてくれたのはフローリア王女だった。
「ジラール湖と呼ばれる、この国で一番大きく美しい湖がありまして、毎年春を迎える行事として執り行われているお祭りです」
「へぇ~なるほど」
ジラール湖で毎年行われる祭りと聞き、以前にマルガが話していたのを思い出した。
あの時の話に出ていた祭りというのが水精祭だったようだ。
っていうか、ディー…君はその祭りに参加していたのか。
「っとすみません話の腰を折ってしまって。どうぞ続けてください」
会話に止めてしまった事に、申し訳ないといった表情でリカルト王に謝罪すると、リカルト王は「気にするでない」と小さく首を横に振り、再びディーに視線を向ける。
「もちろん今年も行きます。とはいっても、今年からはヌシ様の承諾を得れれば、という事になりますが」
そう言いながらディーは俺の穂へと首を向ける。
そんなディーの頭を撫でつつ、俺は笑顔で答えた。
「よっぽどの事が無い限りは止めないよ。
というか、俺達もその祭りについて行きたいと思うしね」
俺の返事を聞き、ディーはこちらに向かってニコッとした後、リカルト王の方へと再び顔を向ける。
「だそうです」
「おお!参加していただけるのですね!ナツキ殿達も是非その時は来て下され」
「よかったですね父上!これで今年もウンディーネ様に挑戦する事ができます!」
「ディーに挑戦?」
「はい。あれは5年前の祭り前日の晩の事です」
そう言って話し始めたフローリア王女によると、ディーがフローリア王女の夢の中に水色の光となって現れ、水精際に人の姿になってコッソリと参加する。
だからそれをフローリア王女、もしくはリカルト王が見つけてみなさいと言ったそうだ。
次の日の朝、夢で聞いた内容をにリカルト王へと伝えると、リカルト王は必ず自分が見つけ出す!と、張り切って祭りへと参加するようになったらしい。
因みにルールとして、決してリカルト王とフローリア王女以外には、ディーが祭りに参加している事を知られてはいけないという事らしく。
祭りの中で怪しいと思った人物の名前を聞いておき、祭りの終わった夜に、フローリア王女が夢の中でディーにその人物の名を言って確認するといったやり方となっているらしい。
結局それから現在に至るまで、毎年の様に二人の勝負が続いているのだが、結果はリカルト王が全敗中である。
「今年こそは必ずやウンディーネ様を見つけてみせます!」
「ふふっ、今年こそ私を見つけれるよう、頑張ってくださいね」
今年も挑戦するという、リカルト王の意気込みに、余裕を見せつけるディー。
きっとこの二人は、この勝負が年に一度の楽しみとなっているのだろう。
「あ、そうそう、今後の事を考えて、私と連絡が取れるよう、フローリアにスキルを与えておきましょう」
そう言ってディーはテーブルから浮かび上がり、フローリア王女の顔の前へとフヨフヨと移動し、その小さな前足をフローリア王女の額へと当てる。
「さぁ、目を閉じて身体から力を抜いて」
ディーに言われるままに、フローリア王女は目を閉じてディーにその身を委ねる。
するとディーの小さな前足が淡く輝き、次の瞬間スゥっと光がフローリア王女の中へと入るように消えて行く。
「終わったわよ、もう目を開けてもいいわ」
フローリア王女はゆっくりと目を開く。
「今フローリアに与えたのは、水を使って私と連絡を取ることの出来るスキルよ。
何でもいいから容器に水を張り、そこに先程のスキルを使えば私と話す事が出来るから、何かあったらそれを使うといいわ」
「その様な素敵なスキルを私に…ありがとうございます!ウンディーネ様」
フフフッと小さく笑い、ディーは再び俺の前まで戻って来た。
「で?リカルトが私に聞きたいことは以上でいいのかしら?」
「はい。どうしても昨日のナツキ殿とウンディーネ様の契約を結んだ時より気になっていましたが、今後も参加して頂けると聞けて安心しました」
「じゃあ次は俺の番かな?」
リカルト王のディーへの話が終わり、次は俺の番だと思い話を進めようとしたが、リカルト王は小さく首を横に振る。
「ワシがナツキ殿に聞きたかったのは、一体何故火の精霊王と契約をする事が出来たのか、という事だったのだが、先程のナツキ殿の話で知ることが出来たのでな」
「そうでしたか。まぁ先程も申しました通り、今回の話はくれぐれも秘密にお願いします」
「ああ、わかっておるとも、ゴルドの方にもワシの方から伝えておく」
「私も決して人には漏らしません。例え、どのような事があろうとも絶対に!」
何故かフローリア王女の言葉には気迫のこもったものを感じるのは気のせいだろうか?
そのせいか、俺は苦笑いを浮かべていた。
「さてと、ワシの方から聞きたい事は以上なのだが、ナツキ殿達の方は何かないのか?」
そう聞かれ俺は少し考えてみたが、今のところ何も思いつく事は何も無かった。
「特にはありませんね」
「ならばこれにて終わりにしようと思うのだが、ナツキ殿はこの後どうする予定なのだ?」
「そうですね、とりあえず今回のこの国への訪問は1週間を予定していたので、残りの時間はこの国で冒険者として宿を取って、ギルドで依頼を受けたり観光したりしようかなって思ってます」
「宿を取らなくても昨日使ってもらった部屋を利用してもらって構わぬのだぞ?」
リカルト王の申し出は嬉しいのだが、そうなるとこの城から毎日ギルドへと通う事になり目立ってしまう。
それに宿を取った方が気分的には楽なのだ。
確かに風呂があり、世話してくれるメイドの居るこの城は快適だろうが、それよりも俺は気楽に寝起き出来る宿の方が良いのだ。
「いえ、お気持ちは嬉しいのですが、やはりここから毎日街の方へと行き来していては余計に目立ってしまいますから」
「確かに連日城に出入りしていては目立ってしまうか…」
「まぁそういう事です」
リカルト王は残念そうな表情になるが、直ぐにまた元の表情に戻り、マルガへと視線を移した。
「ではマルガよ、ワシとフローリアはやらねばならぬ事が溜まっておるから、ナツキ殿達の見送りを頼む」
「畏まりました。では皆さまこちらへ」
席を立ち、廊下へと続く扉を開くマルガに導かれ、俺たちはリカルト王とフローリア王女に挨拶をして会議室を後にした。
そしてその後、マルガの後をついて歩き、俺達は城の入り口へとやって来た。
「マルガさん、短い間でしたがお世話になりました」
「いえ、私はメイドとして当たり前の事をしただけです」
そう言い、マルガはニッコリと笑顔で答え、俺もそれに笑顔で答える。
「さて、それじゃ俺達はこれで」
その後、ミール、ノア、シア、ミリー、エル、レイ、そしてサラとディーといった順にマルガと別れの挨拶を交わし、俺たちは城を後にする。
これから数日の間過ごす為の宿を求め、俺達7人と2匹はそれぞれのしたい事を話し合いながらも、見知らぬ通りを歩いて行く。
次回 第97話 たまには冒険者らしく~前半~
書き終わってからタイトルがほとんど関係ないんじゃね?なんて思いましたが、今回のタイトル変更はしてません!
あえてこのままにしました!
それと、ここ数日の間に評価をしてくれた方、ありがとうございます!
より一層、良い評価を頂ける様、今後も努力しようと思います!
(まずは投稿速度のアップあたりを)




