第32話 み~つけた
第10話 ノアとシア の途中の武具の購入の所をすこしだけ訂正しました。
他にも誤字などは見つけ次第訂正して行ってます。
また、報告のあった個所をいくつか修正しました。
ご報告いただいたい方々に感謝です。
村への帰り道、流石に村から畑まで森の中を進むのは危険かな?と思い、畑から村までの川沿いにある木々を伐採し、その道にそって柵を作るという作業をしながら村を目指した。
「お帰りなさいませ御主人様、どこか良い場所はありましたでしょうか?」
村に戻ると出迎えてくれたのはタリアだった。
「ああ、とりあえずアレで畑までは迷う事も無いし、それなりに無事に辿り着けると思う」
アレと言いながら戻って来た方向に指を差す。
「出来ればもう少しあの道の周辺をもっと安全な物にしたいが、それはまた明日からやるとしようかな」
「そうですね、あのままではボア程度のモンスターでも乗り越えるか、壊すかもしれません」
「まぁ、今日の所は元冒険者の人に武器を持たせて農業をして居る間周囲の警護をして貰えば大丈夫だろう」
「ですが御主人様、予備の武器などはあるのでしょうか?」
「いや、無いよ?だからこの剣を使ってもらおうと思う」
そう言って取り出したのは先程アーマーマンティスの頭を切り落としたダマスカスソードだ。
「しかしそれは御主人様の使う武器なのでは?」
「今日は王都に行くし、その時に新しい武器を買うよ、それに、どの道護衛役の武具も買い揃えないといけないしね」
「でしたら護衛役の3人がどんな武器が得意か知っておいたほうが良いのでは?」
タリアの言われて気づいた、危うく得意な武器を知らないまま王都へ行くところだった。
「よし、それじゃ出かける前に護衛達に話しをしてくる!」
そう言って俺はタリアと分かれ、護衛役として買った3人の家を訪問して行く。
どうやら3人共剣が得意らしい、ただ一人、男の護衛役だけは弓も得意らしかった。
「よし、それじゃミール達に言ってからちょっくら王都へ行くか!」
自宅に戻り、ミールとミリーが玄関に居たので王都へ言ってくる事を伝え、王都の入り口門の近くへとテレポートした。
やはり自分ひとりだと、まだ少しだけ魔力に余裕が出来るようだ。
無事王都の近くへ到着した俺は、町の入り口に立つ門番の元へと近づき、中へ入る許可を貰う。
といってもまぁ、この門番にはすでにミリーの夫という事で覚えられ、ほぼ顔パス状態なのだ。
町に入ると、道行く人がこちらをチラチラと見ていたり、こちらを見てはコソコソと話をしている人達が居たりする。
また何か噂が広まっているのだろうか・・・
兎に角さっさと移動するとしよう。
まずは冒険者ギルドに行くより先に、武器屋のゴルダの所へと向う。
武器の調達を先に終わらせておきたかっただけだなのだ。
「いらっしゃい、ってナツキじゃねぇか、いや、今はもう呼び捨てにしては失礼じゃな、ナツキ様、何をお求めで?」
この国の王女であるミリーと結婚した事はこの町の人なら知っている事、つまり俺も王族の仲間入りと思われている。
それ故にゴルダは俺を様付けで呼んでいるのだが、そのせいでどこか距離を感じてしまう。
俺そんなに偉くないよ?まぁ実際大公という爵位を頂いて領地まで頂いているはいるが・・・
「止めて下さいゴルダさん、そんな畏まらなくても普通に呼び捨てでかまいませんから、寧ろ俺はその方が楽なんですよ」
「そうか?ナツキがそう言うならそうさせて貰うとしよう、後で文句を言うんじゃねぇぞ?」
あっさりと普通に接してくれるようになったゴルダ、こういうサッパリとした性格はとても好感が持てる。
「言ったりしませんよ、それより今日の用件なんですが、なにか丈夫な防具を3セット、それからダマスカスソードを3本、後は扱いやすい弓が欲しいのですが」
「扱いやすい弓か、それなら以前ナツキんとこの嬢ちゃんの為にかったウッドボウじゃな、後は軽装の防具か、素材は何が良いんだ??」
「そうだな・・・」
どんな防具が良いか悩みながら店の中の物を眺めていくと、シルバーに輝く鎧、グリーヴ、そしてガントレットの3点がセットで立て掛けれていた。
「アレがいいな」
「ん?ああ、シルバープレートにシルバーグリーブ、それにシルバーガントレットのセットじゃな、男性用と女性用どっちが必要だ?」
「男性用が1セット、女性用は2セットで頼む」
ゴルダに装備する者のサイズ等を聞かれ、俺は護衛の3人の姿を思い浮かべて答える。
あれ?俺ってこんなに記憶力よかったっけ・・・・まぁいいか
選んだ武具を清算して貰うと、合計が33000コルと高い買い物となった。
どうやら防具の値段が殆どの様だ、支払いながら値段を聞いて見ると、セットで1万コルらしい
というのもこの防具には多少の魔法耐性があるらしく、その為に値が張っているとか。
俺やミール達の使ってる防具よりかなり良いものだが、村の警護の為にはこれくらい良い物を使って貰った方が良いだろう。
ゴルダから武具を受け取りアイテムボックスへと放り込むと、俺は次の目的地へと向う。
冒険者ギルドのある中央広場に向けて歩いていると、また人の視線を感じたりするのだが、気にしないようにと早歩きに進む。
噴水広場に着くと、そのまま冒険者ギルドの中へと入っていくと、クエストを探しに来ていた何組かのパーティーの人たちがこちらに気付くと、パーティー同士でコソコソと何かを話始めた。
こうもあからさまにコソコソとされるとイライラしてくるな・・・
取りあえず今は手紙にあった内容を聞くためにハスマの所へ行こう
そう思って受付のコロンの下へと近づくと、コロンは近づく俺に気付くことなく、尚も隣の受付嬢と何かを話している。
「間違いないって!ナツキ様に気に入って貰えれば将来安泰のはずだよ、ただ身分は奴隷になっちゃうだろうけど、それでも実際の扱いは平民どころか貴族並に扱ってくれるようだし!何よりナツキ様に養って貰えるんだから身分なんて気にする必要だってないよね」
何やらとんでもない会話がされている・・・
隣に居た受付嬢は視界に俺の姿を見つけると、コロンから顔をそらし、冷や汗を一筋流しながら受付業務の態勢をとる。
ただ受付の所には休憩中の札が置かれたままなのだが?
「ねぇ、聞いてる?あ、それとね?私昨日見ちゃったの!ナツキ様が沢山の奴隷を連れて買い物をしてる姿を!しかもね、その奴隷達に新品の服まで買ってたのよ?羨ましかったよ、私もナツキ様の奴隷になって大切にして貰いたいなぁ~って、ミオさん聞いてる?」
隣の受付嬢の名前はミオというらしい、歳20代前半だろう、純粋な人族でスラッとした体形、ブラウンの髪のショートボブでブラウンの瞳、なかなかに魅力的な女性だった。
そんな彼女にひたすらに喋り続けるコロンは未だに俺に気付いていない。
「コ、コロンさん?あまりそういうへんな話ばかりしてたらいけないと思うの!だからね?ほら、ちゃんと仕事しよ?」
「ミオいきなりどうしたの?それに今は休憩時間だから誰も受付に来ないよ?それよりもさ、さっきも言った沢山の奴隷の中に一人綺麗な女の子が居たんだよ!しかもその子って有翼人だったの!しかも翼の色は白よ!
あれ王族の証だって聞いたことがあるの!それでね・・・」
「コロンさん後ろ後ろ」
何時まで経ってもミオの態度の意味に気付かずひたすらに話をし続けるコロンに、ついに後ろを見ろと言わんばかりに小声で伝える。
「後ろ?後ろがどうし・・・にゃ!?ナ、ナツキしゃま!?いいいつからそこにいたにゃ!?」
ようやく俺の存在に気付いたコロン、また驚きのあまりにゃんこ言葉が出ていた。
「なんだか楽しそうな事話していましたね?俺も混ぜてもらえます?」
俺は今とても良い笑顔をしているだろう。
目以外はな!
「な、何でもないですにゃ!私はただ見たり思った事を皆に話して本当かどうかをって聞いたりしただけにゃ!」
ほほ~う
「ふむふむ、それで?どうだったの?」
依然として目以外は笑顔のままの俺
「皆解らないみたいで、私なりの推測を話した程度にゃ!」
コロンだ、コロンが犯人だ!フッフッフ
噂の元凶、み~つけた~!!!!
俺の口元がニヤリとつり上がったのが自分でも良く解る。
隣の受付のミオが俺の表情を見て「ヒィッ」と顔面蒼白になっている。
「コロンさんとは後でゆっくりとお話する時間をハスマさんにお願いしておきますね?」
コロンの処遇については後でじっくりと話し合うとしようか、フッフッフ
「ひぃ!」
怯えるコロンを放置し、隣のミオに今日の要件を告げようと話しかけた。
「ミオさんでしたっけ?」
「ひゃい!」
完全に怯えながら返事をしていたが、大丈夫ですよ?貴方を責めたりはしませんからね?
「今日はギルドマスターから手紙で呼ばれたのですが、ハスマさんは居ますか?」
「い、居ます!すぐにハスマ様に伝えてきますので少々お待ち下さい!!」
勢いよく立ち上がり敬礼すると、ギルドマスターの部屋へと走った。
ニコニコと笑顔で、コロンを見ながら、ミオの戻りを待つ。
ギルドマスターの部屋はすぐそこにあるので、すぐにミオは戻ってきた。
「お待たせしました、ハスマ様がギルドマスターの部屋へとお通しするようにと申しておりますのでご案内いたします!」
「ありがとう、じゃあコロンさん、また、あ、と、で、ね?」
そう言い残し、ミオの後ろを歩きギルドマスターの部屋へと向かった。
コンコン
ミオが扉をノックする、中から入れと声がし、ミオがゆっくりと扉を開いた。
「よく来てくれたナツキよ!いやナツキ様と呼んだ方が良いかな?」
「ハスマさんまで・・・止めて下さいよ、今まで通りでいいです、そんなに畏まられた方が肩が凝るってもんですよ」
ここでも様呼ばわりされて少しうんざりしている俺を見たハスマは、ガッハッハと豪快に笑っていた。
「まぁ、大公なんて爵位を頂いちまったんだ、慣れておいた方が良いぞ?というよりも、普段から自分の嫁達に呼ばれてるのだろ?今更ワシ達に呼ばれた所で何て事はないだろうに」
「ん~そういうのじゃないんですよ、なんて言うか、ミール達は俺の嫁なんだけど奴隷でもあるからって割り切ってるんですけど、最初普通に接してくれてた人達に突然畏まられると、なんかむず痒い感じになるんですよ」
「ようわからんなぁ、まっ、仕方ない事だと諦めろ」
再び豪快に笑い始めたハスマに、本題の話を始める。
「で?今朝手紙が届いたのですが、指名したい依頼って何だったんです?」
要件について問うと、ハスマは笑うのを止め、真剣な表情で内容を話し始めた。
「実はな、とある冒険者達が依頼をクリアして戻ってくる途中にあるモンスターを見かけたという情報が入ってのな、ワシを含む、高ランクの冒険者達でパーティを組んで討伐に向かったのだが逃げられてしまってな。
その後2組に分かれて捜索をしていたが、ワシではなくもう一つのパーティが奴の居場所を掴んだ、しかし場所を発見した冒険者達は報告をしようと戻ろうとした所をそのモンスターに見つかってしまって大怪我をしてしまった。
高ランクのパーティーだったからこそ、なんとか奴から逃げてこれたのだが、ワシ等では奴の討伐は無理となってしまった。
そこで、あのゴブリンジェネラルさえも一人で倒すほどの強さを持ったナツキに頼もうと手紙を届けてもらったという事だ。。
因みに奴の居場所はナツキの新居からそう離れていない場所にある」
ハスマの話を聞いて今日倒したアーマーマンティスが思い浮かぶ。
「そんな危険な奴がうちの近くにいるっていうのも困りますね、実は今日、家の近くで1匹見逃せない強さのモンスターを見つけて退治したばかりなんですよ」
「ほう?そいつはどんなモンスターだったんだ?」
「アーマーマンティスっていう大きなカマキリでしたね」
そう言うとハスマの鼻でフッっと軽く笑った気がした。
「そいつだ、そいつが今回ワシが討伐依頼を頼みたかったモンスターだったんだよ」
「あ、やっぱりそうだったんですか、話を聞いてるともしかして?って思ってたんです」
「頼もうとしていたワシが言うのもなんだが、ホントにナツキの強さは規格外だな、一度ステータスを見せてくれないか?大丈夫!誰にも言ったりはしやせん」
どうしようかと少し悩んだが、ギルドマスターであるハスマになら、ステータスまでは見せても構わないだろう、そう思い、絶対に部外に漏らさぬ事を約束して貰い、スキルは非表示状態でステータスを開いた。
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ナツキ 男 20歳
LV 37
HP 5975/5975
MP 1759/1759
STR 4178
VIT 4001
AGI 3289
DEX 1900
INT 2420
LUK 1102
武器 ダマスカスソード
防具 レザーアーマー
レザーガントレット
レザーブーツ
契約精霊
火の精霊王サラマンダー
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ハスマの顎が外れそうな勢いで開かれた。
「な、なんじゃこの数字は!?それに契約精霊!?しかも火の精霊王!!??」
驚きの連続を大声で叫び続けていた。
おいおい、そんなに大声で叫んでたら皆に聞かれちゃいますってば!
見せた後、今後変な疑いが掛けられたりとかしないかなと不安が出てきた。
いざとなれば俺達なら国位は相手に出来るかも?等と物騒な事を考えてしまったのは秘密にしておこうと思う。
そんなつもりは毛頭ないけどね!
次回 第33話 村に名前をつけようか!
最初の方に面白いですというコメントを頂いた事があって以来かな?
早く次が読みたいとのコメントが頂けました!
この一言があると、やはり俄然やる気が出ますね!
まぁ、やる気があっても眠気に勝てないで、ペースが遅い作者ですが・・・
ほんとすみません!




