第17話 精霊魔法
何度も何度も書いたり消したりを繰り返し、ものすごく時間がかかってしまいました。
それはそうと、話は変わり
最近誤字などの報告がない!
いや、無いほうがいいんですけどね!
「それじゃナツキ、さっそく契約の儀をするから、目を瞑って身体から力を抜いて楽にしてね」
サラに言われるまま、俺はそっと目を閉じ身体中の力を抜くと、サラは俺の頭を手で押さえ、額同士を触れさせると呟くように呪文を唱え始めた。
『汝を主と認め、我と魂の契約をここに結ぶ、魂契約』
二人の足元に魔法陣が描かれ、俺の身体に熱く強い力が流れ込み、ソレは左腕へと集まっていく。
そして一瞬だが左手の甲で焼けるような熱を感じた。
「ナツキ、もう目を開けても大丈夫だよ」
サラはそう言いながら俺の左腕を掴み、手の甲を見つめていた。
「うん、ちゃんと契約出来てる。これでナツキはボクの主だよ、だから精霊魔法を使えるようになってるはずだよ」
そう言いうと、サラは俺に精霊魔法の使い方を説明してくれる。
今はまだ、契約しているサラの力、つまり火の精霊魔法しか使えないということ、使い方は特に何かするわけでもなく普通に魔法を打てばいいだけだそうだ
というのも、火の魔法を使うとサラがそこに精霊の力も取り入れ、ソレは精霊魔法へと変換されるらしい。
これは簡単で助かるな!
「さて、次にそこの人狼族のキミだね」
「は、はい!なんでしょうか?」
突如声をかけられ、驚いたミールの身体がビクッと反応していた。
それを見た俺は(ミールの驚く仕草も可愛いな)と思っていたのは秘密だ。
「キミはナツキの奴隷のようだね」
「はい、ミールと申します」
「うん、キミなら・・・」
ミールが名乗ると、サラは何に納得したのか、話を持ち掛ける。
「さっきの戦いでも分かったと思うけど、今のキミの力じゃ、まずアレには勝てない、そこでどうだろう?キミ、ナツキの眷属にならないかい?」
「ナツキ様の力になれるのなら、眷属にで何にでもなりたいです!」
答えるミールの瞳には一切の迷いは無いみたいだ。
「但し言っておくよ、一度眷属としての契約を結ぶと二度と解く事はできない。
二人はずっと絶対的な主従関係になるんだ、そして眷属になった者は主を守る為の力を得るんだ。
だけどね、主であるナツキが命を落とすと眷属であるキミの命も尽きる、それでもキミはナツキの眷属になる事を望むかい?」
「はい!先程の戦いでもそうでしたが、今の私ではナツキ様の足手纏いでしかないですが、眷属になれば私はお役に立つ事が出来るのですよね?なら迷う事はありません、どうかよろしくお願いします!」
ミールの目に力強い意思が宿っているように感じる。
俺の為にそこまで想ってくれている事に、俺は心から嬉しく思う。
そしてサラはそんなミールをみて、優しく微笑みかけていた。
「うん、キミのその意思は本物のようだね、じゃあナツキ、やり方はわかるよね?サクッとやっちゃってよ」
サラが言う通り、俺には眷属にする為の契約のやり方は頭の中に思い浮かんでくる。
きっと俺がサラの主になった事によるものだろう、兎に角まずはミールにお礼をいわなきゃな
こう言った事はきちんと伝えなければ。
「ミール、俺の為にそこまで言ってくれてありがとな」
俺はミールの頭を撫でる、ミールに感謝の気持ちを込めながら優しく撫で続ける。
「いえ、それにあの始めての夜にも言ったように、私はナツキ様の事を心よりお慕いしていますから」
そういったミールの表情には俺を想う気持ちと言葉にする恥ずかしさが入り混じっていた。
そんなミールをみてると、ここが個室でベッドなどあれば、確実に押し倒してしまっていただろう。
ちくしょう残念だ!
「じゃあ、目を瞑って、身体を楽にしてくれ」
俺は目を瞑って立っているミールの前へと立ち、意識を集中させ、契約の呪文を唱え始める。
すると、二人の足元に魔法陣が浮かび、ミールの首にある首輪が取れ、地に落ちた。
『この者ミールを、我が眷属となる契約をここに結ぶ、魂契約ソウルコントラクト』
呪文を唱え終わると、光る2つの線が現れ、それはミールの首へと巻き付いていく、光が収まるとその場所には二つの線が絡み合うような模様になっていた。
「すごい・・・なんだかすごく力が沸いて来るようです、それにこの今までに感じた事のない力は・・・」
「それはきっと精霊の力だね、キミ自身は放出する魔法が使えるわけじゃなさそうだけど、その身に精霊を宿し自己強化出来るはずだよ、それと、これはボクからのプレゼントだ」
サラが掌をこちらにさし出すと、そこから小さな光が現れ、ミールの胸元へ吸い込まれていった。
「それは、キミが扱う精霊の力に耐えれる防具さ、といっても自己強化をしたときだけしか使えないけどね」
ミールは目を瞑り、静かに立っている。
きっと俺がサラの力を受け取ったときみたいに、ミールにも、眷属としての力の扱いかたが頭に浮かんでいるのだろう。
「さて、あとはエルフのキミ達だね」
ミールの眷属契約が終わると、サラはノアとシアへと語りかけた
「私達も眷属になれるのですか?」
「うん、なる事はできるさ、ただその為には君達二人の覚悟を確かめなきゃならないんだよ」
「ボク達の覚悟?それはどういう事ですか?」
「うん、あのミールって子は心からナツキを信頼し、慕っているのは見ててすぐにわかった、だから眷属になる事を選ぶだろうってね。
まぁ、確かにキミ達二人もナツキの眷属になる事を選ぶだろうと思うんだ、だけどねキミ達エルフに限ってはちょっと違う、だから二人のその覚悟をちゃんとナツキに聞かせておきたいんだ」
「私達二人は主様の物です、主様の為になるのなら、私達は眷属になる事を選びます」
「ううん、そうじゃない、奴隷としての忠誠程度じゃダメ、僕が聞きたいのはそうじゃく、君達の本心の方なのさ」
「「私達(ボク達)の本心・・・」」
ノアとシアはお互いに見つめあう、二人とも心当たりがあるのだろう。
「ああ、君達エルフには心から信頼する人にしか渡さない物、そして許さない事があるはずだよ?だけどまだ、それをナツキに渡してないよね?つまりはそういうことさ
あとさ、ミールちゃんの時にも言ったけど、眷属は主が死ねば自分も死んじゃうんだよ?」
「あの、ノアさんやシアさんが眷属になるということはつまり、エルフ族としての寿命じゃなく、人間としての寿命で生涯を終えてしまうのでは!?」
サラの言いたいことをいち早く理解したのはミリー王女だった
「そう正解。ノア、シア、キミ達はそれを受け入れる覚悟はあるかい?」
サラの言葉にノアとシアは少し考え込むが、決心がついたのか、二人揃って俺の前に立ち、ノアは話し始める
「主様、私達姉妹は主様のような御方に買っていただけた事、とても幸せ思っています。
本来ならば主様と同じテーブルで一緒の食事をする事も、伽の時以外でベッドを使わせて頂く事もありません。
ましてや、奴隷の者にまで質のいい服や靴まで与える事も、ありえない事なのです。
ですが私達は、そんな普通の奴隷としての扱いではなく、平民・・・いえ、それ以上の扱いをして頂け、主への感謝の気持ちでいっぱいです。
そして、主様の元に来た夜、主様の寵愛を頂いた時、初めての私達を気遣い優しくして下さいました、そして私はこの気持ちを抱いてしまったのです」
そこまで言うと、ノアは一度深呼吸して心を落ち着ける。
そして、準備が出来たのか、意を決し話し始めた。
「私は主様を愛しています!主様に初めてを捧げられてとても嬉しかったです!」
潤んだ瞳に紅く染まった表情、そして真剣な眼をしたノアがじっと俺を見ていたが、ハッ!っとなり、自分の言った事に恥ずかしくなったようだ。
「と、兎に角!私は主様の命が尽きるその日まで愛し続け、ずっとお傍で御使えしたいと考えております!
それにその~・・・主様は知らないかもしれませんが、エルフ族って一度恋しちゃうと、すごく一途なんですよ?」
照れながら俯き、両手の人差しをくっつけてもじもじとしているノアの姿がとてもいじらしく見える。
まったく、ホントに可愛いエルフさんだよ。
「ですからその・・・どうか私からの主様への信頼の証を受け取ってください!そして私を主様の眷属にしてください!」
そういって顔をあげ、俺を見つめるノアの顔は紅くなっていた。
ノアがひとしきり言い終わると、それに続くように次はシアが顔をググッっと近づけ両手の握り拳を胸の前に当てて言う。
「ボクも姉さんと同じ、主様に抱かれた時気づいちゃったんだ、ボクは主様が好きで愛してるっていうこの気持ちに。
だから、どうかボクからも信頼の証受け取って、そしてボクも主様の眷属にして下さい。」
頭をあげたシアの顔もやはり紅く染まっていた。
「ちなみにナツキ、そのエルフ族に伝わる信頼の証の授与って、同性なら、永遠の友情、異性なら貴方に永遠の愛をって意味だからね?」
サラの茶々を入れるような説明にノアとシアは更に顔を紅く染めていた。
俺の事を好きだと告白されて、きっと俺の顔も二人みたいに紅くなってるだろう。
「ありがとう二人共、そんな風に言ってもらえて嬉しいよ。
俺もノアやシア、それにミールの気持ちに答えたい、だから俺は3人とも愛していこうと思う、それでもいいかな?」
「もちろん問題ありません」
「ボクもまったく問題ないです!」
「私もナツキ様には3人を共に愛して欲しいです!」
この世界では一夫多妻などはよく在る事、そんなこちらの常識に慣れてない俺は3人からの了承に安堵した瞬間、ふと思い出したのだ。
俺はミールを一番可愛がると約束している、それをノアとシアにどう伝えるべきだろうか・・・そう悩んでいるところにノアが声を掛けてきた。
「主様、まず私達3人を愛して下さると言って下さり、ありがとうございます。
しかし、一つ大事な事を確認させて下さい。」
「大事な事?それは何?」
「私達の序列をはっきりとさせておきたいのです」
その一言を聞いて俺はミールを堂々と一番に出来るチャンスだと思った。
もちろんノアとシアの事もミールと同じくらい好きになった、しかしミールと交わした約束を守るために、俺はミールを一番にしてやりたいのだ。
「え~とそれって、俺が誰を一番好きだとか決めていいんだな?」
「はい・・・ですが、私としてはミールさんが一番であるべきだと思っています」
「うん、ボクもそのほうがいいと思う、それにミールは先輩奴隷だしね」
「ええっ!?ホントに私が一番でいいの!?」
「ええ、普段の主様とミールさんを見ていて、それがよいと思います。」
あ~確かに俺、普段ミールとしかスキンシップとってなかった気がするな・・・
なんかノアとシアに悪い事してしまっていた気がする、今後気をつけねば。
「姉さん、ボクと姉さんはどっちが2番になるの?」
「私達は二人一緒でいいんじゃないかしら?ねぇ主様?」
「ああ、俺もそれがいいと思もう。えと、3人共序列はそういう事でいいかな?」
「「「はい!(うん!)」」」
これでミールとの約束は守ることが出来る、その事が俺は嬉しかった。
だが俺はミール、ノア、シアの3人をほぼ大差ないほど平等と呼べるレベルで愛して行こうと思う。ただ少しだけ、ほんの少しだけノアとシアの二人よりもミールを可愛るだろう。
「私がナツキ様の一番に・・・あうぅ~」
そういいながら身体をくねらせているミール、可愛いぞ!
つい今しがた3人をほぼ平等にと決めたのに、はやくもミールを特別扱いしてしまっている気がするが、きっと気のせいだな!
と、ここまで静かだった外野の方から一つの呆れたような声が上がってきた。
「あのさ、ボクから話を振っておいてなんだけどさ、何?そのプロポーズ的な会話は・・・確かに、運命を共にするようなものだから間違っちゃいないけどさ・・・」
しまった!サラやミリー王女、そして護衛の兵士の人達がいるのを途中から忘れてた!
ああ~、ミリー王女の顔が紅くなってる!
「まぁいいや、さぁ、ちゃっちゃと信頼の証ってやつ、渡しちゃいなよ」
「そ、そうですねサラ様!で、では主様、申し訳ありませんが、少しだけ屈んで頂けませんか?」
動揺したままのノアの頼みに答えて少し屈むと、ノアは俺の額にキスをする、するとノアの身体が仄かに輝き、その輝きはノアの身体から唇を伝って俺の身体へと流れ込んでくる。
それはとても優しく、暖かな感覚がした。
そして輝きが収まるとノアの唇が額から離れていく、その時のノアの表情は紅く染まり、照れる仕草がとても愛おしく見えた。
ノアから信頼の証をもらい終わると、次はシアが俺の額にキスをする、
そして、ノアの時と同じく優しく暖かな感覚が流れ込んでくる。
唇が離れ、シアの顔をみると「えへへ」と照れ笑いする、紅く染まった表情に可愛く、シアもノアと同様に愛おしく感じた。
「うん、これで二人も合格、眷属になる資格は十分だよ、ああ、あとね、ナツキとの寿命の差の事だけどね、ホントは何にも心配する必要はないからね?
僕と契約した時点で、ナツキのは不老になっちゃってるから、あとその眷属もね」
おい・・・今さらっと爆弾発言しなかったか?
俺とミールはすでに不老になっちまったてるぞ!?
「ということは、ナツキ様とはずっと一緒にいられるようなものですね!」
「まぁそうだね、といっても不老なだけで不死じゃないから気をつけてね?」
「よし、さぁそれじゃあ眷属の契約…といきたいけど、それより先にナツキ、二人にエルフ族の流儀で返事しないと」
エルフ族の流儀で返事?どういうことだろ?
「はい!!主様のお返事がほしいです!」
と言われてもやりかたなぞ知らないぞ?
「え、えっと、俺はどうすればいいんだ?」
ノアの表情が再び紅く染まり、恥ずかしそうに自分の両頬に手を当て、俺から視線をそらしていた。
「その…私達を受け入れて頂けるのでしたら…その、恥ずかしいのですが、私達の耳にキスを・・・していただけませんか?それが私達への返事となりますので」
今更俺も断るつもりもないので、ノアとシアの耳の先端のほうへ優しく触れるだけのキスをする。
物語などで出てくる程度の知識としては知っていたが、この時俺はソレが正しいと認識する。
そう、エルフのあの耳は性感帯の一部でもあるのだ。
キスをすると身体がビクッと反応し「あっ・・・」と声を漏らしている姿は、やはり可愛いかったな。
「これからは、その・・・私達を可愛がって頂くときに触っていただければ・・・うれしいです」
今まで、よくアニメやマンガ、そして小説などに登場するエルフは、その耳に気安く触ってはいけないような事が書いてたから触れなかったのは正解だったようだ。
しかし、信頼の証が貰えれば触る事を許されるらしい、むしろ触ってほしいそうだ。
「さぁ、いつまでも愛を囁いてる場合じゃないよ、ナツキ、ノアとシアにも眷属契約を」
「あ、ああそうだな。ノア、シア、眷属契約始めるぞ?」
「「はい(うん)」」
ホント二人の返事はいつもぴったりと息があっている。
「じゃあ、目を瞑って、身体を楽にしてくれ」
呪文を発動し始めると、ノアとシアの足元に魔法陣が浮かび上がり、二人の首にあった首輪が地へと落ちる。
『この者達ノアとシアを、我が眷属となる契約をここに結ぶ、魂契約ソウルコントラクト』
呪文を唱え終わると、ノアとシアの二人の前にそれぞれ光る2つの線が現れ、それが二人の首へと巻き付いていき、二人の首にも二つの線が絡み合うような模様が付いていた。
「すごい・・・今まで感じた事のないほどの魔力が体中に流れてくる!、それになんだか身体もかるいや!」
「ほんとです、これ程の力があれば主様のお力になれますね!」
「うん、成功だ。じゃあ二人にもボクからのプレゼント、二人とも魔法が得意みたいだから、、火の精霊魔法の一部を使えるようにしてあげよう、」
そういって、サラは意識を集中させ、掌を差し出すと、再び小さな光が二つ現れ、ノアとシアの胸元へと吸い込まれていく
「それと、ミールちゃんも練習次第では簡単な魔法くらいは使えるようになると思うよ、ノアちゃんとシアちゃんは二人は、もともと魔法が使えるようだから基礎は解るよね?その魔法の基礎の部分に自然界の精霊の力を練りこむ感じだよ。
エルフ族なら精霊の力を感じ取るのは得意だから後は出来るよね?」
「は、はい、なんとなくだけど、解ります」
「ボクも多分大丈夫、出来ると思う」
あれ?ノアとシアって精霊の力を感じとることで来てたのに、なんで今まで精霊魔法つかえなかったんだろ?
そう思いサラに聞いてみると、エルフは精霊の力を感じることだけはできる、しかしたとえエルフ族であろうと精霊王と契約をしたもの、もしくはその眷属でなければ、精霊の力を扱う事は出来ないのだとか。
「さぁこれであの闇を倒す準備は整った、きっと今頃町の方では冒険者たちが戦ってるはずだから、ナツキの持つスキルで皆を町へ転移すればいいよ」
「ああ、たしかに、さっきからすごい速度で魔力が回復してる、これならいけそうだ!」
サラの治療に魔力を使いきっていたが、今では嘘のように体に魔力が戻っていた。
これもきっとサラと契約したおかげなのだろうな。
「今、自然界に存在する精霊たちが、ナツキに魔力を少しずつ分け与えてくれているんだよ。
だけど、気を付けてね、今は緊急事態で魔力をもらっているけど、何時でも貰えるわけじゃないよ、こんな事ずっとしてたら、世界中の精霊達が死滅して、世界が滅びてしまうからね」
「ああわかった!さぁ、皆一か所に集まって!」
こうして俺達全員、王都にある城の入り口へと転移した
次回 第18話 火の国の英雄
最近、ノクターンの方でも書きたいな!とか思っているんだけど
そっちに手を出すと確実にこちらの物語が進まなくなってしまうな・・・
自重せねば!