第25話 |妹《シア》
今回も短めとなっております。
---シア視点---
ボクとミリーは現在、主様の指示で焚き木集めをしてる。
「シアお姉ちゃん、あそこの木の枝とか丁度良いんじゃないでしょうか?」
「あ、だめだよミリー、そういう生きた木の枝は燃えにくいから落ちてるのを探さないと」
「そうなのですか?すみません、私全然知らなくて・・・」
野営とかする事なんてないから、生木が焚き木に適さないだなんて事は知らなくても仕方のない事なのに、ミリーはちょっと悲しそうにしてる、ここはお姉ちゃんとして励まさないと!
「ミリーはこういった事とは無縁だったんだから仕方ないよ、まぁこれから覚えていけばいいさ!なんだったらボクがこれからそういう事を教えてあげるしさ」
「ありがとうシアお姉ちゃん!そうですね、これから覚えていけばいいんですよね!」
これからはお城での生活とは違って、主様の元で一緒に暮らすんだから、きっとそういう知識も必要になるし、ミリーの方も覚える気満々みたいだよ。
「でもその前に、今すぐ必要な分を集めて姉さんに渡してくるよ」
ミリーにそう言い残したボクは、辺りにモンスターが居ないかを確認して、落ちている枝を拾い集めた。
拾い集めた薪き木は、食事係である姉さん達の居る場所へと置き、ボクは急いでミリーの側へと戻った。
この後は野営についての知識を付けようと、やる気のあるミリーと、予備となる薪き木集めをしながら、色々教えてあげなきゃね!
「おまたせ。それじゃミリー、早速だけど野営についての知識として、まずは焚き木用に適してる枝について教えてあげるよ」
「よろしくお願いします、シアお姉ちゃん!」
「えとね、さっきも教えたように、生木はまずダメ、だからって落ちてる奴ならいいって訳じゃないんだよ」
「シア先生、ではどんな物を集めたらいいのでしょうか?」
こうしてボクが先生でミリーが教え子という野営に必要な知識の勉強が始まった。
今はもう慣れてきたけど、ちょっと前までミリーは王女様で、ボクはただの奴隷だったなんて嘘みたいだよ。
思い返すと、ボクと姉さんは里の皆を助ける薬代のために奴隷になって、その後ボク達は主様に買っ貰えた。
そう、ここまではボク達は普通の奴隷だったんだ・・・といっても、平民以上の扱いをして頂けていたから、すでに普通の奴隷というのもおかしな気がするけど・・・
そんなボク達の主様は、あの日ハスマさんの指名で国からの依頼を受ける事になって、その依頼の途中で精霊王のサラ様と契約したものだから、その瞬間から実質この国で一番偉い人になっちゃったんだよね。
まぁ、その時はそんな事気付いてなかったけどね!
それで、その時にミールが主様の眷属契約をして、その後ボクと姉さんは主様の事が大好きだって告白して、17歳というエルフ族にとって若すぎるこの歳で、主様へ信頼の証を捧げ、お役に立てる様にと、ボク達は主様の眷属にして貰って力を手に入れたんだ。
そうして依頼も終わり、その次の日、ボク、姉さん、ミール、ミリーが一緒に主様と結婚することが決まって、更にその次の日に式を挙げる事になった・・・
思い返してみると、ホントビックリする程の超展開だよ!
式も無事終わり、家族になったボク達なんだけど、ミリーがとんでもない事を言い出したんだ。
自分も私達と同じ奴隷になるって・・・これにはボクもビックリしたよ。
主様も最初は止めようとしてたけど、結局王様と王妃様の許可が出たらって事で話は終わった、ボクもそれなら無理だろうな~って思ってたんだけど
いや~まいったね、次の日の朝、王様も王妃様もミリーに説得されちゃって、その日からミリーも奴隷になっちゃった。
まぁ、主様の奴隷って事だから、実際王女様の時とあまり変わらなかったんだけどね。
でもまぁ、ボク達としてはミリーとはもっと仲良くなれた気がしてる。
あれ?ってことはやっぱりミリーが奴隷になったのって正解だったのかな?
判らなくなっちゃったよ。
「・・・ぇ・・ねぇ、シアお姉ちゃん!」
「あ、ごめんミリー、何かな?」
「何かな?じゃないですよ~、シアお姉ちゃんがボーっとしてたので、その間に私一人でこれだけ集めておきました、ですからシアお姉ちゃんには、ちゃんと焚き木に使える物かの確認して頂きたいのです」
ミリーが指し示した先には大量の大小の枝が山積みになっていた。
これ程の量をミリーがたった一人で集めてたって・・・ボクそんなにボケっとしてたのかな!?
こんなにも頑張ってくれたミリーに申し訳く思い、ボクはその集められた枝を検品して焚き木に出来そうな物を選んでいく。
すごい!ミリーの集めたほぼ全てが使える物だったよ!
「うん、これだけあれば十分な量だよ、さぁ!さっさとこの焚き木を姉さんたちが居るところに運んじゃおう!」
そんな風に言ってるボクだけど、このままじゃミリーのお姉ちゃんとしての威厳が無くなっちゃう・・・
ううん!めげてちゃダメだね!まだお姉ちゃんとしての威厳は取り返せるはず!
きっと大丈夫、頑張ろう!
こうしてボク達、というか殆どミリーのおかげなんだけど・・・
するべき事は終わり、姉さん達の居るところへと戻った。
そこには丁度、主様とミールが切り倒した木々を運び終わったところで、集められた木々や少し大きな岩に手をかざした主様が創造ってスキルで家を造っちゃった。
ただでさえ周りにある木々を、剣でサックサク切り倒してた事もそうなんだけど、主様のデタラメっぷりは今日も健在だね。
その後、ボクたち主様の妻の皆と、一緒に食事を拒むメイドさん達を説得して、皆一緒の食事となった。
食事が終わると、主様はお風呂の準備をするって張り切ってたよ。
ボクはお城で初めてお風呂に入らせて貰った時の気持ち良さを思い出していた。
あ~、今からとっても楽しみだよ♪
次回 第26話 完成した家
25話を書き終わる頃、24話でのミスに気付いたので急ぎ訂正しました。




