第162話 新たに知ったコーネリア王妃の一面
タイトル変更しました。
ちょいと設定変更しようと思い、あらすじから、(奴隷達等)を削除しました。
次回予告のタイトルを変更しました。
今夜宿泊する事となった[恵みの湯]において、必要となる話を一通りの済ませ、最後に多少の事は目を瞑って貰えるという約束をしてもらい、俺の話しが終わったところでアルベルト王はミリーの方を向き、嬉しそうな表情を浮かべる。
「温泉の事も楽しみだが、何よりも嬉しく思うのは、今夜娘と一緒に居られる事だな」
「私も今夜、お父様やお母様と過ごすのがとても楽しみです」
親の言葉を聞いて嬉しそうに返事するミリーの言葉に、アルベルト王の表情はとても幸せそうになっている。
これならもう少しお城に来る頻度を増やした方が良いのかもしれない。
二人の様子を見ながらそんな事を考えていると、再びノックする音が聞こえ、アルベルト王が「入れ」と許可を出す。
やって来たのは、先程アルベルト王の仕事の調整をしに出て行った執事のマルカスと、ミリーの母親であるコーネリア王妃の二人だった。
「お母さま!」
アルベルト王にあった時よりも嬉しそうな声を出し、ミリーはコーネリア王妃の元へと走り、抱き着いた。
その瞬間、アルベルト王の表情が少し悲しそうに見えたのは、気のせいだと思う事にする。
「あらあらミリーったら、旦那様の前ではしたないわよ」
コーネリア王妃はミリーに窘めるが、その表情からは、やはり娘合えて嬉しそうだった。
「あれ?国王様とマルカスさんは?」
母子の再開シーンを見ていたほんの少しの間に、会議室からアルベルト王とマルカスの姿が消えていた。
「あの人なら、今日中に済ませおかなければならない事をするため、マルカスに連れられて出て行きました」
「そうでしたか。そう言う事ならば、頑張って頂かないといけませんね」
そうですね、特にミリーが家族と一緒に過ごす時間を作るためにも!
「さぁ、あの人が頑張ってる間に、私達は支度を整えましょう」
コーネリア王妃はそう言うと、どこからか取り出した小さなベルをチリンチリンと鳴らす。
すると3人のメイドが会議室に入ってくるなり、コーネリア王妃の前に整列した。
3人のメイド達が着ているメイド服には、左腕に3本の赤いラインが入っている。
この城内に居るメイド達の服には、そんな模様などなかったはずだ。
つまり、この3人はコーネリア王妃の専属と考えるのが妥当だろう。
「それではナツキ様、少しの間ミリーをお借りますね。
終わりましたらお呼びしますので、それまで城の中で自由にしていてください」
俺に向けて話しかけるコーネリア王妃の声は、とても楽しそうな雰囲気が感じられる。
コーネリア王妃のテンションは、会議室に来た時に比べ、明らかに高くなっている。
そんなコーネリア王妃に、俺は「はい」と答えると。返事を聞いたコーネリア王妃がミリーと手をつなぎながら3人のメイドを引き連れ、会議室を後にする5人の後姿を見送った。
それからほんの少しの間、俺は一人、会議室に立ち尽くしながら今からどうしたものかと考え始める。
「(城の中を自由にと言われても、まだこの城の中を全部知ってるわけじゃないから、どんな時間潰しが出来るかなんてわからんし、って、それなら探索すりゃいいんだ)」
こうして俺は会議室を出ると、城の中をブラブラと一人歩き回り、探索を始めた。
本来なら、城内でウロウロしている者が居れば怪しまれ、捕まるところなのだろうが、通り過ぎるメイドや衛兵は、俺に向かいお辞儀や敬礼をしていた。
きっとマルカスかアルベルト王から振れが出て、既に城内の者には、俺が自由にしていて良い事が知れ渡っているのだろう。
それから暫くの間城内を探索していると、書庫室と書かれているプレートが付いた扉を見つけた。
扉の横には衛兵が立っており、中に入っても良いかと尋ねてみると「どうぞご自由にお入りください」と敬礼しながら答えられ、俺は扉を開き中へと入る。
部屋の中は、まるで図書館の様にたくさんの本棚が並んでおり、その本だなにはビッシリと本が並んでいる。
城内の探索ではそれほど時間も経っていなかっただろうし、まだ時間に余裕があるだろうから、暫くこの部屋にはどのような本があるのか見て回る事としよう。
次回 第163話 いざ出発