第136話 報酬と別れ~前編~
奴隷商を出ると、時間的にまだ余裕があるという事で、皆に意見を聞いてみた結果、もう一度大通りに出ている露店を見て回ろうという事となった。
だがその前に、まずはティリアのパーソナルデータを簡単に纏めておくとしよう。
そう考えた俺は、ティリアへと視線を向ける。
「なんでしょうか?」
「ちょっと、ティリアの個人情報を俺の中で纏めておこうと思ってね」
「私の個人情報、ですか?」
なぜ?といったような反応を返してきたティリアを放置し、俺はティリアの全体を観察し始めた。
まず、ティリアの身長だが、大体160㎝といったところだろう。
体系はスレンダーで、胸は多分Bカップだと、俺の目測が訴えている。
背には、茶と白の斑模様の大きな翼が生えており、その翼のサイズはエルよりも少し大きい気がする。
顔は小顔で、優し気な眼差しをしており、瞳の色は茶色。
ブラウンの髪は、肩よりも少し長い程度に伸びている。
ここまでは見た目で大体分かる。
だが、年齢だけは分からない。
なんせこの世界における人族以外の場合、見た目の年齢が正しいとは限らない事を、俺は学んでいる。
主に、マルガのおかげで。
さて、そんなわけでティリアは一体何歳なんだろうか?
女性に年を聞くのはあまりよろしくは無いのだが、我が家に設けたルール上の事も有るので、ちゃんと聞いておかねばならない。
まぁ、教えてもらえなかったとしても、完全解析スキルで見るまでなのだが。
「ティリアは今何歳なんだ?」
「今年で17になりました」
俺の心配を他所に、ティリアはあっさりと教えてくれた。
どうやらティリアは見た目通りの年齢だった様だ。
「他に何か私の事で知りたい事はありますか?」
「いや、とりあえず大体は分かった。
後は必要があれば、その時にでも聞くさ」
「はい」
「よし、それじゃ時間潰しに行こうか」
こうして俺達は再び大通りに並ぶ店を見て回り始め、途中、何かの肉を串に刺して焼いた物を売っている屋台を見つけ、それを人数分買って食べたりし、アクルーンの王都観光を楽しんでいた。
あちこちの露店を冷やかしまくり、気づけば午後2時になってしまっていた事に驚いた俺達は、急ぎ冒険者ギルドへと向かった。
そして冒険者ギルドへと辿り着き中に入ると、ミタニカの居る受付の前に、ギルドマスターのゴルドが経っているのが見えた。
「やっと来たか、とりあえずワシの部屋に移動するぞ」
ギルドに入って来た俺達を見つけたゴルドは、そう言いながら、受付の中へと入って行き、そのまま奥の扉へと消えて行く。
そんなゴルドの背を見送った後ミタニカに視線を移すと、「さぁ、奥にどうぞ」と言われ、その奥にあるギルドマスターの部屋へと歩き始めた。
次回 第137話 報酬と別れ~後編~
もうすぐ水の国編が終わる!(予定
その後に、新しく増えた人物の紹介を1話使って書く予定です!