第217話 思わぬ成長っぷり
最後の部分にミスがありましたので訂正しました。
成長しおすぎ→成長しすぎ
我が家自慢のお風呂に入り、十分に温まると共に身体の疲れもとれた俺達はリビングに戻り、コロンに作ってもらった昼食を頂いた。
そうして空腹も満たす事が出来た今、俺達は寝室にてのんびりと食休みをしていた。
お風呂で体は温まり、軽めの食事とは言え、それなりにお腹も満たされた今、このまま皆と眠ってしまいたいとも思えるが、本当に寝てしまうわけにはいかない。
一休みした後は[恵みの湯]の様子を見に行く予定があるのだ。
コロンの話では俺達が出発した日の夕方に次々とお客様が来ていたらしく、もしかしたら客室は全て埋まっている状態ではないだろうかと予想している。
なんたって我が家のメイド達が昨日に引き続き、今日も手伝いに行っているという程である。
可能性は十分だ。
そんな事を考えつつ、暫しの休憩を取り終えた俺は、ミール達を残して[恵みの湯]へと向かい家を出る。
外に出ると雨は未だシトシトと降り続けており、俺は自身にウィンシールドを張り、雨に濡れないようにして歩き始めた。
流石に不特定多数の人がいる場所に転移するわけにはいかないのだ。
雨の降る景色をのんびりと眺めながら歩き続け、10分後、俺は[恵みの湯]の前へとやって来た。
建物の中からは、指示を出す女性の声が聞こえてくる。
[恵みの湯]の建物内へと入ると、そこにはタリアと4人の従業員の姿があった
「これはご主人様、いつお戻りになられたのですか?」
「少し前にね。それより、[恵みの湯]がかなり忙しいって聞いたんだけど、どういう状況?」
タリアに今の状況について説明を求めると、タリアは先にそこに居た従業員達に指示を出し、それを聞いた従業員達はすぐに言われた場所へと速足で向かって行った。
「お待たせしました。それでは状況をご報告させていただきます」
そう前置きをし、タリアの報告が始まる。
その内容によると、俺達が出発した日の夕方にやって来た沢山のお客様で[恵みの湯]の客室はあっという間に足りなくなっていた。
どうしたものかと悩んだ結果、[恵みの湯]に泊まる事が出来なかったお客様の為に、急遽、オルリア村に作っておいた宿となる予定の建物を使う事にしたそうだ。
但し、[恵みの湯]で温泉に入ってから移動をしなければならないのと、その宿にはまだベッド等が用意されてないので、雑魚寝になってしまうという事を踏まえ、そちらを利用するお客様は、冒険者を対象とし、更には少し料金を安く設定しているそうだ。
こうして何とかお客様全員に泊まる場所を確保する事が出来、今は漸く落ち着き始めているところらしい。
「以上が[恵みの湯]の現状でございます。村の宿予定の建物を、ご主人様の許可無く私の勝手な判断で利用し、真に申し訳ありませんでした」
「そんな謝る必要なんてない。ディーから聞いてたでしょ?[恵みの湯]はタリアに任せるってさ」
気にする事は無い、と伝わるよう、俺は優しい笑顔で答えた。
するとタリアは…
「ありがとうございます」
そう言って頭を下げた。
きっとこのお礼の言葉は、信用して任せてもらえた事に対するお礼なのだろう。
その後、タリアには他のメイド達と共に引き続き[恵みの湯]のサポートを頼み、俺は[恵みの湯]を後にする。
そして我が家まで戻り、玄関を潜った瞬間、頭の中に久しぶりな声が聞こえて来た。
『お久しぶりですナツキさん、お伝えしたい事があるので、今から5分後、ナツキさんの意識をお呼び致します』
女神モイラの声である。
伝えるだけなら今みたいに話しかけてくれればいいのでは?と思いながらも、俺はリビングに顔を出し、そこに居たミール達にもうすぐ女神モイラに呼び出される事を伝えておき、俺はすぐに自室へと向かい、ベッドに横になる。
これでいつ呼ばれても大丈夫。
そう思いながら目を閉じ、じっと呼び出されるのを待ち続けた。
それから3分程経ち、俺の意識は久し振りに狭間の世界へと呼び出された。
意識が呼び出された事に気付いた俺は、そっと目を開く。
すると視界の先には、以前来た時は俺の濃し程の高さだった世界樹の苗だったが、今は俺の身長よりも少し高いくらいの立派な木と呼べるモノへと成長していたのである。
「そんな成長するような事何もしてないはずだが、成長しすぎじゃね?」
身に覚えのない何かで、世界樹が思わぬレベルで成長をしていた。
次回 第218話 意外なところで




