第174話 行商人
次回タイトルを変更しました。
朝食後のお茶を飲みながらの話し合いが終わった後、俺達はレイに運んでもらい王都の門前へとやって来てた。
門前には見覚えのある二人の兵士が経っており、それぞれがギルドカードを提示して町の中へとる。
今日の目的の場所は中央広場よりも北側に全て揃っているので、とりあえず皆で中央の噴水広場へと向かう事に。
「では、私達はギルドの方で広告を配ってきますね」
「おう。出来るだけ資金的余裕のあるそうな人に配ってくれよ」
そう言ってミールへと作った広告の内、80枚を渡す。
数の多い冒険者を担当するのだから、これくらい渡しておいた方が良いだろう。
「そうだ、出来ればコーラルさん達のパーティにも渡しておいてくれ。
もし会えなくてもギルドの受付にでも頼めば渡してもらえるはずだ」
「わかりました」
広告を受け取ったミールは、ノア、シア、レイと一緒にギルドの方へと向かい歩いていく。
俺はそんな4人を見送った後、ミリー、エルの2人と一緒に、街の北側にある、貴族街へと向かい歩き始めた。
城に続く大通りを歩きつつ、俺はどの家から配っていこうかと辺りを見渡す。
右を見ても左を見ても、豪邸と呼べる大きな家ばかりだ。
どの家にも目立つ場所に家紋が描かれており、その家紋を見たミリーは、その家がなんと言う名の貴族の家なのかを教えてくれる。
更には、ミリーの中にあるその貴族に対する印象も聞かせてくれるので、これで俺は多少なりとも情報を得る事が出来ている。
そんなミリーから得た情報を元に、俺は広告を配るかどうかを決めていく。
この時に参考にした情報とは、どの貴族がどの爵位を持っているかと言う事だけである。
つまり、まずは侯爵家、伯爵家を配って回り、残りを子爵家に配っていくと言う事になる。
それでも余ったら男爵家にも配れば良いだろう。
予定が決まったところで、俺達の広告配りは始まる。
そして最初に訪れた侯爵家。
「すみませ~ん」
貴族の家には、入り口に必ず警備兵が立っており、俺はその警備兵に向かい営業スマイルで話しかける。
「何者だ!ここは侯爵様の家であるぞ」
どうやらこの警備兵は俺の事を知らない様だ。
俺って王都じゃ有名なんだと思っていたが、もしかして自意識過剰だったのだろうか?
ただ、有名になった理由が中央広場で結婚式を開いた事を除くと、他はあまり嬉しくない理由ばかりな気もするが。
まぁ今はそんな事は置いといて、営業をしなければ。
「この度オルリア山の麓にあるオルリア村にて[恵みの湯]という高級旅館が開店する事になりましたので、広告を配りに来ました。
[恵みの湯]には精霊の力を含んだ温泉があり___」
俺は門番に[恵みの湯]の温泉についてアピールし、トドメと言わんばかりにアルベルト王が最初のお客様として利用し、満足した事を伝える。
直接この家の家主に宣伝した方が良いのかもしれないが、そんな事をすれば貴族としての挨拶もしなくちゃならなくなる。
そんなのは面倒だ!
そんな訳で、俺は警備兵に[恵みの湯]のアピールをするだけした後、広告を1枚渡して「どうぞよろしくお伝えください」と挨拶し、次の家へと向かう。
その後も伯爵家や子爵家を回っていき、同じ様に警備兵へとアピールと広告を1枚渡して行く。
そしてあらかた配り終えたところで、エルが俺に向かい提案をしてきた。
「そういえばナツキ様、そろそろオルリア村にも行商の方に来てもらうように手配した方がよろしいのではないでしょうか?」
「行商人に?」
「はい。オルリア村に食料問題はありませんが、その他の物資は全くと言っていい程ありません。
今のところはタリアさんが王都で用意して下さった物で足りてはいますが、今後は村にギルドが出来、人も増えていきます。
そうなるとすぐに足りなくなってしまいまよ?」
確かにエルの言う通りだ。
というか、むしろ村の発展を考えるならば、行商人だけではなく、村で商いをする商人も呼ばないといけない。
「そういう事ならお任せください旦那様!」
エルの提案を聞き、村の発展について考えていると突然ミリーから自信たっぷりな言葉が聞こえて来た。
「何か良い案があるの?」
「はい!」
いったいその自信たっぷりな案とは何なのだろうか?
…まぁ大体の予想はつくのだが、とりあえず俺の予想が合ってるのか聞いてみる事にしよう。
次回 第175話 久し振りに依頼を
私の天敵、花粉襲来!
日々眠気と戦う辛い時期がはじまります。