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異世界で第2の人生を  作者: 一雫
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第35話 孤児院

大変遅くなりました!


月曜日からちょこっとずつ書いてたのが今日になって、書き直さないとダメだなと気づいて、書き直しを始め、頑張ってたらこんな時間に!



一部文字の訂正しました。

大声をあげながら追いかけていた男に声を掛け、話を聞いてみた所、ここ数日、この商業区では先程逃げて行った子がよく盗みを働いているそうだ。

つい先程、目の前の男が経営している果物屋[森の恵み]で幾つかの果物を盗んだので追いかけていたという事だったのだが、これ以上店から離れるわけにもいかず、諦めて自分の店へと戻り始めた。


俺は店に戻っていく男の背を見送った後、子供の入って言った細い隙間の先へ行こうと、タリアに道を聞いてみたが、解らないらしく、自分で別の道を探す。


そして漸く道を見つけ辿り着くと、そこは路地裏となっており、奥へと進むと、一軒のボロボロで崩れかけと言える様な小屋があった。

その小屋には小さな窓があり、俺とタリアは窓から中を覗きこむ、するとそこには6人の少年少女がおり、その中に先程の逃げていた子を発見した。


逃げていた少女は、他の子達に盗んで来た果物を分け与えると、俺達がいる窓へと振り向き、俺達は咄嗟に顔を引っ込めた。

すると中から会話が聞こえてくる、どうやらこの窓から死角になっているところにも一人は誰かがいるようだ。

俺とタリアは二人が話している内容へと耳を傾ける。


「姉ちゃん、美味しいリンゴ貰ってきたよ、食べて」


「ありがとうロム、けれどこんなことしてたら貴方が捕まってしまうわ」


「大丈夫だよ、オレ(・・)走るの速いんだからさ!」


オレ?今オレって言った?ボクっ娘ならぬオレっ娘か?


「(どうやら彼女、いえ、彼は男の子だったようですね)」


タリアは壁の向こう側に気付かれないようにと最小限の声でそう言うが、まだそうと決まった訳じゃない!!


「(まて、まだそうときまったわけではないはずだ!)」


だって俺の勘が可愛い女の子って告げてたんだもん!

あとタリアさん、そんな可哀想な子を見る目で俺を見ないで!


「それにロム、貴方はここにいる子達のお兄ちゃんなのよ?そんな貴方が捕まってしまったらあの子達はどうするつもり?」


逃げていた子の名前はロム、性別は男の子でした。

ちくしょう!俺の勘に騙された!!

タリアさんがゴメンなさい、どうぞご満足頂けるまで(可哀想な子)ご覧下さい。


「いくらロムが逃げ足が速くたって、この場所に居るって知られたらどの道捕まっちゃうわ、そうなったら誰があの子達の面倒を見てあげるの?私はもうこんな身体だから何も出来ないわよ?」


こんな身体?どうやらこの壁の向こう側にいる女の人は何らかの怪我、もしくは病でも患っているのか?


「(御主人様、どうしますか?あの盗みを働いたロムという少年を捕まえますか?)」


こんな状況を見聞きして捕まえるなんて事出来るか!

しかしこのまま放っておくと商業区の被害が増えるか、ロムという少年が捕まり、ここにいる子達の面倒を見れる人が居なくなる。

どちらに転んでも良い事にはならない。

どうしたものか?


あれ?そういえばこの世界って孤児の面倒を見る施設はないのだろうか?


「(ねぇタリアさん、孤児院ってないの?)」


「(こじいん?そう言ったものはありませんが、それはどういうものなのでしょうか?)」


おっと、この世界には孤児院がないのか、いやまぁ、だからこそこういう子達が出てきてしまうんだよな。


「(えとね、孤児院っていうのはここにいるような親の居ない子供、つまり孤児達の面倒を見る所さ)」


「(その様な事をして何の得があるのですか?)」


俺はタリアと向き合い、本来のシステムなんて知らないので、俺なりに思いつく孤児院システムについて話し始める。


「(本来損得の問題じゃないと思うんだけど、得をする事は出来るんじゃないかな?ただ、得をするようになるには少し時間と先行投資が必要になるけど)」


「(本当にそんな事が可能なのですか?)」


「(ああ、例えば俺が出資して孤児院を作るとするだろ?そこで孤児達にしっかりとした教育をして色々な技術を身に着けさせる、そうすれば仕事が出来るようになるでしょ?)」


ここまで聞いてタリアはハッとする、どうやら理解したようだ


「(なるほど、働き始めた子達が稼いだ一部を納めて貰えば、いずれは出資を上回る収入が得られると)」


「(まぁそういう事だね、ただ…)」


「誰!?」


おっと、タリアとの話に集中してしまって過ぎて気付かれた様だ。

小屋のドアがバン!と開かれ、女とばかり思っていた少年が飛び出してきた。

確かに真正面からよく見れば男だな、あの時はちゃんと顔まで見えなかったし、俺の勘が間違えるのも仕方ないよね!


「お前達誰だ!」


俺とタリアは立ち上がる。


「俺達は怪しい物じゃない、ってそんな事言っても信じないよな、俺はナツキ、こっちは」


「御主人様にお仕えしておりますタリアです」


「そんな所で何をしていた!」


ロムはこちらを警戒し、睨みつけていた。


「キミ、最近商業区の方で盗みをしていた子だよね?」


俺の言葉にロムの視線がさらに鋭いものになる。


「俺を捕まえに来たのか?」


「そうだな、キミは罪を犯したから捕まえなければならないな」


「くっ!」


捕まえると言うとロムはその場から逃げようと動き始めたので、俺は一瞬でロムを取り押さえる。

あまりに早すぎた動きに、ロムと小屋の中から覗いている子供達は驚いていた。


「残念ながら君はもう逃げれないよ」


「くそ!離せ!!」


「落ち着いて、キミ達に良い話があるんだ」


「良い話だと?そんな事言って俺達を騙すつもりだろ!」


まだあきらめていないのか、ロムは力いっぱい抗うのだが、俺のステータス舐めるなよ?

中々あきらめる気配のないロムに対し、少しだけ、ほんの少しだけ押さえつける力をあげる。


「グハッ!」


しまった、強すぎた様だ。

少しずつ力を抜いていき、加減の調節をする。


「ご、ゴメン、強すぎたな」


「御主人様、取りあえず小屋の中に入って話をしてはどうでしょうか?」


「そうだな、キミも取りあえず話を聞いてくれないか?」


ロムに確認をとると「解った」と答えたので、取り押さえていた手を放してやる。

俺達は小屋に入り、先ほどまで壁越しに聞こえていた声の主の姿を見た。

そこにいたのは、年の頃は17歳前後で、肩よりもやや下まで伸びた灰色の髪はボサボサになっており、前髪の隙間からサファイアブルーの瞳が見え隠れしている。

そして壁越しに聞こえていた、こんな身体と聞こえていた正体を見たのである。

布団に入り身体を起こしていた少女の姿は、身体のほぼ全身が包帯が巻きつけられており、包帯のあちこちに血が滲んでいた。

きっとあの布団の中に入っている下半身も似たような状況なのだろうと予想される。


「このような姿で申し訳ありません、私の名はククリと言います」


「俺はナツキだ、よろしく」


「私は御主人様にお仕えしていますメイドのタリアと申します」


ククリと名乗る少女にも自己紹介を済ませ、俺とタリアは取りあえず空いている場所に座り込む。


「で、話ってなんだ?」


睨むように問いかけてくるロムに俺は平然と答える。


「なぁに、ここに居る全員に、俺の村に来て貰いたいんだ、で、その村に・・・」


「ふん!なんで俺達がそんなところに、突然来て欲しいなんていわれても怪し過ぎて行くわけないだろ!」


俺の言葉を遮るようにロムは断って来たのだが、それを見たククリがロムを叱る。


「ロム!まだナツキさんが話している途中ですよ、それに今は私に聞いているのですからロムは静かにして居て下さい」


「チッ、分かったよ」


ククリがロムを叱ると、ロムは黙り込む


「どうぞナツキさん、続きをお話し下さい」


「ありがとう、で、その村に俺は孤児院という施設を作りキミ達の面倒を見るつもりだ、そして・・・」


俺は先程タリアと話していた俺なりの孤児院システムの説明をし、ここにいる子達に教育と生活の保障すると約束する。

もちろん、将来働きだしたら、少しずつお金を納めてもらう事も伝えてある。

納めてもらうお金は次の孤児が居ればその子達を育てる資金になるという事も説明済みだ。


「なるほど、確かにその様な仕組みが出来上がれば、今後孤児が居ても、餓えたりしなくて済みますし、素晴らしいと思います」


「確かにそうなればここにいるチビ達は安心して生活が送れる、ただ・・・」


孤児院の事を理解して貰えたようだが、ロムにはまだ悩みが残る。

そう、ククリの身体だ。

しかし俺の持つ癒しの加護でならば治す事は出来ると思う、そこで俺は一つ提案を思いつき、ククリにその話を持ち掛ける。


「ククリさん、もし貴方のその身体を治せたら、俺の所でメイドになって貰いたいんだがどうだろうか?」


自分で言っておいてなんだが、とてもいやらしい交換条件を持ち掛けてしまった。

いやらしいといっても性的な意味じゃないよ!?え?それくらい判ってるって?

でもまぁ、大切な事なので言わせて貰いました。


「ふふふ、まるで断らせたくないようなおっしゃり方ですね、しかしこの身体を治す薬は高価過ぎます、しかも継続して必要となるので、ものすごい金額となってしまいますよ?そこまでして私にメイドをさせたいのですか?」


「キミが元気な時は、ここにいる子達を纏めていたんだろ?つまり面倒見が良いと判断できる、だから俺はキミに頼みたいと思ったんだ、どうかな?」


「私もこの身体が治るのならば、その条件、有難くお受けしたいです、ですが、やはり薬代が高すぎます、どうせなら私の薬代に使うくらいなら、そのお金は孤児院と言う所に住む子供達に当ててやって下さい」


自分が生きる事よりも、元気な子供達を気遣うか、本当に優しい子だ。


「大丈夫だ、キミのその身体は俺が治して見せるし、孤児院に来る子達にはちゃんとした生活をさせるさ」


俺が治すと聞いてククリは「え!?」と驚いていた。

あれ?なんか似たようなやり取りをした事がある気が・・・あ、ミールの腕を治した時か。


「ではもう一度聞くが、俺の提案を受けてくれるかい?」


「はい、この身体を治して頂けるのなら、ナツキさんにお仕えさせて頂きます」


「ありがとう、じゃあ早速その身体を治してあげるよ、横になって気を楽にしてくれ」


ククリは言う通りに布団に横たわり、静かに目を瞑る。

俺はククリの身体に手をかざし、癒しの加護を使用する。


ククリの身体が光に包まれたと思うと、光はあっという間に収まり治療は完了した。

ミールの腕を治したときよりも、遥かに効果が上がっていた。

まぁステータスがこれほどまでに上がっているのだから当然と言えば当然だろう。


ククリは目を空け、自分の身体に起きた事に驚いている。


「なんだか今、暖かな物が身体に流れ込んで来たような、それになんだか身体も軽くなった気がします」


「ちょっと失礼して腕の包帯を解くね?」


俺はククリの右腕を持ち上げて包帯を解いて行く、そして包帯の下に見えた肌は、ピチピチの潤いのある綺麗な肌だった。

それを見たククリや、ロム、それにここに居た少年少女達が驚き、ククリは嬉しさのあまりに涙を流していた。

タリアに残りの包帯を解くのを頼み、男は皆ククリに背を向ける。

小屋の中は静かだったせいで、後ろから布の擦れる音が聞こえてくる、どうやら着替えさせている途中の様だ。


タリアが終わりましたと言い、振り向くと、なぜかククリはメイド服を着ていた。

なぜにメイド服を?確かにメイドになって貰う予定だけどさ?ってか何でもタリアさんはそんなの持ってたの?

相変わらずタリアさんには謎な所がある。

その後ククリが俺に仕えると言う事が決まった事により、ロムや他の少年少女達も引越しする事が決まったのである。

孤児院は明日造るとしよう。

あ、そうなると経営者もそろえないとなぁ、等と考える事が増えたのだが、面倒なので、それも纏めて明日考える事にする。


「さて、それじゃ最後にロム、キミの身柄についてだが、キミは盗みをした罪がある、よってキミは奴隷の身となるだろう。

だが今回は俺がキミを引き取ってやる、精々俺の為に働いて罪を償うんだ、なぁに、キミの姉さん達には空いた時間なら合えるようにしてやるさ」


タリア曰く、子供だろうと犯罪を犯せば捕まり奴隷へと身を落とす事になるのだが、今回の犯罪内容であれば、数年間奴隷として働けば解放されるだろうと言う事だった。

元の世界の刑期みたいなものだ。


「姉さんの身体を治して貰えた上に、皆と何時でも会えるなんていう扱いなんて逆らうつもりにもなれねぇな」


「じゃあタリアさん、すみませんがロムの事を頼みます、俺はその間にこの子達を連れて買い物を住ませ、そのままコロンさんを迎えに行きます」


「畏まりました、私達も終わり次第直ぐに冒険者ギルドへ向います。ではロムさん行きましょうか」


「ああ、分かった」


タリアはロムを連れて城へと向う。

この世界には警察などは無い、犯罪者は城で取調べを受け、国王から処罰について申し渡されるという物らしい。

これはミールにこの世界の常識について聞いた時に教わった物だ。


二人を見送ると、俺はククリと少年少女を連れて、急いで買い物へと向う。

空はすでに夕焼けに染まり始めており、コロンの迎えに行く時間が近くなっていた。


服屋でも毎度の如く、「私にこの様な~」的なやり取りが行われたのは言うまでも無いだろう。



次回 第36話 ミリーの日記


遅れた分(多分1話分)を取り戻せるように頑張ります。

どうか今回遅れた分は大目に見てくだせぇ orz

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異世界で気を付けるべきは?←こちらは2作目となるものです。主人公が別の世界に行くお話ですが、[異世界で第2の人生を]のキャラも登場します。 是非読んでいただけたら嬉しいです! (尚、基本的に毎週月曜日の午前0時と木曜日の午前0時に更新していますが、時々ずれる事もあるかもしれません!)
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