第24話 |姉《ノア》
最後の部分にミスがあった事に気付いて、訂正しました。
---ノア視点---
私とサティアさんはスープ担当となったので、今その準備をしています。
「サティアさん、こちらのお鍋はどこに運びましょうか?」
「ああ、ノアお嬢様、そのような事は私がしますので、どうぞごゆっくりしていて下さい」
「え!?」
私はサティアさんにノアお嬢様と呼ばれ、驚きのあまりに持っていたお鍋を落としてしまいました。
「あっ!!す、すみません!」
私は慌ててお鍋を拾いました。
まだ具材をいれる前でよかったです。
このままお鍋を使うわけにはいけないと、私は水魔法でお鍋を洗い流すと、仰々しい態度のサティアさんを説得し、ようやく一緒にお料理の準備を始めたのです。
けれど・・・そうですよね、よくよく考えると今の私って、あの精霊王であるサラ様と契約した主様の眷属であり、伴侶でもあるわけですから、実質この国の王様よりも上の身分になったんですよね・・・
しかしですよ?そんな私達って身分が下から2番目のランクB奴隷でもあるのですよ?
あ、決して主様の奴隷である事は嫌ではありません!むしろ主様の奴隷であることがとても嬉しく思っております!
つまりその、そんな私達はいったいどちらの身分として立ち居振舞うのが良いのでしょう、判りません。
なので気になった私は、その事についてサティアさんの意見を聞くことにしました。
「あの、サティアさんにお聞きしたいのですが・・・」
「あらあら、なんでございましょうか?」
「私達っていったいどういう立場なのでしょうか?」
「我々のご主人様の伴侶であり、サラ様と契約されその主となったご主人様の眷属、即ちこの国ではナツキ様に続き2番目の身分となります」
「ですが私達はランクB奴隷でもあるのですよ?」
「そうでございますね」
私の疑問にサティアさんは笑顔で私の言葉を肯定します。
「しかし、この国の者からすれば、ノアお嬢様達は奴隷の身分よりも、ご主人様の眷属であり伴侶であるという方が重要だという事を覚えていて頂ければと思います」
そう言うサティアさんはいつもの優しい表情ではなく、真剣な表情で私に頭を下げながら答えてくれています。
そんなサティアさんの意見に、私は戸惑ってしまいます、だって、私ってほんの少し前、ただ平民から奴隷になったばかりだったんですよ?
そう、あれは私達が主様に出会う1月程前の事でした。
エルフの里に住んでいた私達姉妹は幼い頃に両親を亡くし、その後母の親友であるエキナさんが私達の面倒を見てくれました。
いえ、エキナさんだけではありません、里に住む皆さんにも色々良くして頂いてましたね。
まぁ兎も角、そんな皆様のおかげで私達姉妹も17になり、それなりに幸せな日々が続いていたのですが・・・
あの日、エルフの里でジビナ病という、エルフ族のみが掛かる病が広がり、里の半分以上の人が床に臥せるという大事件が起きたのです。
ジビナ病の症状とは、高熱にうなされ、筋力と体力が低下し、そして約10日で間違い無く死に至るというものです。
お医者様の話では、この病気を治すお薬があるにはあるのですが、とても高いそうです、そしてそのお薬を里の病に臥せた人達の分を用意するとなると、その額なんと30万コル・・・もちろん私達にそんな大金などありません。
ですがこのままでは、今まで私達に良くしてくれた人たちが死を待つだけです。
そこで私とシアは話し合い、私達の為に色々としてくれた里の皆さんへのご恩を返す為、私達自身を奴隷として売り、その薬を買う資金にしました。
私達はすぐにお医者様の所へ行き、私達を売ってそのお金で薬を売って下さいと話を持ち掛けました。
こうして里には薬が届き、ソレを飲んだ里の皆さんは熱は引き、落ち着いた表情になり、次の日には体調は完治したのです。
そんな皆さんの元気な姿を影から確認した私達は、お医者様に王都の奴隷商へ連れて行ってもらい、奴隷へと身を落としたました。
私達は二人は少しでも高くなるようにと、ランクC奴隷の了承も付けた事で、二人で40万コルという価値が付きました。
その内の30万コルはお医者様に、そして残りの10万コルは、私達のお手紙と一緒にエキナさんの元に届けて頂きました。
その後しばらくの間、私達は奴隷としての知識や礼儀の勉強し、そしてついに商品として売られるようになった事で、私達はどの様なご主人様の下へいくのだろうかという、そして私とシアはきっと別々のご主人様の下へ行かなければならないだろう・・・と心配していたのだが、大切な姉妹と別れる事になるかもしれないその日を、恐怖しながら待つ事となりました。
そんな私達の前にとても同じ奴隷とは思えないような姿のミールを連れた主様がやってきたのです。
こうして私達二人は主様の買って頂けたのです。
しかもその後、私達にもミールの様に新品の服や靴を買い与えて頂けたり、一緒に食事をしたり、夜には一緒のベッドで眠ったりと、良い意味で、奴隷商で勉強した奴隷としての知識と礼儀が無駄になるような扱いをして頂けたのです。
そして私達は、出会って間も無い主様の事をお慕いし、エルフにとって大切な信頼の証を主様に捧げ、今では主様の伴侶となっているのですから、人生とはホント解らないものです。
はぁ、まさか僅か17歳で結婚出来るとは思ってもいませんでした・・・あ、決して不満があるわけじゃないですからね?
むしろ幸せだと思っていますよ?
「・・・じょうさま・・・ノアお嬢様!」
徐々に聞こえてくる私を呼ぶ声にハッとしました。
「す、すみません!私ったら、ボーっと考え事を・・・」
「いえいえ、私の方こそ考え事のお邪魔をしてしまい申し訳ありません、ただその~お鍋が噴きこぼれてしまっていますので」
「え!?あ!!す、すみません!ああどうしましょう!」
「あらあら、とりあえずそのお鍋を釜戸から降ろしましょうか」
そう言ってサティアさんは私の前にある鍋を持ち上げ、地面の上に降ろし、中身を確認して頂きました。
どうやら直ぐに火から降ろした事で、スープは無事だったらしく、このまま他の準備が整うまで置いておく事にします。
しかし、いくら中身が無事だったとはいえ、こんな失敗をしてしまった事事態がとても悲しく思います。
サティアさんが、そんな私を見て「失敗は誰にでもある事です、大事なのは同じ失敗をしないようにする事ですよ」と励ましてくれました。
それから少し経った頃、主様とミールさんが自分達で切り倒した木を私達の近くの所へと置いていきます。
どうやらこれから家を建てる・・というより造るらしいです。
丁度、予備の薪き木集めから戻ったシアとミリー、そして食事の準備をしていた私達全員が、これから行う主様の行動に注目しています。
どんな家になるのかな?とワクワクとしていると、主様が創造を使い、そこにあった大量の木や石が形を変えていく。
家の形が半分ほど出来たとき、主様の魔力が切れたようです、大丈夫でしょうか?
そう思っていると、主様はマジックポーションを1本取り出し、飲み干しました、そして残りの半分も完成させ、ついに私達の仮とはいえ、拠点が出来たようです。
「ほんと、私達のご主人様は凄い人ですね、テレポートというスキルに続き、物を別の形に変換させるスキルまでお持ちになっていらっしゃるとは」
「それに主様はとても強く、そしてとてもお優しいのです」
「あらあら、ノアお嬢様は本当にご主人様の事がお好きなのですね~」
「はい」
サティアさんの言葉に、私は笑顔で答えます、だってこの気持ちは本物ですから。
その後、食事を一緒に頂くことを「私達は後から頂きますから」と拒むメイドの皆さんに、主様の意向だからと説得し、みんな一緒に美味しい食事を頂く事となったのです。
やはり皆さんと一緒に頂く食事は良いものですね。
食事も終わり、この後は主様が準備された、お風呂に入る事になりました。
私はつい最近まで、水浴びかお湯で濡らした布で身体を拭いていたのですが、お城で初めてのお風呂を体験させて頂き、とても気持ちの良い思いが出来たのを思い出しました。
ですから、この後がとても楽しみです♪
次回 第25話 妹
ホントなら、25話も書いて一緒にUPしようと思ってたのですが、思ったより24話で時間を食ってしまったので、もう先に24話上げる事にしました。
誤字報告の訂正で気づいたのですが、私これをアップするとき、寝ぼけてたのか訂正前のテキストを間違えてコピペしてたようです。
なので最初の方を少し、仕事の合間にスマホで編集させていただきました。




