第33話 村に名前をつけようか!
予定では28日中に完成させるはずだったのだけど、ちょっと過ぎてしまいました。
読者の方から有難いコメントを頂けました、ありがとうございます。
おかげですごくやる気がでます!
驚きながら叫び続けていたハスマは、ようやく落ち着いたのか、ソファーに力なく背もたれにダランともたれ掛っていた。。
「まぁ、スキルの方はさすがにお見せすることは出来ないんです、すみません」
「ああ、それは構わんよ、これ以上見せられたらワシの血管が驚きのあまり切れてしまそうだ」
そう言いながらも、ハスマは天井の方を見たまま片手をあげて、左右に振っていたが、フゥっと軽くため息を吐くと身体を起こした。
「さて、ナツキよ、本来なら依頼を受けてもらうつもりだったのだが、どうやらもうすでに倒した後という事で、すまぬが依頼はなかった事になる。
そしてそうなれば報酬の方も出してやることは出来ないのだ、すまぬ」
「いえいえ、仕方ないですよ」
「しかしせっかく倒してもらったのだ、何か個人的にお礼をさせてくれないか?」
突然お礼と言われてもなぁと思ったが丁度一つお願いしたいことがあった。
「それなら一つお願いがあります」
「ほう?どんなお願いだ?出来る事なら聞くが」
「実はですね・・・・」
ギルドに来た時に見聞きした受付での出来事を話し、コロンにお仕置きという名目で、明日一日俺の村働かせたいとお願いする。
ハスマからはあっさりと承諾を貰え、俺は笑顔でギルドマスターの部屋を後にし、直ぐにコロンの下へと向う。
「な、ナツキ様!ハスマ様とのお話は終わったのですか!?」
ギルドマスターの部屋から戻った俺の姿を見るなり、ビクビクと怯えつつ上目遣いで聞くコロン。
そんな怯え続けているコロンに、ハスマに聞き入れてもらったお願いの件を笑顔でコロンに告げる。
「ええ、今丁度終わりましたよ。それでですねコロンさん、貴方には今夜、俺の村に止まってもらい、明日一日働いて頂く事にします。
先程、ハスマさんにも許可を頂きましたのでよろしくお願いしますね」
コロンはバッと席から立ち上がると、受付の台の上を飛び越え、店の中央に着地したと思えばそのままこちらに向けて土下座の体勢になる。
ギルドの中にはまだ数組のパーティーなどがいたのだが、全員がコロンと俺の方を見ている。
あれ?これまた変な噂が立つんじゃ無いのか?
「お許しくださいにゃ!もう二度と人の噂を口にしにゃいから!どうか、どうか!」
「コ、コロンさん!?ちょっと顔をあげて!」
土下座で謝り続けるコロンの傍により、両手をコロンの量肩に載せ、身体を起こさせる。
「ひぃ!!」
ただひたすら怯え続けるコロン、これじゃ俺が悪物みたいな噂が立ってしまう!?
そんな事を思っていると、隣の受付にいたミオまでコロンの隣に並び平伏する。
「お願いします!こんな人ですが私にとっては大事な先輩なのです、ですからどうかコロンさんに酷い事だけはしないで上げてください!」
あ、コロンの方が先輩だったのか・・・って、何か酷い誤解されてる!?
「ちょっとまって!?俺の話し聞いてた!?明日一日俺の村で働いてもらうだけだからね!?」
「ホントかにゃ?そんな事言って、ホントは私に過労で倒れるほどの重労働をさせるんじゃないのかにゃ?」
「重労働とまでは行かないと思うけど、村で働く皆の為にメイドのような仕事して貰う予定ってだけだよ」
「よかったですねコロンさん」とミオがコロンの身体を抱き締めた。
罰の内容を聞いて安心したのか、コロンはミオの胸の中で「よかったにゃ」と泣いていた。
あれじゃどっちが先輩なのやら・・・・
「そう言う事なので、今夜俺の村に来て貰います。今日のギルドでの仕事は何時までですか?」
泣き止んだコロンはミオの胸に頭をスリスリしていた。
羨ましい!変われよ!
「7時で終わりになります」
返事をしないコロンに変わり、ミオがコロンの身体を離しながら答えてくれた。
「わかった、それじゃあ8時頃にここに迎えに来るからコロンさんは準備して待ってて下さいね」
「はい」
ようやく落ち着いたのか、返事はにゃんこ言葉の返事ではなかった。
現在時間は2時を少し過ぎた頃だ、昼何も食べて無いのでお腹が空いた俺は、一度村に戻ろうと思い、人気の無い路地裏へと入り村へ転移する。
村の自宅の前に転移してきた俺はそのまま家の中へと入って行く。
そして「ただいま」と扉を開けて中にはいると、リビングに通じるドアが開きタリアが出てきた。
「お帰りなさいませ御主人様」
「すまないがお腹が空いたから何か簡単な物を作ってもらえないかな?」
「承知しました、直ぐにご用意致しますのでリビングでお待ちください」
「ありがとう」
俺達はリビングへと入り、タリアはそのまま調理室へと向う。
椅子に座り待っていると、ふと昨日の夜の事を思い出した。
昨日は疲れてた事もあり、夫婦の営みをする事なく眠った事を、しかし考えて見ればエルが一緒に寝る限り、する事は出来ないのでは?
エルは奴隷、しかも敗戦による捕虜として売られた奴隷、本人の許可なく抱く事だって出来る、だが俺はそんなエルに手を出すつもりは無い。
せめて成人し、そしてエルの気持ちを確認した後ならば、俺は求めるだろう。
兎も角、今のままではまずい!何がどうまずいのかは言えないが、如何にかしなければ・・・
そんな事について考えていると、タリアがその手にサンドイッチの乗ったお皿を持って来た。
「どうぞお召し上がりください」
目の前に置かれたサンドイッチを見て、考える事を一旦止める。
「ありがとう、そういやミール達はどうしたの?それに他のメイド達の姿も見えないんだけど」
「現在、皆様は御主人様が今朝作った畑へと行っております」
(皆畑の方にいったのか・・・あ、そういや畑を作った時に伐採した木がまだ沢山アイテムボックスに残っているな、それを使って新しく部屋を作ってそこを俺の部屋にしよう!そして毎晩交代制で・・・)
「そっか、それじゃこのサンドイッチを食べ終わったら、まず増築をしようと思う、それが終わった後一緒に畑の方へ行こうか」
「畏まりました」
「頂きます」と、感謝の言葉を言い、俺は目の前に置かれているサンドイッチを頂く、中の具は、今朝倒したボアの肉が挟まれており、その前後にはシャキシャキのレタスが入っている。
とても美味しかった。
用意してもらったサンドイッチはあっという間に食べ終わり、俺は増築の為、自室へ行こうと立ち上がる。
「それじゃちょっと増築に行って来る」
自室に入ると、そのまま正面の壁まである気、そこの壁に向けて創造を使い、壁をドアに変えた。
そしてドアを開けると、当然そこは家の外だ、名ので次はアイテムボックスから木を10本ほど取り出し、その木に向けて創造。
こうしてそこには一つの8畳ほどの部屋が造られた。
次にアイテムボックスから木を更に3本取り出し、ベッドを作成する、念の為にサイズは3人で寝る位にしておく。
布団はシングル用とダブル用を買ってから創造でサイズ調整すれば大丈夫だろう。
他にも部屋に家具を作っておこうと思う、取りあえずテーブルとタンス、後は大事なもの入れておく所も欲しい、要は金庫だ。
だが、今は素材となる物が無いので諦めるとしよう。
さて、これで愛の巣が完成した、タリアに声を掛けて畑へと行くとしよう。
リビングに入るとタリアは椅子に座り本を読んでいた。
「タリアさんお待たせ、こっちは終わったし、畑に行こうか」
「はい」
俺達は畑に向かう、タリアは俺の少し後ろに歩いていた。
畑に辿り着くと、住人である大人たちは畑を耕す作業中だった、見たところ作業は3分の1程進んでいる様だ。
そして住人の中でただ一人の子供であるサリーと我が嫁達+エルは、畑に沿って流れる川の傍にあった大きな岩の所で寄り添う様に眠っていた。
その岩のある場所は木陰になっていてとても気持ちよさそうだ。
あれ?アルカやココ、それにサティアとエマルの姿が見えない、彼女達はどこだ?
「タリアさん、メイドさん達4人の姿が見えないようだけど?」
「あちらです」
そう言ってタリアが示した先には、眠っている少女達の岩の更に奥、川の向こう側で何かを探している様だった。
「あんなところで何してるんだろ?」
「薬草となる物や、食材に使う山菜を探しているのでしょう。
この辺りでは質の良い薬草や、沢山の山菜が採れるとサラ様がおっしゃっておりましたから」
サラがそんな事を・・・ハッ!
しまった、またサラの存在を忘れてた!
どうしてこうもサラの存在って忘れやすいのだろう?ゴメンよサラ、悪気はないからね。
とりあえず心の中で謝罪はしておく。
「で?そのサラはどこへ?」
「サラ様は自分のねぐらに取りに行く物があると言って、御主人様が出発した後に出かけらたままです」
「そっか、まぁサラなら一人でも大丈夫だろう」
タリアと話していると、眠っていたミールが目を覚ましたようだ。
「んっ、ナツキ様?戻ってたのですか?」
ミールの声に周りで寝ている少女達も次々と目を開けていく
「ただいま皆、気持ちよさそうに眠ってたね」
ニッコリと笑顔で話しかけると、ノアとエルは寝顔を見られて恥ずかしかったのだろうか、顔が赤くなっていた。
シアは「えへへ」とはにかんでいる、ミリーは・・・ってこの子だけまだ眠っていた。
ミリーの身体を揺すり起こす。
「お、お帰りなさい旦那様!」
こうして全員が起きたところで、畑の方で作業をしている大人たちと、川の向こうにいるメイド達に声を掛け、川の傍に集合して貰う。
「皆さん、作業お疲れ様です。見た感じ順調に進んでいる様ですね」
「はい、この調子でいけば明日中には完成するかと」
答えたのはサリーの父親であるハキムだった。
「ところで、うちの娘がご主人様の奥様にご迷惑をおかけしてないか心配で」
「全然平気ですよ、サリーちゃんは大人しくていい子ですよ」
ハキムの心配事にミールが答える。
どうやらミール達とサリーは一緒に過ごして仲良くなっていた様だ。
よきかなよきかな
さて、唐突ながら一つ皆で話し合いたいことがある、と話を切り出す俺。
住人や嫁達とエルにメイド達は何だろう?といった感じの表情でこちらを見ている。
「皆で話し合いたいというのは、この村に名前を付けようと思うんだ、そこで皆の意見を聞きたい。
周りの人と話し合ってでもいいから、何か良いと思う名前を言ってほしい、そして最後に皆から上がった名前の中から多数決で決めたいと思う」
そう言うと、それぞれが自分の周囲にいる人と相談を始めた。
皆が話し合いを始めたので、俺は嫁達の所へ行き、話し合いに混ざる。
こうして話し合う事10分少々、それぞれが近くの人と話し合った結果をメモ帳へと書き込んでいく。
出てきた候補は全部で4つだ
・ナツキ村(代表者の名を使うべきという意見から)
・幸せの村(住人達にとって夢と希望が沢山あるからとの事)
・オルリア村(オルリア山の麓に作る村という安直なもの)
・ナミノシミエ村(俺達の頭文字を順番に並べたらしい)
まずナツキ村、これは却下したい。
俺の名前使われるとか恥ずかしいわ!
次に幸せの村、なんか宗教的な臭いがするので却下させて貰った。
住人達の内の3人がガッカリしてたように見えたが、見なかった事にさせて貰おう
すまない!
次!オルリア村、まぁ4つの中じゃまともに見えるので保留
最後はナミノシミエ?長いし言い難いので却下となった。
こうして、話し合いというよりも、ほぼ俺の意見によって、オルリア村という案が選ばれたのであった。
次回 第34話 小さな盗人
すみません、今週は土曜から日曜の夜まで仕事関係でPCによる作業が出来ません。
34話はどうにかそれまでに終わらせる予定ではありますが、35話の完成は、数日遅れる事になると思われます。
続きを待って下さる方には申し訳ありませんが、仕事関係なのどうしようもありません、ご容赦ください!




