第149話 エマルに対する新たな認識
短くてすみません!
[やすらぎ]内とその周辺を走り回り、従業員を見つけては必死に誤解を解いて回った俺が家に戻ったのは、空が茜色に染まり始める頃だった。
リビングに入ると、そこには村の周辺のモンスター退治に向かっていたノア達が戻ってきており、俺はタリアに早めの夕食を頼んだ後、ノア達から今日の狩りの報告を聞いていた。
ノア達の報告によると、村周辺のモンスターについては、あっさりと狩り終えたらしく、もう残っていないか確認をした後は村から少し離れた場所のモンスターを狩り続けていた。
その途中、ゴブリンの集落が出来かけているのを見つけたノア達は、ソレを3人の魔法と、ドラゴンの姿に戻ったレイのブレスにより、壊滅させて来たらしい。
それを聞いた俺は、明らかな過剰攻撃を受けて全滅したゴブリン達が少し哀れに思い、小さく「可哀相に」と呟いていた。
その後も、周囲のモンスターを少し狩り、もうそろそろ夕方に差し掛かろうとしたところで狩りを切りあげたノア達は、家へと戻って来たとの事。
そんな感じでノア達による報告を聞き終えたところに、ココがハスマを連れてリビングへとやって来た。
どうやら食事の準備が出来たので呼んできたようだ。
今日の食事は人数が多い事もあり、メイド達とコロンには調理場の方にあるテーブルで食べてもらっている。
それでもリビングには、俺、ミール、ノア、シア、ミリー、エル、レイ、ハスマ8人と、俺の前でテーブルの上にお座りしているサラに、エルが抱っこしているディーの2匹と、大所帯だ。
普段からそれなりに賑やかな食事をしている我が家なのだが、今日はそこにハスマが加わり、タリア達の作った料理の美味さに感動したり、アクルーンで過ごした数日の事なんかを話したりし、普段よりも更に賑やかな食事風景となっていた。
「ハスマさん、この後一緒に風呂に入りませんか?」
賑やかな食事が終わり、メイド達が食器を片付け始めた時、俺はハスマを風呂に誘う。
その言葉を聞いたメイドのエマルが、妙に興味深そうに俺の方を見ているのだが、まさかエマルはソッチに興味があるのだろうか?
「わかった。ワシも温泉の話を聞きたいと思っておったので、喜んでご一緒させてもらいますぞ」
ハスマが俺の誘いを受けると同時に、調理場の方からパリン!と皿の割れるような音が聞こえてきた。
「ん?今、調理場の方から何か割れたような音が聞こえたようだが、大丈夫かの?」
「大丈夫だと思いますよ?多分、興奮のあまり手元を滑らせたんでしょう」
「興奮して?どういう事だ?」
「いえ、気にしないでください、それよりも風呂に行きましょう」
調理場の方からエマルの謝罪する声が聞こえる中、俺はミール達に風呂に入って来ると言い、ハスマと共に風呂場へと向かう。
風呂場までの短な道すがら、俺は先程のエマルの事についてふと考える。
エマルは普段は物静かで、オリジナルのお茶を作ったりする事が好きな女性という認識だったのだが、どうやら彼女の認識を改める必要がありそうだ。
エマルには[腐]という属性があったのだという認識に。
次回 第150話 温泉風呂での語らい