第186話 育ての親
寝落ちして投稿が朝になってしまいました。
すみません。
これから畑仕事を手伝いに行かないといけないからと言い、畑の方へと向かって走っていくロムの後姿を見送った後、俺は3人組のエルフを家へと招き入れた。
初めて我が家に訪れた3人に対し、玄関で靴を脱ぐ事を説明した後タリアを呼び、客をリビングへと案内してもらい、俺は寝室に居るであろうノアとシアを呼びに向かった。
そして。二人を連れてリビングへと戻ると、ノアとシアはそこに居た3人を見て驚いていた。
「ノア!シア!」
驚く二人の姿を見て、女性のエルフは立ち上がりながらノアとシアの名を口にする。
「エキナおばさん!それにボードさんにシルバさんも!どうしてここに!?」
先に我に戻ったシアが口にしたエルフの3人組の名前に、俺は予想していた事が当りだと確信し「やっぱりか」と呟いていた。
と言うのも、以前に俺は、ノアとシアから二人の過去について聞いていたのだ。
そしてその話の中で、育ての親であるエキナという名前が出て来たのを覚えていた。
「数日前、私達の里に王国の姫君と狼人族の少女、そして双子のエルフ姉妹が王都で結婚式を挙げたって噂が流れて来たの。
この双子のエルフ姉妹ってもしかしてノアとシアの事じゃないかって思った私はね、ボードさんとシルバさんに護衛をお願いして王都まで情報を集めに行ったのよ。
そしたらやっぱりノアとシアの事だったってわかって、今度は二人が住んでる場所について情報を探したわ。
そうして漸くここに居る事が分かったから、こうして会いに来たのよ。
貴方達にお礼と、お祝いを伝えるためにね」
「おばさま…」
エルフの感覚からすれば離れていた時間はそう長い間ではないだろうが、再会を喜ぶ双方の為にゆっくりと話す場が必要だろうと思い、客であるエキナ達とノアとシアを残し、俺はその場をメイド達に任せてリビングを後にした。
と言うのも、既に時間は昼前であり、そろそろ王都に向かわねばならないのだ。
テレポートスキルで行くのならもう少しだけゆっくりとしてられるのだが、もしテレポートで王都に行くと、レイが悲しむ気がするので、使うわけにはいかない。
そんな訳で俺はレイを探しに家の外へと出ると、そこに丁度レイが立っていた。
「レイ、王都まで頼めるか?」
「はい!お任せください!ところで、今日はマスターだけですか?」
「まぁ、今日は報酬を受け取りに行くだけだからな。それにノアとシアは今、故郷の人達とお話をしているし、ミールとミリーとエルは孤児院で勉強を教えに行ってるから居ないんだよ」
「ではマスター!今日はレイの背中に乗って下さい!」
何故背中を進める?と不思議に思えたが、偶には良いかと思った俺は、今日の移動時はレイの背中に乗る事を承諾した。
但し、性鱗には絶対に触れまいと心に誓う。
そんな訳で、元の姿に戻ったレイの背中に乗り、俺とレイは二人きりの空の旅を始める。
いつもの龍籠に乗って運んでもらっているのとは違い、レイに直接乗って高速で移動するのは新鮮な気持ちであり、どこかいつもよりも、空を移動している!という感覚が強い気がした。
「なぁ、レイ」
『何ですかマスター?』
「またこうやって背中に乗せてもらってもいいか?」
『はいっ!是非!』
レイから送られる返事はす、とても嬉しそうだった。
そんな返事を聞いた俺は、次に乗るときの為にも、鞍のような物を作っておこうと考え、ソレはどのような感じに作ろうかと考え始めていた。
それから10分少々後、俺とレイは王都の門前へと降り立ち、既に俺達の顔を覚えている門番に街に入る許可をもらい、ギルドに向けて歩き始めた。
その道中、レイは俺に話しかけてくる。
「マスター、ノアさんとシアさん、すごく嬉しそうでしたね」
レイは一体いつの間にノア達の里の人との再会シーンをみたのだろうか?
そう不思議に思いつつも、俺はその時の事を思い出しながら答える。
「そうだな。本当は近い内に二人の里まで連れて行って会わせてあげようと思ってたんだが、まさか向こうから来るとは。
ともあれ、これで両親に会ってないのはエルとレイだけだな。
因みにレイの故郷ってどこにあるんだ?」
「レイの故郷はドレッド山脈にあります」
「ドレッド山脈?それはどこにあるんだ?」
聞いたことのない名前に、俺はレイに訪ねてみる。
レイによると、ドレッド山脈とは、火の国フレムスト、水の国アクルーン、風の国ウィンディア、地の国アースガルの4つに囲まれるように存在する山脈であり、このドレッド山脈は、どの国にも属していないそうだ。
「そんなところにあるのか。まぁ、何時にするかは決めてはいないが、その時は俺達をレイの両親の元に連れて行ってくれ。一応挨拶くらいはしておきたい」
「はい!」
レイとの話がきり良く終わったところで、俺達は冒険者ギルドの前へと辿り着く。
時間は既に昼を過ぎており、もう報酬の準備は出来ているだろうと、俺達は冒険者ギルドの中へと入って行くのだった。
次回 第187話 再会を喜ぶエルフ達の会話