第72話 増築
明けましておめでとうございます!
去年の末に高熱を出してしまい、今日までずっと布団の中状態
そして気づけば正月休みも残すところ後たった1日!?
しかも今日は自分でアップ予定と言っていた日と気づき、急ぎ書き続けましたが、次回タイトルのところまで行けそうに無く、申し訳ないと思いながら、72話のタイトルを変更させていただき、現在掛けている所までをアップさせていただきました。
こんな作者ですが、今年もどうかお付き合い頂けるよう、どうかよろしくお願い致します。
マルガによる水の国、アクルーンについての話を聞き終わったのは、始まってから実に1時間が経った頃だった。
マルガの話しによると、アクルーンの王都周辺には綺麗な湖が沢山あり、その中でも特に大きく、水質は透き通る様に綺麗な、ジラール湖と呼ばれる湖があるそうな。
そこでは毎年色々な催しが行われ、その期間中、湖の周辺には沢山の屋台が立ち並び、大勢の人が集まってとても賑わうらしい。
機会があれば皆と一緒に行ってみようかな?
ジラール湖の話しの後には、王都の賑わいっぷりや、王都周辺に沢山の眺めの良い場所があるんだといった、マルガの愛国心を感じられるほど熱く語っていた。
話が一段したマルガは、途中でメイドが運んで来てくれた紅茶を飲み一息ついた。
「マルガ殿はアクルーン国の事が本当に好きなのだな」
「はい!」
アルベルト王の言葉に、マルガは満面の笑みで答えた。
そのタイミングで、コンコンと会議室の扉が軽くノックされ、アルベルト王が入室を許可する。
開かれた扉の向こうに調べ物をしに行っていたタリア達が姿を見せた。
ミリー、エル、レイの3人は俺の後ろに来て立ち、タリアは入り口の横へと立つ。
「タリアよ、調べ物に関する報告をするがよい」
アルベルト王から発言許可を許されたタリアは「はい」と答え一歩前に出る。
「それではナツキ様にご報告申し上げます。面接合格者の犯罪履歴が無いかを調べたところ、全員、犯罪履歴はありませんでした」
「そうか、それはよかった。タリアさん、それにミリーにエルにレイ、ありがとう」
俺が4人の労をねぎらうと、アルベルト王が立ち上がった
「さて、ワシはそろそろ仕事へ戻らねばならんので失礼させてもらうとしよう」
俺やマルガ、ミールにノアにシアも立ち上がり、アルベルト王が会議室から出るのを見送る。
「それじゃ、俺達もマルガさんの泊まってる宿に行きましょう」
時間的にはまだ面接合格者達との集合時間はまだ先だ。
なので、先にマルガの護衛として残された人と合流しておいた方が良いだろう。
俺達は会議室を後にし、そのまま城の外へと向った。
途中、マルガに何処にある宿を使っているのかと尋ねると、どうやらあの見た目の怖い主人ロークの居る宿を利用しているとか。
昨日城に来ていた時、お勧めの宿だとハスマから紹介されたらしい。
確かに食事は美味いし、値段も安い。
だが、さすがに他国の使者に勧めるような宿ではないと思うのだが・・・
城の外へ出ると、そのまま前方に伸びる道を進み、中央広場までやって来ると、そこから東側に少し行った所にある宿へと向う。
俺が先頭を歩き、俺のやや斜め後ろをタリアが付いてきている。
そして更にその後ろでは、マルガを中心に嫁達が囲い込む様な隊列で歩きながら、移動中ずっと仲良くおしゃべりを続けていた。
宿の傍まで来たところで、宿の入り口に一人の背の低い男が立っているのが見えた。
その男は、こちらを、正確にはマルガの姿を見つけてこちらへと近づいて来た。
「マルガ!」
「ルーク!」
名前を呼び会う二人は手を取り合い、まるで再開を果たしたかのような感じになっている。
ルークと呼ばれた男がマルガの事を呼び捨てにしているところと、目の前の二人の状況を見る限り、この二人は仲の良い関係なのだろう。
まぁ、あまり他人の関係に首を突っ込むような事をしたいわけでもないので、詳しくは聞かない事にする。
「護衛に残ったのはルークだったのね」
「ああ、隊長に頼んで残らせてもらったんだ」
「そっか、それじゃルーク、水の国に帰るまで護衛よろしくね?」
「ああ!」
力強く返事をするルークの姿に、マルガは優しい微笑を浮かべていた。
「おっと!いかんいかん」
マルガの方ばかりを見ていたルークが俺達の方を向くと、背筋を伸ばしピシッとした姿勢になった。
「ご挨拶もせずに申し訳ありません!私の名はルーク、この度、水の国の使者として選ばれたマルガの護衛を勤めさせて頂く事になりました!どうかよろしくお願いします!」
「こちらこそ、水の国に行くまでの間だが、よろしく。
これからは堅苦しい事は抜きにして、さっきマルガと話していたように楽な感じにしてくれて良いから。
その方がこちらも楽だしね」
「わかった。ではそうさせてもらおう」
その後ミール達も順に挨拶をしていき、挨拶が終わると、時間にまだ余裕があるので皆で買い物をしようという事となり、西にある商業区へと足を運んだ。
商業区へとやって来た俺達は、ここで2つのチームに別れる。
まずはマルガ達の泊まる場所を作る事を考えてた俺は、タリアと二人で布団や食器等の買い出しに。
そして残りのミール、ノア、シア、ミリー、エル、レイの6人はマルガ達を護衛しながら、一緒に色々と見て回るというチームだ。
とりあえず6時から予定があるので、集合は5時50分には中央広場でと決め、俺達は別々に行動し始めた。
俺とタリアの二人は、布団セットに食器類、その他にも幾つかの小物等を相談しつつ買って行き、最後に道具屋でマジックポーションやロープ等という消耗品の補充する。
買い物を始めてから1時間と少し経ったころ、必要な物は買いそろった。
それでもまだ予定の時間までは1時間半程ある。
そこで俺達は転移場へと向い、そこからスキルで一度我が家へと戻った。
空いている時間で、我が家に客室を造る為だ。
まずは増築する場所を家の外観を見ながら考える。
玄関は行って左手側の突き当たり、つまり俺達の寝室の隣だ。
だが、ここは流石に俺達の寝室から近すぎるので却下だ。
もう二度と無いとは思うが、お客さんが来ている時に防音魔法を付け忘れていたなんて事があっては大変だからな。
まぁ、そんな時くらいするなよという話でもあるのだが、俺にしないという選択肢はまったく無い!
ゴホン!
とにかく、そんな訳で俺の部屋の傍は却下だ!
そうなると玄関から入って右手側、つまりお風呂のある場所の傍はどうだろうか?
トイレもすぐ近くだし、何かあればメイド達もすぐに駆けつけれる。
うむ、ここが良さそうだな!
作る場所が決まり、アイテムボックスの中の木々を取り出し、作る場所付近にピラミッド上に重ねて行く。
そして造る部屋の構造を強くイメージし、一気に創造スキルで造り上げた。
「よし、こんなものだろう。タリアさん、中に入って部屋の仕上げを手伝って下さい」
「畏まりました」
玄関から入り、右側の通路の右手側に出来た新しい扉を開くと、そこには約8畳分程の広さがあり。
部屋に入って右奥には布団の敷かれていないベッドが2つあり、その間にはサイドテーブルが置かれている。
そして部屋の中央、そこには小さめのテーブルと2つの椅子があった。
「タリアさんはベッドメイクをお願いします」
「はい」
ベッドの方を任せ、俺はサイドテーブルにコップや水差し、そして小さめの置時計をセットする。
もちろんまだ中に水は入っていないが、完成した部屋の風景を見るために置いているだけだ。
次に、外から丸見え状態になってしまっている窓にカーテンを取りつけていると、ベッドメイクを終えたタリアが手伝ってくれた事もあり、程なくして作業を終える事が出来た。
ふと先程置いた時計を見ると、時間はもう5時半を過ぎていた。
「タリアさん、もうちょっとで集合時間のようだから王都へ戻ろうか」
「畏まりました。では、誰かに水差しに飲み水を入れて置くようにだけ伝えてきます」
新しい部屋を出て、目の前にあるメイド達の部屋へとタリアが入って行くが、すぐに部屋の中から出てきた。
「お待たせしました。では出発致しましょう」
「ああ」と答え、俺とタリアは玄関で靴を履いて家の外へと出る。
そして王都の転移場へと帰ってくると、そのまま二人で噴水広場へと歩いて行った。
次回 第73話 ようこそオルリア村へ




