第195話 約束と契約~後編~
誤字があったので訂正しました。
次回タイトル変更しました。
その後、風の精霊王から[世界を蝕む闇]だと思われる相手の現在の状況について尋ねてみたところ、[嘆きの穴]の入口は風の精霊王が結果を張っているらしく、今すぐに討伐へと向かう必要はないと言う事なので、出発するのは明日盗賊達を引き渡した報酬を受け取った後に向かう事が決定した。
というのも、討伐に向かうのなら俺の武器や必要な道具を買っておく必要があるからだ。
まぁ、最悪武器くらいは無くても何とかなるが、手持ちのマジックポーションが少ないので、それくらいはいくつか買っておきたいところだ。
明日の予定が決まったところに、タリアが俺の元へとやって来た。
「ご主人様、夕食の準備が整いました」
「あれ?もうそんな時間だったか」
夕食の準備と聞き、ふと窓の外へと目をやると、外はすでに暗くなっていた。
どうやら俺達の話は結構な時間続いていたようだ。
その後始まった夕食の時間は、普段のメンバーに加え、風の精霊王も加わった事により、一層賑やかなものとなる。
そして夕食後、その小さな体のどこに入っているのか分からないと思えるほどの量を食べて満足し、リビングの床に寝転がる少年の姿があった。
幸せそうな様子の少年についてはサラに任せ、俺は風呂に入る事にし、ミール達を誘う。
風呂から上がりリビングへと戻ると、幸せそうな表情で寝転がっていた少年の居た場所に普段のサラと同じ位のサイズをした、鮮やかな緑色のドラゴンがちょこんと座っていた。
「へ~、風の精霊王もサラと同じタイプのドラゴン形態なのか」
「まぁね!可愛いでしょ!」
自分の事を可愛いというのもどうかと思うが、確かにペット枠に入れたくなりそうな程に可愛らしいので、肯定しておく。
「って、そんな当然の事はとりあえず置いといて、ナツっち!オレっちと契約しようぜ!」
「いいのか?」
「おう!ナツっちと契約すりゃ、オレっちも色々なスキルが使えるようになるし、強くもなれる!そしてナツっちもオレっちの力を使う事が出来る様になる!お互いいい事尽くしだからな!」
すごく活き活きとした様子で捲し立てる様に喋る小さなドラゴンに圧倒され、俺はただ「お、おう」と答える事しか出来なかった。
「それじゃさっさと契約しようぜ!」
風の精霊王はそう口にすると、俺の前へと浮かび上がり契約魔法を発動させる。
精霊王と契約するという行為が、これほどまでにアッサリとしてて良いのだろうか?
そんな疑問が頭に過っている間に、俺の足元には緑色の光を放つ魔方陣が浮かび上がり、風の精霊王と契約する準備は整った。
「さぁナツっち、オレっちにも名前をつけてくれ!」
「わかった」
名前を求められ、俺は風の精霊王らしい名前について考える。
といっても、すぐに思いつくのはやはりアレ位しかない。
そう、よくゲームや物語で使われる風の精霊といえばコレ!と言えるあの名前である。
「それじゃこれから風の精霊王の名前はシルフだ」
目の前に浮かぶ鮮やかな緑色をした子犬サイズのドラゴンは、そっと目を閉じ、俺が口にしたその名を小さく呟いた。
「シルフ…うん良い名前だな!これからもよろしく頼むな!ナツっち」
シルフと命名された風の精霊王がそう口にした瞬間、俺の足元に輝く緑色の魔方陣がより一層、眩い光を放つ。
そして光が徐々に収まり始め、最後に俺の足元の魔方陣がきえた事により、俺とシルフの契約が完了したのであった。
次回 第196話 出発の準備