第53話 ミールのお礼
今回は短めです。
家に入ると、出迎えてくれたタリアに夕食の準備を頼み、リビングへと向う。
移動中、特に何かしたわけでも無いのだが、疲れている身体を椅子に降ろし、テーブルへと突っ伏す。
嫁達やレイも椅子に座り、その身体を休めている。
そんな俺達に、調理場から出てきたククリが暖かいお茶を用意してくれたので、それをゆっくりと啜る。
少し苦味を感じるのだが美味くて妙にホッとし、更に身体が温まる。
「このお茶、少し苦味があって美味いな」
「こちらはエマルさんが作ったオリジナルのお茶っ葉だそうで、これからの寒くなる時期にピッタリだそうです」
最近の夜は、そこそこ冷えてきている。
故に、もうすぐ寒い季節が来るのだという事を感じていた。
このアルカレイドでは、1年の内で暖かい季節が7割と、寒い季節が3割とで繰り返されている事を、以前ミールから聞いている。
夏の暑さが嫌いな俺にとってはホント最高の世界だ。
お茶を啜りつつ身体を休めていると、準備できた夕食を持ったメイド達により運ばれて来る。
全ての料理が運び終えると、メイド達も椅子に座り、皆で一緒に食事を始める。
これがこの家のルールと決まってから数日が経ち、今ではメイド達も普通に食事をしている。
やはりご飯は皆で一緒に食べるのが一番だ。
食事の後は、いつものようにククリが皆の紅茶を淹れてくれるので、それを味わう。
その間、タリア、アルカ、ココ、サティア、エマルの5人は食べ終えた食器を片づけてくれている。
紅茶タイムを終えると、俺達は風呂場へと向う。
今日はノアとシアの二人にお湯を作ってもらう事にした。
まだ魔力に余裕はあるのだが、テレポートで余計に疲れていたからだ。
脱衣所で服を脱ぐと、風呂場に入りまずは掛け湯する。
そして、今日は洗い場にてミールが俺の身体を洗ってくれる。
洗い終え、サッパリした俺は一足先に湯船に浸かり、今日の疲れを癒す。
洗い場の方を見ると、ノアとシアはサラの身体を泡まみれにし、ミールとミリーはエルの翼を洗い、レイは、泡だらけになったサラをみて楽しそうに笑っていた。
そんな皆の姿に、俺はほっこりとしていた。
その後、身体を洗い終えた嫁達やレイが湯船に浸かる頃、先に入っていた俺は少しのぼせて来たので、先に上がる事に。
脱衣所に戻ると、そこには着替えが用意されていたので、それに着替え、リビングに顔を出してタリア達にミール達だけだから風呂に入っておいでと伝え、俺は自室へと向う。
部屋に入ると、今日の朝、王都で買ったいたメモリーストーンをアイテムボックスから4つ取り出し、テーブルの上に置く。
その中から一つを手に取り、スイッチのONを覚えさせ、もう一つにはスイッチのOFFを覚えさせる。
前回の失敗は、この2つのメモリーストーンを完全に融合させたのがまずかったのだと思う。
そして残りの2つを命令を通す事を覚えさせ、形を導線のへと変え、スイッチ機能のメモリーストーンと繋ぎ合わせる。
---[ON]
|
|ーーー[OFF]
|
[魔力を貯める]
といった形の回路となる予定だ。
今、手元には魔力を貯めるメモリーストーンがないので、完成したスイッチと導線をアイテムボックスへと入れておく。
お風呂にはタリア達が入っているので、明日しようと思う。
一仕事終え、ベッドに倒れこむと、部屋の扉がノックされる。
「どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのはネグリジェ姿のミールだった、今夜はミリーの番では?
俺が不思議に思っていると、ミールが理由を教えてくれる。
「ナツキ様のおかげで、お義父さんに元気な姿を見せる事が出来、安心してもらえたので、そのお礼をさせてもらいたくってミリーにお願いしたんです」
「そっか、それじゃこっちにおいで」
その夜、ミールからの感謝の気持ちの込められたご奉仕に、いつも以上の激しい夜だった。
折角お風呂でサッパリしたのが無駄になるほどに、二人の身体は汗等でベタベタになっていたのだが、お互い疲れきりそのまま眠りへとついた。
翌日、朝と言うには遅すぎる時間に目が覚めた俺は、少し身体に気だるさを感じつつも身体を起こす。
隣には、ミールがまだ気持ち良さそうに眠り続けていた。
次回 第54話 休み




