第182話 癒しのモフモフ
夜中に投稿するつもりでしたが、最後の方を書いてる途中で寝落ちしてしまってました…
ほんの少しだけしか魔力を込めなかったはずのフレイムランスが、一条の光となりダークスピリットの体を貫ぬき、大地へと突き刺さる。
すると辺り一帯は眩い閃光に包まれたかと思った瞬間、激しい爆風と音が周囲へと襲いかかる。
俺は咄嗟にウインドシールドで皆を包み、爆風から身を守ったおかげで眩んだ目以外は無事だった。
少しして視力は回復し、爆現地となった場所を見てみると、そこには巨大なクレーターだけが存在していた。
ダークスピリットの姿はどこにもない。
しかし、俺の放ったフレイムランスは確実にダークスピリットを貫通したのを見ていたので、間違いなく倒しているはずである。
と言う事は、つまりダークスピリットは跡形もなく消滅したという事になる。
「まさかこれ程の威力が出るとは、また力の制御の特訓しないとな」
自分なりには、ほんの少しだけしか魔力を込めていなかったつもりだが、現実は予想以上の威力を発揮していた。
ダークスピリットの高いステータスを確保出来なくなってしまったのが残念ではあるが、それは自分の選択した魔法が悪かったので仕方がなく、終わったことを考えても仕方がないので、俺は帰宅を提案し、全員からの賛成を得たところで、家の玄関に向け、テレポートスキルを発動させた。
家へと戻って来た俺達は、すぐに食事の準備を頼み、料理が来るのをテーブルに座り、お茶を飲みながら待っていた。
待つこと10分と少々、タリア、アルカ、ココ、サティア、エマル、ククリが出来た料理を運んできてくれた。
「あれ?コロンはどうしたんだ?」
メイド達の中に、コロンの姿が見えなかったのでタリアに尋ねてみたところ、どうやら今日は獣人特有の月に1回来るあの日らしく、メイドとしての仕事が無理なので今日は夕方から休みを与えたようだ。
猫人族であるコロンは、今頃は猫の姿になっており、メイド達の部屋にある自分のベッドで丸くなっているらしい。
それを聞いた俺は、テーブルに両手を置き、タッ!と椅子が勢いよく後ろへと押し出しながら席を立つ。
そして真面目な表情のまま、気になっている事を口にする。
「猫の姿になったコロンをペットの如く愛でるのは浮気になるのだろうか?」
俺にとって重大なこの疑問に答えたのはミールだった。
「相手の姿が今は動物であろうと、元は獣人であるため、世間的には浮気と言う事になります。
ただ、コロンさんの場合は現状ナツキ様の奴隷、しかもC級奴隷なので、浮気と言う事にはなりません」
淡々と答えてくれたミールの話を聞き、俺はテーブルについたままの右手を、力強く握りしめた。
浮気にはならない。
それを知った俺は、すぐさま指示を出す。
「よしココ!コロンを連れてきてくれ!」
「は、はいにゃ!」
未だ真剣な表情のままココへと指示を出すと、ココは驚く様に返事をしつつ勢いよく立ち上がり、コロンを呼びにリビングから出ていく。
コロンを迎えに行ったココは、茶色い毛並みをした猫の姿をしたコロンを両手で抱き、すぐにリビングへと戻って来た。
「ご主人様、どうぞ」
そう言ってココはおとなしく抱きかかえられていたコロンの身柄を俺に差出した。
コロンの両前足の脇を持つようにして受け取ると、俺は椅子へと座りなおす。
そしてそのまま膝の上へとコロンを下ろし、両手であちこちを撫でまわしていく。
空腹すらも忘れ、夕食の準備が出来ている事も忘れ、ただひたすらにその毛並みの手触りを味わい続けていた。
この間はずっと、コロンはおとなしく撫でられ続けながらも、どこか気持ちよさそうな表情をし、テーブルに座わっている我が家のメンバー達は食事に手をつけることなく呆れた表情で俺の様子を見ていた。
「主様、そろそろ食べようよ」
暫く撫で続けていたところに、シアにそう言われたところで 皆の食事を待たせてしまっている事と空腹を思い出し、俺はコロンを愛でるのを一旦止めて夕食を始める事にする。
食事中、あちこちを撫でまわされ過ぎたコロンは、膝の上でぐったりしていたのだが、食後はまた愛でる予定だ。
そんな俺の予定を察していたのか、ミールは時折、コロンへと憐れむような視線を向けていた。
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