第225話 放て!すべてを吹き飛ばす爆裂魔法
完全復活してしまった三つ首のドラゴンとミール達の再戦が始まる。
力の制御に励む途中、チラッとミール達の戦いの様子を見てみたのだが、どうやら心配はなさそうだ。
もし、復活する事で更に強くなるというパターンだったら、なんて思ったが、そんな事も無く一安心。
ミール達の心配が必要なさそうだと分かると、俺は再び力を制御するため集中する。
現在サラから受け取った力は、俺の胸元でバレーボール程のサイズの光る球体となっている。
「(そういえば、アレを使えば出来るんじゃないのか?)」
ミール達の心配も必要がなくなり、焦りも消えた事で、俺は自分のスキルの存在を思い出した。
それは[分解と融合]である。
もしも、なんていう失敗した時の事など考える事もなく、俺はさっそく試してみようと、サラの力を左手に乗せ、右手に自分の魔力を集め始める。
こういった魔力を集める事は出来る癖に、なぜ体内の循環が出来ないのだろうかと自分でも不思議に思えたが、今は考えない事とし、今からする事に集中する。
そんな俺の様子を、サラは俺が何を始めるのだろうかと静かに見守っている。
サラが見守る中、俺は三つ首のドラゴンを完全に消滅させるにはかなりの量の魔力が必要になるだろうと思い、俺が持つ全魔力の半分を使うと決め、それを右手へと集中させる。
そうして出来上がった魔力の玉は、気づけばバランスボール程のサイズになっていた。
「なんかえらくデカいな」
完成した魔力玉を見てそう呟いた俺に、サラは「それは力を圧縮すれば小さくなるよ」と教えてくれる。
「まぁ、そういう力の制御については今後練習するとして、とりあえず今はこれで良いとして…」
「それをどうするつもり?」
首を傾げ、俺の考えを聞こうとするサラに、俺は「こうする!」と言うと同時に[融合]を使用する。
すると二つの力は一つに混ざり合い、直径50㎝程の虹色に輝く魔力玉となった。
「よし!」
思った通りに出来た俺は、そう口にしつつ、内心ではガッツポーズをしていた。
そんな俺の正面では、サラが目を見開き、口を大きく開けた状態になっていた。
「まさか、そんな方法で…はぁ」
あまりにも強引なやり方に、サラは驚きを通り越し、呆れてた様子でそう言い、ため息を吐く。
「まぁまぁ、こうして出来たんだから良いだろ?」
「ソウダネ」
呆れているサラの返事は棒読みになってしまっていた。
兎にも角にも、こうして魔力の合成が完成したので、俺はすぐにミール達に下がるように声をかけると、それを聞いたシアはファイアボールを三つ首のドラゴンの手前へと放つ。
爆発で土煙が巻き起こり、三つ首のドラゴンの視界を遮ると、それを合図にミール達は一斉にその場を離れ、こちらへと向かい駆け出した。
そうして全員が退避し終えたところで、俺は虹色に輝く魔力の玉を頭上に掲げる。
「それじゃシルフ、ディー、防御は任せたぞ!」
「おう!」
「お任せください!」
二人からの頼もしい返事を聞くと、俺大きく深呼吸をし、これから放つ魔法の為に気合を入れなおす。
丁度その頃、先程のシアが放ったファイアボールで巻き起こっていた土煙も収まり始め、その向こう側に三つ首のドラゴンの姿が見え始めていた。
「よし、それじゃいくぞ!」
「「はい!」」
シルフとディーのその返事を合図に、俺はこの手にある、とてつもない力を秘めた魔力を元に、アニメやラノベで定評のある爆裂魔法、エクスプロージョンを解き放った。
次回 第226話 消滅確認!そして…




