第158話 そろそろそんな時期なのかもしれない
リアル的には、少しずれてるけど、いいよね!?
尚、予定していたタイトルから変更しました。
誤字発見したので訂正しました。
いかにも精力の付きそうな夕食を終えた後、寝室でミール達と別れ、今夜のパートナーであるエルと二人で寝室へと入った。
部屋に入るなり、隣で緊張している様子のエルの気を紛らわせてあげようかと思い、俺はマッサージを頼むなりベットの上に移動し、うつ伏せになって待機する。
お願いされたエルは「は、はい!」と慌てたような声で返事をすると、ベッドにあがり、俺の体の隣で正座する。
元王女であるエルにとって、マッサージはされる側であり、自分が人にするという等という経験があるはずもない。
故にどうすればいいのか全く分からず、正座したまま悩んでいる様子だった。
「とりあえず、腰を両手で押すような感じで揉んでもらえるかな?」
「は、はい!」
悩んでいるエルに助け舟を出してやると、エルの表情は明るくし、言われた通りに両手を俺の腰へと伸ばし、マッサージを始める。
だが、エルのその手から伝わる力加減は物足りないと思えるの程の弱々しい力ものであり、俺はエルに要求する。
「もうちょい力を込めてみて?あ、そうそう、それくらい」
「この位でよろしいでしょうか?」
エルは更に力を込めて俺の腰を揉み続ける。
最近しっかりとした食事のおかげとはいえ、まだまだ小柄なエルなのだが、眷属契約しているおかげでステータスが向上し、見た目以上の力がある。
その力を程よく調整して続けてくれるエルのマッサージはとても気持ち良く、俺はついつい太腿を揉んで欲しいとお願いし、その気持ち良さを味わっている中、俺は眠りへと落ちてしまったのだった。
ピピピピッ……
聞きなれた電子音が頭上で鳴り続ける。
俺は布団から手を出し、煩い音の発信源のスイッチを叩き、鳴りやませると、手を再び布団に戻し、更に布団の中へと頭を潜らせ、意識が目覚めきる前に2度寝を決行する。
だが、それを邪魔するかのように部屋の扉が勢いよく開かれ、部屋へとやって来た人物は、布団の方へと近づいてくる気配を感じた。
俺は意地でも起きまいと思いながら、再び寝る事へと集中する。
「ナツキ様!起きてください!朝ですよ!」
この声は…ミールか?
「ナツキ様!ナツキ様!朝ですよ!」
起こそうとしても起きない様子の俺に、声の主は俺の体を揺さぶり始め、俺は観念して布団から顔を出す。
目を擦りながら声のした方を見てみると、やはり傍に居たのはミールだ。
今日はモコモコの白いセーターに、茶色のロングスカート姿をしている。
「おはようミール」
「おはようございますナツキ様、ってそんなゆっくりとしてる時間はありませんよ!皆さんもう準備して待ってるんですからね!」
「準備?」
「今日はみんなで初詣に行くって決めてたじゃないですか、まさか忘れてたんですか?」
俺は思い出そうとしてみるのだが、どうも記憶にない。
が、一応話を合わせておくとしよう。
「そういえばそうだった、すぐ着替えて下に降りるよ」
「着替えは、パソコンの横に準備してますから、急いでくださいね?」
そう言い残し、ミールは身を翻し部屋から出て行く。
ミールの退出を見届けた後、俺は布団から出て、パソコンの隣に用意されていた袴へと着替え、部屋をでて1階へと降りてゆく。
そして1階のリビングへと入ると、そこにはノア、シア、ミリー、エル、レイ、少女の姿になったサラと大人の女性の姿になったディーが振袖姿でソファーに腰かけていた。
皆同じ赤い生地の振袖であるのだが、柄はそれぞれ違う花が描かれている。
「あ、やっと起きたんだね主様、もうすぐお昼だよ!?」
リビングに入って来た俺に真っ先に気づいたのはシアだった。
「ごめんごめん、昨日ずっとゲームしてて気づいたら夜遅くなっちゃってさ」
シアへの答えは自然と口から出てきたが、何か違和感を感じる。
「あれほど早く寝てくださいと言ったのに」
俺への文句を言いながら、ミールはキッチンから5段重ねの重箱を持って出て来た。
そんなミールの元にミリーとエルは近寄り、重箱を2段ずつとり、3人仲良くテーブルの上へと並べていく。
どうやらおせち料理の様だ。
「さぁ、皆で一緒にたべましょう!」
ミールのこの一言に、ノア、シア、ミリー、エル、レイ、サラ、ディーの7人は一斉におせち料理に橋を伸ばし、食べ始めた。
俺も皆の輪に入ろり、ミールから橋を受け取るなり、一番近くにあった昆布巻きへと箸を伸ばそうとすると、昆布巻きはどんどんと遠退いていく。
同時に俺の意識も徐々に遠退いていく気がした。
「俺の昆布巻き!!」
ガバッと布団を跳ね除けながら体を起こした俺は、先程までの事は夢だったと理解した。
「(あっちの世界の俺の家だった時点で気づけよ)」
額に手を当てながら、ガックリと落ち込む俺。
「(そういや、元の世界はそろそろ年明けか。それにしても、ミール達の着物姿、結構似合ってたな)」
普段なら夢の内容はすぐに忘れてしまうのだが、今回見た夢の事はハッキリと記憶に残っていた。
そんな記憶にあるミール達の着物姿を思い出していると、隣で寝ているキャミソール姿のエルがもぞもぞと動き始める。
どうやら起こしてしまったようだ。
「(そうか、昨日マッサージしてもらってるうちに寝ちまったんだな。何か昨日はエルも色々と考えてたみたいだし、悪い事したかもな)」
ゆっくりと体を起こすエルの様子を見ながらそんな事を考えていた俺は、エルと目覚めのキスをして、エルの意識を一気に目覚めさせたのだった。
次回 第159話 作戦名は[ガンガン行こうぜ!]
コメントであったので、本来なら一晩経って次の日の話につながるところに、無理やり夢オチで入れてみました。
リアル的にも、時期なので、どうにかできないかと悩んだ結果がこれでしたよ!
尚、バレンタインとかクリスマスというイベントは、やらない[予定]です!