第141話 我が家へ
今更ながらですが、コメントでいくつかスキルがナツキについていない事が判明!
急遽、1話からざっと見て行き、スキル欄の訂正を行いました。
追加スキル→両手剣 LV3
削除スキル→突進 LV3
一部つじつま合わせの為の訂正しました!
次回予告のタイトルを変更しました。
辺りがすっかり暗くなった頃、アクルーンからオルリア村帰るべく俺達を乗せた龍かごを首にかけたレイは、大空を悠然と飛んでいた。
アクルーンを出発した俺達は、まず受け取っていたフローリア王女からの手紙に目を通し、その後はミールの尻尾をもふらせてもらいながら、温泉宿と、従業員たちの住む建物の名前について皆で話し合い始めていた。
少し前までの状態なら、何に良い名前が出てこないという状態だったのだが、今はディーとティリアが新たに増えているので、きっと良い名前が出てくるだろう!
そんな期待をしながら、俺は再び温泉宿と従業員たちの住む建物の名付け会議を提案したのだ。
もちろんディーとティリアはまだその温泉宿を見た事も無いわけだから、そこは俺が温泉を掘り出したところから温泉宿の作成、そして従業員を雇った事等の話をし、その後全員で意見を出し合い始めた。
そしてしばらく話し合い続けていくと、ディーから一つの名前の案と、その名を選んだ理由が語られた。
「この名前がヌシ様から聞いた温泉宿の特徴や、ヌシ様の目指す温泉宿の方針に一番ピッタリだと思います」
「ん~、なるほどなぁ。ありがちな名前だと思って、あえて避けていたけど、そう言われてみればその名が一番しっくりと来るよなぁ」
「ナツキ、ホントにディーの言ってる名前を思いついてたの~?」
正面に座るミールの頭の上でダレていたサラは、そう言いながら俺に疑いの眼差しを向けている。
だが本当に俺は一度思いついたが、あまりにシンプルなので避けていたのは事実なのである。
だというのにこうして疑われるとは…
「当たり前だろ、ただ俺はそれよりも、もっと特徴的な名前をって思ったからこそ、その案を下げてたんだよ」
「ふーん、まぁホントかウソかなんてどうでもいいんだけどさ。
っていうかね、ナツキにとってはありがちかもしれないけどさ、そもそもこの国、いやこの世界にはあんな立派な宿自体無いんだから、気にする必要無かったんじゃない?」
た、確かに。
「ナツキみたいに温泉宿が名物の村なんて考える人なんてまずいないからね?」
ジト目で俺を見ながら話すサラは、俺が普通じゃないと言いたいらしい。
いや、サラだけではない。
ミールとノアは俺から視線を外し、ミリーとシアとエルとティリアの4人は、ウンウンと首を縦に振っている。
どうやら皆もサラの言葉に賛同の様だ。
ちくしょう!
「と、とにかく!明日にでも温泉宿の名前を決める話し合いを開くとして、そこでディーの案を出すって事で決定な!」
俺は悔しい気持ちを誤魔化し、さっさとこの議題の纏めに入り、話し合いを終了させる事にしたのだった。
「ナツキ、いいじゃないか。そういう普通じゃない考えが出来るからこそ、全く新しいタイプの村が出来て行ってるんだからさ」
慰められている様なセリフだが、これは今の俺にはトドメの言葉となってしまう。
これにより、俺は悲しみを感じた心を癒すべく、話し合いの途中で手放していたミールの尻尾を再びモフり始め、それと同時に「取り付け」と小声で呟いた。
「え!?ちょっと!なんで!?」
自分の首に突如現れた[繋ぎの首輪]に、慌て叫ぶサラ。
俺が先程呟いたキーワードは、首輪の外すキーワードとセットで教えてもらっていたものである。
このキーワードは、対象が目に見える範囲に居れば発動可能らしく、発動させると、すぐに対象の首へと[繋ぎの首輪]を取り付ける事が可能らしい。
こうして再び首輪を取り付けられたサラが慌てふためく中、俺はミールの尻尾だけではなく、頭のお耳にも手を伸ばし、心を癒し続けていた。
従業員達が住む建物の名前を考える事を忘れ、ただひたすらにモフモフし続る。
そして、その状態のまましばらくの時が経ち、俺達は漸くオルリア村の上空へと帰って来たのだった。
レイが地上へと降り立つまでの間、俺はやはり我が家こそが一番安らげる場所だと思いながら、モフられ続けて、体に力が入らなくなってしまっているミールの耳と尻尾を、尚も容赦なくモフり続けていたのだった。
次回 第142話 1週間ぶりのオルリア村