第84話 水の国に向けて出発!
見直している間に見つかった誤字が沢山ありましたので直して行ったのですが、もしまだ他にまだあって見つけた場合、ご連絡いただけるとありがいです。
ちょっと最後の方を一部訂正しました。
(買い物に行く前後あたりです)
温泉宿の名前についても考えないといけない事が抜けていたので、2カ所ほど訂正しました。
他の皆より先に朝食を済ませると、まだ食事中のミール達に「それじゃちょっと用事を済ませてくる、昼前には全部終わるから」と伝え、席を立ち家をでる。
そしてその足で従業員達専用の建物へと向い歩き始めた。
道中、温泉宿と従業員達専用の建物の名前をそろそろ決めておこうと考えた俺は、まずは従業員たちの住む建物から先に決めようと、あれこれと考えながら歩いていた。
あの建物を造った時はアパートだと言っていたのだが、どう見てもあの建物はアパートと呼べるような外見ではない。
そもそも俺自身、アパートだのハイツだのコーポだの○○荘だのという区別が良く分かっていないのだ。
だがしかし!あれはアパートという部類ではないとだけは言える!
あの建物の入り口なんて旅館の様な佇まいだし、部屋数もかなり多い、それに建物の形は上空から見ると「王」の文字の形である。
むしろコッチの方が旅館っぽくね!?
いや・・・それは考えたらダメだ!あそこは間違いなく従業員専用社宅だ!
おっと、何時までもそんな事考えている場合じゃない、何か良い呼び名を考えなければ・・・
これから向う建物の名前について考えつつ、東北東に向けてゆっくりと歩く事25分。
建物が見え始める位置に到着した俺の思いついた名前の候補は3つだった。
1従業員寮
(従業員達が住む寮だからそのままの意味で)
2オルリア荘
(地名から)
3温泉寮
(温泉で働く人達が住む旅館、そしてこの建物にも温泉があるから)
だめだ、どれもパッとしない!全く良い名前が思い浮かばない。
どうやら俺にはセンスが足りないようだ。
ならば、コレからあの建物に住む人達にもアイデアを募ってみようと決め、俺は更に先へと進む。
目的地である建物が見えてくると、入り内の前には既に人だかりが出来ていた。
どうやら既に皆集まっていたようだ。
時間的には予定の5分前くらいである。
やはりこの世界でも5分前行動というのが常識なのかもしれない。
そんな事を思いながら、俺は皆の集まっている場所まで進み、立ち止まる。
「おはようございます皆さん。
早速ですが今後の予定について説明させて貰います」
温泉旅館の従業員となる人達の視線を浴びながら、今後について話し始める。
とりあえず今日のところは各自の部屋に置いてある荷物の整理をしてもらい、あとは自由時間。
明日からは、午前中に我が家のメイド達から、礼儀作法を身につけてもらう為に練習をして貰う。
因みにこのメイド達による礼儀作法の指南については、昨日の焼肉パーティー中にタリアへとお願いし、他のメイド達にも伝えてもらっている。
そして昼食を含む1時間の休憩をとり、午後からはそれぞれの分野の作業や練習をしてもらうといった内容だ。
尚、それぞれの分野での作業や練習とは、次の通りだ。
☆力タイプの人☆
周囲の森を村の方角に向けて伐採していく事、そして一定量(2,3日分)の薪作りや炭の作成。
(尚この森の伐採は正規の仕事内容とは異なる為、それなりの額を給料に上乗せを約束)
☆魔力タイプの人☆
温泉旅館や従業員達の住む建物で使う、換気扇等を動かすのに必要となる魔力をメモリーストーンへと込める作業。
☆料理タイプの人☆
我が家のメイド達と、更なる料理の腕の向上を目指し、研究と練習をしてもらう。
(材料は限られているので、練習=ここに住む人達の食事を作る事とする)
以上の3点である。
そして最後に、温泉旅館で働き始めるその日まで、料理タイプの人達以外は終業時間を5時ですと伝える。
「とまぁ以上の事を、今日からとりあえず1週間の間、皆さんにしてもらう仕事となります。
今日の午後から私は水の国へと行かねばなりませんので不在となりますが、何か困った事があれば、我が家のメイド長であるタリアさんに報告しておいてください。
可能な事であればすぐに対処するでしょうが、もし彼女でも無理だと判断した場合は、私が戻るまで保留とさせてもらいます」
まぁ、俺自身でも解決出来ない事の場合は諦めて貰うしかないのだが、それは言わないでおくとしよう。
さて、今の所話しておくのはコレくらいだろう。
という事で、次の話を始める事にする。
「では次に、皆さんに一つ相談したい事があります」
相談という言葉に、従業員達が少しざわめく。
そんな様子を見ながらも話を続ける。
「と言うのも、この皆さんの住む建物と温泉宿の名前をつけたいと思い、まずは皆さんの済む建物の名前について色々考えて見たんですが、どうも良い名前が思いつかないのです。
そこで皆さんにも考えてもらいたい。
今すぐにという訳ではありませんが、私が水の国から戻ってくる時までに各自一つ以上の名前を考えておいてください。
もちろん私ももう一度考えておきますから」
内容を話し終えた後、この相談事の件はあくまでも俺自身の持ち込んだ相談なので、仕事とは一切関係ない事は伝えておいた。
たとえ良い名前が思いつかなくても、仕事内容の査定には一切の影響は無いのだと。
それを聞いて安心している人がちらほら見受けられたので、伝えておくのは正解だっただろう。
でなければ、不安を抱いたまま生活する事になっていたかもしれないのだから。
こうして伝えるべき事を伝え終え、この場を解散とし、各自の部屋で荷物の片付けや整理などへと向かわせ、俺も我が家へと戻るため歩き始めた。
次は家に戻ってメイド達に分担を伝えなければならないのだ。
家に戻った俺は、丁度玄関の前を横切ろうとしていたアルカを引き止め、他のメイド達にリビングに集まってもらうよう伝え、リビングへと入る。
ミール達はどこか出かけているのだろうか、リビングには誰も居なかった。
玄関に靴はあったので、きっと寝室でのんびりとしているのか、風呂でサッパリとしているのだろう。
椅子に座って待つ事2分、リビングに集まった6人のメイド達が俺の前に立ち並び、明日からの事について話し始めた。
「昨日タリアさんから聞いてると思うけど、明日からククリ以外の皆には温泉旅館の従業員達に、礼儀作法の指南や旅館で出す料理の研究や、その腕を磨く為の指南をして貰いたい。
ククリはロム達と一緒に孤児院の子供たちの世話をしてくれ。
一応言っておくが、別にククリの礼儀作法が悪いと言うわけじゃない、むしろ出来ている方だと思う。
ただ、ククリはまだメイドとして働き出して日が浅い、だからまだ人に教えれる程ではないだろうと判断させてもらったんだ」
「はい、分かっています。
確かに今の私では、まだ人に教える程ではありません。
ですから御主人様の判断は正しいと思います」
別に今のままでも十分役に立ってくれているのだが、やはり人に教えるにはそれなりの経験が必要になるだろう。
だからこそ、今回の指南役からククリを外したのである。
そしてその事をうまく伝えらるか心配だったのだが、ククリの表情や返事をする声から、きっと分かってもらえたと思う。
「それじゃそういう事で、皆、明日からよろしく頼む。
この礼はいつか何らかの形で必ず」
そう言い終わるタイミングで、廊下に繋がる扉が開かれる。
そして頭にサラを乗せたミールがリビングへと入ってくると、後ろからノアとシアが続き、更にミリー、エル、レイ、マルガと続いて入って来た。
皆の肌が一様にほんのり紅くなっている所から、一緒に風呂に入っていた様である。
そんな女性陣+サラの姿を見た後、そのまま視線を上にずらし、リビングの入り口の扉の上にある時計へと目をやる。
時刻は11時なろうとしている。
そろそろ食事をして出発すべきだろうと思い、タリア達に食事を頼むと、6人のメイド達が調理場へと向う。
料理が出来るのを待っている間、鍛錬を終えたルークも戻ってきたが、汗をかいていた様なので、先に風呂で汗を流してサッパリしてくるよう進めておいた。
我が家のお風呂は疲れが癒される特別なモノである。
昨日もソレを体験していたルークは、進められるままに風呂へと向って行った。
メイド達が調理場に入ってから15分、昼食が運ばれてきたので、ルークを除くメンバーで先に頂き始めた。
途中、サッパリした姿でリビングにやって来たルークにも昼食が用意される。
そうして全員が食べ終わったのは12時を少し過ぎた頃だった。
「さてと、それじゃ各自荷物を纏めて家の前に集合してくれ」
俺の言葉に、皆が揃って返事をすると、それぞれは自分の荷物のある部屋へと向う。
因みに俺自身の荷物は特に無い!
というよりも普段からアイテムボックスの中に入っているのだ。
そういう訳で俺は先に家の外へと向い、レイに運んでもらうための龍カゴ(大)をアイテムボックスから取り出していた。
その後待つ事5分、マルガとルークが家の中から出てきた。
元々荷物が少なかった事と、忘れ物が無いかだけ確認する程度だった為、すぐに出て来れたらしい。
それから更に待つ事5分、ミール達もゾロゾロと家の中から出て来る。
荷物はミールとシアが持つ皮の袋に入れてきたようだ。
このまま荷物を載せたのでは邪魔になると考えた俺は、ルークの持つ袋と、ミールとシアが持つ袋を預かり、アイテムボックスへと放り込む。
いくら大きめの龍カゴとはいえ、少しでものびのび出来る空間を確保したかった。
なんせ今回は少し長い時間の空の旅になりそうだからだ。
「さぁレイ、今日は頼むよ」
「お任せ下さいマスター」
そう言って元の姿であるドラゴン形態へとその身体を変化させ、龍カゴ(大)を運ぶ為のロープを首に掛けた。
準備は出来た、さぁ出発!
・・・と言いたいところであったが、俺は一つ大事な事に気づく
そういや、力タイプの従業員達に頼んだ森の伐採をする為の斧を用意していない事、そして魔力タイプの従業員達に頼んだ、魔力を込める為の、魔力蓄積タイプのメモリーストーンを用意して居なかった事を・・・
「ごめん皆!ちょっとだけ俺に時間をくれ!」
そう言い残し、家の中へと駆け込んだ俺は、タリアに斧は何処で売っているのかを尋ねると、王都の転移ポイントへとテレポートスキルで移動し、そこから持てる限りの身体能力を生かし、武器屋へと斧を買いに走り、その後は道具屋へメモリーストーンの確保に向う。
そうして無事4本の斧と、20個のメモリーストーンを購入し、王都の転移ポイントから家の中へとテレポートスキルで戻ってきた俺は、買って来た物を全てタリアのアイテムボックスへと預け、待たせていた皆に、もう一度謝罪し今度こそ水の国へと出発したのである。
この日、王都の商業区では2度にわたる突風が巻き起こっていたのだが、その原因が俺である事は誰にも気づかれる事は無かったのである。
次回 第85話 見えて来ました水の国




