第153話 従業員達に安心を!
10分程待ってみたが、従業員達は全く落ち着く気配がない。
まぁ、相手が相手なので、動揺する気持ちは解るが、予定を変えるつもりはない。
このまま待っていても時間が過ぎるだけだと判断し、俺は一度手を叩き、皆の注目を集めた。
「皆さん、落ち着いてください。
アルベルト王やコーネリア王妃にはちゃんと事情説明をして、皆さんがもし不敬を働いた場合でも罰する事は無いように約束して頂きますから安心してください」
「そ、そのような約束を取り付けることは本当に可能なのでしょうか?」
明らかに同様した口調でアニータが、心配そうな表情で尋ねてきた。
「可能だと思います。いえ、ほぼ確実と言えるでしょう」
なんと言っても、表向きは王族が一番上の身分ではあるが、実際には、俺の方が上になってしまってる。
そんな事実など、ここにいるメンバーは知る由もない。
不安に思うのも仕方のない事だろう。
だが、王様よりも身分が高い等とは公表するつもりはないので、さてどうしたものか?と、数舜の間考えた。
その結果、嘘とも言えない話をして落ち着かせようと決めた俺は、従業員達に向け「なぜなら」と話を続ける。
「皆さんにはお教えしますが、私にはアルベルト王から約束してもらう為のコネがありますので、今回そのコネを利用しようと思っています。
詳しくは言えませんが、このコネを使えばまず間違いなく、今回の招待で皆さんが罰せられる事はありません。
ですが、暗殺だの、故意的な不敬を働いた場合に関しては、流石にカバー出来ませんので悪しからず。
まぁ、そもそも護衛として我が家から人員を出しますので、そんな事は無理でしょうけどね!」
「ははははっ」と、従業員達の緊張が多少なり和らげばと後半を冗談混じりに話してみると、それが効果はあったようで、従業員達の表情に安心の色が見えた。
因みに護衛役は、俺の中で既にミリーと決めている。
この機会に、親子水入らずの時間でも過ごさせてあげたい。
そしてそれを実現させる為にも、まずは王都へ行きアルベルト王に話を付けに行かなければならないのだ。
そんな事を考えていると、アニータが「あの」と手を上げ発言の許可を求めてきた。
「何でしょう?」
「因みに何時 王族の方々の元へお伺いに行かれるのでしょうか?」
今日は村の畑の方や孤児院の様子などを見て回りたい。
そしてそれが終わった後にでも、コロンの扱いについて決めておきたいのだ。
そんな訳で、王都に行くのは明日で良いだろう。
「明日の午前中にでも行ってこようと思う。そんな訳で、この[恵みの湯]の開店はアルベルト王のご予定を聞き、こちらへ来られる日の予定がたち次第となるので、その日までは毎日備品と食材のチェックをし、その後は皆さんは協力し合ってお客様を迎える練習をしておいてください。
くれぐれも緊張してミスをしない様に、落ち着いて接客する事を心がけるようにしてください」
そこまで言うと、今日ここで報告するべき事は全て終えた事を頭の中で確認し、俺は従業員達に解散を告げ、帰路についた。
次回 第154話 コロンの扱いは?