第190話 増えた入居者
エキナに空き家を譲る事が決まった後、サラの「また焼肉パーティーでもする?」という一言をきっかけに、本日の夕食はオルリア村に住む住民や、[恵みの湯]に宿泊するタージュとボーロも招待しての、焼肉パーティーをする事となった。
メイン食材となる肉は、昨日の討伐で大量にゲットしたキングボアの肉があるので問題は無い。
ただ、鶏肉も欲しかったので急遽レイに頼み、スカイファウルを獲って来てもらう事に。
そうして準備は進められて行き、空が暗くなった頃、複数のかがり火が設置された我が家の前には、参加者全員が集まり、今か今かとパーティーの開始を待っていた。
「それじゃあこれより、焼肉パーティーを開催します!皆、肉はタップリあるから、限界まで食ってくれ!!」
「「「「おー!!!」」」」
我が家の前に集まった人達に向かい、焼肉パーティー開催の言葉を投げかけた俺に、参加者達は大きく力強い声をあげ、第2回焼肉パーティーが開催される。
途中、美味しそうな匂いに釣られるかのように、ボアやウルフといった獣が乱入する事もあったのだが、ノアとシアによる弓と魔法にてあっさりと退治され、ボアは焼肉パーティーの食材として追加され、ウルフは俺のアイテムボックスへとしまわれるという、出来事もあった。
第2回焼肉パーティーは夜遅くまで続き、オルリア村に静けさが戻ったのは、日付が変更しそうな頃であった。
翌朝、珍しく早く起きたミールとミリーに俺は起こされ、そして襲われた。
どうやら昨夜のプレイ回数が少なかったらしい。
そんな淫靡な一時を終え、俺、ミール、ミリーの3人は朝からお風呂に直行する事となる。
そうしてお風呂でサッパリした後、再び俺の部屋へと直接戻って着替えを済ませる。
そこからは普段通り、隣の寝室へと向かい皆と朝のスキンシップタイムを始め、全員の身嗜みが整ったところで朝食を食べる為リビングへと向かう。
「あら、皆さんおはようございます」
リビングに入ると、俺達より早く起きていたエキナ、ボード、シルバの3人が椅子に座って待っていた。
というのも、昨日エキナに空き家を譲る事は決定したのだが、まだ人が住める状況ではないので、昨日は我が家の客室に泊まってもらっていたからである。
もちろんボードとシルバの二人も客室に泊まってもらっていた。
俺達もエキナ達に挨拶を返し食卓につく、そして昨日の焼肉パーティーを話題にしながら、朝食の準備が出来るのを待っていた。
朝食が済み、皆で一緒に食後のお茶を飲みつつ午前中は何をしようかと話していた。
「それなら主様、午前中はエキナおばさんの家を住める環境にするっていうのはどうかな?」
「そうだな、せっかくだからさっさと住めるようにしてしまった方がいいか」
シアの提案に、俺やノアが賛成する。
しかし、そんな俺達にエキナは申し訳なさそうな声で話しかけて来た。
「そんな、家を譲ってもらえた上にそんな事まではさせれないわ、それに、一度は里に戻って荷物を纏めないといけないから、どのみちすぐには住めないわ」
一度は里に戻る。
それを聞いたノアとシア、そして俺は確かにその必要はあると納得するのだが、そういう事ならばと、俺は更なるおせっかいを口にする。
「それならレイ、頼めるか?」
「はい。それくらいたやすい御用です」
俺とレイの会話についてこれないエキナの頭上には「?」が浮かんでいたのだが、そんなエキナにノアとシアが解説をする。
もちろんそれを聞いたエキナは驚きつつも断ろうとするのだが、そんなエキナに俺は、ついでにノアとシアにも久々に故郷に帰らせてあげたいという、少しばかり強引な説得をし、何とかエキナには俺達のおせっかいを全て受け入れてもらえる事となった。
こうして、午前中、というよりも今日一日の予定が決定するなり、すぐさまノアとシアの故郷へ行こうかと言う事となる。
俺達は残りのお茶を飲み干し、エキナ達の準備を待った後、出発すべく家の外へと移動する。
アイテムボックスから龍籠(大)を取り出し、元の姿に戻ったレイの首に掛けてもらったところで、出発の準備が整い、いざ出発と思ったその時、離れた場所から俺達に向けた声が聞こえて来る。
「ナツキさーん、これからお出かけですかー?」
声のした方を振り返ると、こちらに向かいながら手を振るタージュとボーロの姿があった。
そんな二人は歩く速度を速め、すぐに俺達の傍までやって来た。
「ちょっと出かける事になってな。ところで二人は何でココに?」
朝風呂に入るなりし、もっとゆっくりとすればいいのにと思いながら俺は二人に訪ねる。
「いや実はですね、私達もこの村に拠点を構えようって話になったんで、こうしてナツキさんに報告しに来たんですよ」
「本当ですか!?」
エキナに続き、タージュとボーロまでもがオルリア村に住んでくれるようになってくれるのが嬉しく、俺はそう口にしながらも、その声と表情には喜びの色を浮かべていた。
「はい!なので、私達はこれから王都に向かい、そこで大工を探しに行こうと思います」
そう言って二人は背中にしょっているリュックを見せる。
そんな二人に対し、ふと、もう一つ残っている空き家を譲ってあげようかと考えたが、すぐにその案を撤回する。
タージュとボーロは、ごく最近知り合ったばかりという、ただそれだけの関係である。
そこまでしてやる理由は無いだろう。
「そうか。ここから王都の間に強い敵は出ないだろうが、道中気をつけてな」
「ああ。それじゃあ、また数日以内に大工を連れて戻って来るから!」
こうしてタージュとボーロは王都に向けて発ち、俺達はその後ろ姿を見送った後、エルフの村へと出発した。
次回 地図シリーズ
地図が欲しいというコメントを頂きました。
そんな訳で次回!全く無いと言える程の画力を用い、地図を書こうと思います。
大体の位置がわかる程度の者にしかならないと思いますので、どうかご了承ください。
ホントに下手なので…




