第213話 王よりも王妃に
すみません、書いてる途中で寝落ちしてて投稿が遅れてしまいました!
サラの口から聞こえてきた[地の精霊石]という単語、そしてそれを見た時に慌てていたその理由がとても気になるところだが、まずはエルの実家へと戻る事にし、レイには悪いと思いながらも、龍籠に乗った俺達を、お城まで運んでもらう。
帰りの龍籠の中では、サラとシルフは悲し気な表情のまま、[地の精霊石]をじっと見ていた。
そんな二人の様子に、俺達は城に着くまではそっとしておこうという事になった。
それから少し経ち、俺達は城に到着したのだが、流石に城の中庭にレイが降り立ったせいで騎士達が集まり、俺達に向かって武器を構えるといった騒ぎが起こるが、エルのお陰ですぐに騒ぎは収まったので助かった。
その後、俺達はメイドに案内してもらい客間へと移動すると、そこで漸く一息つく事が出来た。
しかし、そんな俺達とは違い、部屋の中央にあるテーブルの上に座るサラとシルフは、まだ消沈気味である。
漸く落ち着ける場所へと戻って来たので、そろそろ二人が消沈している理由について尋ねてみる事にした。
「サラ、シルフ、その地の精霊石ってのは何なんだ?」
声を掛けると、サラとシルフはお互いが顔を見合った後、サラが口を開く。
「精霊石っていうのはね、精霊が死んだ時に出来る石の事なんだよ。例えば火の精霊が死ねば火の精霊石に、風の精霊が死ねば風の精霊石にって感じにね。
因みに普通の精霊石っていうのは、死んだ精霊の強さにもよるんだけど、基本はこの位のサイズだよ」
そう言ってサラがその小さな体で表現したのは、小指の先程度のサイズだった。
しかし、俺達が持ち帰ったのは、握り拳程はあろうかというサイズである。
「まてまて、って事は俺達が持って帰った精霊石はそれなりに力の強い精霊から出来た物になるぞ?」
この時点で大体予想は出来ていた、それでも俺はサラの口から真実を聞こうと質問を投げかけていた。
そして帰って来た答えは…
「そう。これはもう精霊王クラスの、といか、ハッキリ言うと地の精霊王が死んで出来た物だよ」
予想は当たっていた。
だが、サラの話はそれだけでは終わらない。
「だけど、それよりも重大な事がある」
「重大な事?」
「うん。地の精霊王が居ない今、この世界の大地は弱り始め、いずれ滅びちゃうんだ」
「そんな!」
「ぇ!?」
「うそでしょ!?」
サラが口にした内容に、ミール、ミリー、シアが驚きの声をあげる。
声を出していない、ノア、エル、レイの3人は、目を見開き、驚愕の表情を浮かべていた。
「如何にかする方法はないのか?」
「それは…」
「地の精霊王の素質を持った者を探す、もしくは育てればいいんだ」
俺から視線を反らし、その先の言葉を言い出そうとしないサラに代わり、シルフが答える。
「探すか育てる、か」
シルフが口にした言葉を聞き、どうしたものかと皆で相談を始めたが、そのどちらの解決法も当ては無いまま時間だけが過ぎていく。
そんな俺達がしんみりとする中、シアが口を開く。
「ねぇ、今こうして考えていても分からないんだし、地の精霊王様の事は一旦置いといて、今回の騒動の原因は倒した事をグラス様に報告しておかない?」
どの道こうやって考えていても答えは見つかりそうにもない。
ならばシアの提案に乗るのも良いだろうと思ったが、その為に一つ確認しておくことがあった。
それは地の精霊王の件について、どれくらいの猶予があるかと言う事だ。
その事についてサラとシルフに確認してみたところ、今すぐに影響が出始めるという事は無いと言う事が分かり、この件については一旦保留となった。
こうして俺たちはシアの提案した、今回の騒動の原因を倒した事の報告をする為、会いたくは無いグラス王の元へと向かおうとしたのだが、そこでエルが待ったをかけた。
「報告をるのなら、お父様よりもお母さまの方にしましょう。その方が話は進みやすいかと思います」
流石に報告くらいはきちんと聞いてくれるだろうとは思うのだが、エルがこう言うのならそうした方が良いのだろう。
確かに俺もグラス王とは出来るならば会いたくないし。
そんな本音を口にはせず、俺達はエルの母親である、王妃との面会という案に賛成した。
次回 第214話 逃げるように去るのみ




