第180話 元凶の登場
今回は2つ投稿します。
こちらが1つ目です。
大地へと降り立った俺は、ミールからダガーナイフを1本借り、生き残ったキングボアを次々に殺していく。
そんな俺の後に続く様に、火属性で身体強化したミールや、ノアとシアも残党狩りを始めていく。
濁流に流されたりした為、キングボア達はあちこちに散らばっており、4人で手分けしたにもかかわらず、目につく位置や、俺の探知スキルの範囲内の生き残りを全て殺し終える頃には、空が茜色に染まり始めていた。
「急がないと、暗くなっちまうな」
空の様子と、広い大地のあちこちに散らばったキングボアの死体の数々を眺めながらに呟いた俺は、荒野を走り回りながら死体からステータスを奪っていき、潰れた死体以外は次々とアイテムボックスへと回収していく。
俺から離れた位置ではミール、ノア、シアの3人が死体を一か所に運び始めており、空で待機していたレイもミリーとエルを地上に下ろし、ミール達を手伝い始めた。
お陰で少しは早くステータスと死体の回収作業が終わったのだが、それでもキングボアの数が多く、結局全てステータスの回収と、使えそうな死体の回収が終わる頃には、空は完全に暗くなってしまっていた。
因みに、使え無さそうな死体については、シア、ミリー、エル、レイの4人に焼却処分をしてもらっていた。
「よし、もしかしたらまだ取り残しがあるかもしれないけど、暗くなってしまったし、さっさと帰るとしようか」
辺りの様子を見ながら、帰宅する事を皆に告げる。
ギルドへの依頼完了報告は明日でも良いだろう。
「ではマスター、籠をお願いします」
「いや、帰りはテレポートスキルで帰ろう。今日の一件で大量にMPが増えたから、きっと家まで余裕で帰れるはずだ」
現在の自分のステータス確認はまだしていないのだが、以前に一度だけ戦った事のあるキングボアがMP48だった。
そして本日、作業しながら数えた結果、キングボアを302頭を倒していたので、14496のMPを確保できた事になる。
流石にこれだけあれば家までの転移しても余裕だろうと判断したのだ。
「そう、ですか」
残念そうな表情と声を出すレイの様子をみた俺は、レイの頭に手を置き、軽く撫でる。
「代わりに明日は王都まで頼むよ」
「はい!」
オルリア村から王都まで、そう時間はかからないのだが、それでも頼られた事で嬉しそうな様子のレイを見て、俺はほっと安心する。
「それじゃ帰るから、皆俺に触れて……」
そう言いかけた瞬間、俺達の前方に直径60㎝程の魔方陣が現れ、その中から赤い子犬サイズのドラゴン、つまりサラが悲しそうな表情で現れるなり、涙目になりながら「なーつーきー!!」と勢いよく俺の顔面へと張り付いてきた。
「キングボアの大群は僕のおやつだったのにぃーーー!コツコツと集めてたのに!!」
おやつ?キングボアの大群が?
「って、集めてた?つまりキングボアの大群の原因はお前って事か!!」
顔に張り付いていたサラを引き離し、サラの頭を鷲掴みにして俺の目線の高さへと持ち上げながら問い詰めた。
「そうだよ!キングボアの肉って美味しいから、精神体で探して、見つけ次第捕まえては山奥の洞窟に閉じ込めていってたんだよ!」
「閉じ込めてたったのが何でココにいるんだよ!」
他にも言ってやりたい事はあるが、それよりも今はこの事が気になり聞いてみるのだが、サラから帰って来た答えは「知らないよ!」というものだけだった。
文句言って来たわりに、そんな答えを返されたものだから、流石にイラっとする。
「サラ、あの大群がもしどこかの村を襲ったら、相当の被害が出てしまうところだったんだぞ?そこんところ分かってるのか?」
「うっ…わ、わかってるさ!」
「分かるなら、そんな危険なキングボアを集めんじゃねぇよ!そもそも「ナツキ様!」って、どうしたミール?」
サラに対し、更に文句をいってやろうとしたところにミールが慌てた様子で俺の名を呼ぶものだから、俺はミールの方へと視線を移すと、ミールは俺の後ろの方を指差していた。
なんだ?と思いながらもミールの指差す方を見てみると、そこには夜の闇に紛れるような真っ黒な体をした一匹のボアが佇んでいた。
次回 180話終了時のステータス