第207話 合流
ナツっちに頼まれてミール達を地上に連れて来たのはいいんだけど、ミールがナツっちの事が心配だと言って中々動いてくれない。
このままじゃナツっちに頼まれてた、街の人の救助に向かえない。
だからオレっちはミールに行動するように説得する事にした。
「ねぇミール、そんないつまでもナツっちの事を心配してもしかたないよ?ナツっちの強さならミールもよく知ってるでしょ?」
「それは、そうですが…」
「だったら、今はナツっちの心配より、頼まれてた事を優先した方がいいんじゃないの?」
オイっちの呼びかけには答えてくれるけど、それでも尚、心配そうな表情でナツっち達の飛んで行った方を見ているミール。
オレっちはそんなミールの頭に乗り、早く行動しよ?って説得してたら、後ろからミールを呼ぶ声が聞こえて来た。
「ミールさん!」
顔を向けてみると、そこにはミールとは違い、ナツっちに言われた事を成そうとやる気になっているエルが居る。
「頼まれた事もせず、ただナツキ様の心配をしているだけじゃ、ナツキ様をガッカリさせちゃいますよ?それでも良いのですか?」
「そうだよミール。主様に頼まれた事くらいちゃんとやらないと、もう髪と尻尾のブラッシングしてもらえなくなるかもしれないよ?」
「それは嫌です!」
というか、流石にそれは無いんじゃないかな?
だって、アレってナツっちがしたいからやってる事だって、前にサラが言ってたし。
けどまぁ、今がミールの説得のチャンスっぽいし、オレっちもこの流れに乗っておこっと。
「じゃあ、早く救助に向かおうよ!」
「わかり、ました」
まだ未練のありそうな感じがあるようだけど、ミールが漸く動いてくれた。
よかったよかった。
「それじゃ、二組に分かれて行動しようか」
そう言ってオレっち達は、ミール、ミリー、エルのチームと、オレっち、ノア、シアのチームに分かれ、それぞれが崩れた建物や、瓦礫の転がっている街の中で行動し始めた。
「(こういう時に地の王が居てくれたらいいのに)って、そういえばナツっちのスキルに良いのがあったっけ!」
材料となるものを好きな形に作り変えれるスキル、創造の存在を思い出したオレっちは、地面にごろがっていた瓦礫にスキルを使い、その形を、自分の姿を象った像へと変えていく。
瓦礫を片付けるついでの、ちょっとした遊び心ってやつだね。
(後に、シルフの作った数々の元瓦礫は、王都で神聖な観光名所となる)
ある程度片付いてきたなって思ってノアとシアに声を掛けようと思ったら、オレっちの周りに二人の姿は無かった。
どうやらオレっちが一生懸命頑張ってるうちに、ノアとシアは傍から離れてしまってたみたいだ。
二人はどこに居るんだろうと思ったオレっちは、風に二人の居場所と様子を尋ねてみると、二人共街の中心の方にいるらしく、手分けして瓦礫の下敷きになった人を助けているらしい。
「こっちも片付いたし、オレっちも二人の所に…ッ!?」
そんな風に呟いていると、オレっちの元に風から大変な知らせが届いた。
なんでもナツっち達が追いかけて行ったヤツと同じ気配が、地の国の方からすっごい速度で近づいてきているって。
「大変だ。早く皆に知らせなきゃ!」
とりあえず皆で合流するべきだと思ったオレっちは、まずはノアとシアの元へと急いだ。
その道中、ナツっちには念話で知らせておいた。
皆にも伝えたらすぐに手伝いに行くから、ナツっち、無理しないでよ?
次回 第208話 再出撃




