第135話 土産と誓い~後編~
後編を書いてたら、タイトルの部分まで書ききれませんでしたので、
133話の次回予告と、134話のタイトル&次回予告を変更しました。
大通りの道端に、大きな敷物を広げ、そこに商品を並べている商人達や、食べ物を売っている屋台等が並んでいる。
俺達はそんな露店の中の一つ、ちょっとしたアクセサリや、部屋に飾るような小物が並べられている店へとやって来ていた。
余り出費をしたくはないのだが、せめてオルリア村で働いてくれているタリア達へのお土産くらいは選ぼうと、皆で商品を見ていた。
「あ、コチラのとかどうかな?」
「ん~ボクとしてはこっちかな~」
「エル、こちらのブローチなんてエマルさんに似合いそうじゃないかな?」
「はい。物静かなエマルさんの雰囲気にピッタリだと思います。
「エマルさんがどういった御方なのかはわかりませんが、物静かなというのならコチラのアメジストを使ったもの等如何でしょう?」
ノアとシアの双子姉妹は店の端に置かれている髪留めのコーナーを物色している。
そして、そんな二人とは反対側の隅っこでは、ミリー、エル、ティリアの3人が、ブローチのコーナーを物色中だ。
そんな中、俺は頭にディーを乗せ、レイは寝ているサラを胸元で抱いたままの状態で、ミール達の土産を選び終えるのをずっと待っていた。
かれこれ、この店に来てからというもの、30分は経っている気がする。
多少の事で体が疲れる事は無くなったが、こうして女性の買い物を待っていると、精神的には疲れてきた。
だが、俺からミール達に、オルリア村にいるメイド達の分のお土産を選んで欲しい。とお願いした手前、大人しく待つしかない。
それから更に待つ事20分。
漸く6人分の土産を選び終えたらしく、俺は皆が選んでくれたメイド達への土産の代金を支払い、荷物をアイテムボックスへと仕舞い込んだ。
「さて、それじゃ次はあそこに行くか」
そう言って俺が視線を向けた先には、この街の奴隷商の建物がある。
俺達はそこを目指し、移動を始めた。
店に入ると、ひょろ長い体格に、細い目をしたキツネ顔の店主に出迎えられた。
キツネ顔とは言っても、彼は立派な人族である。
「いらっしゃいませ~、本日はどのようなご用件でしょう?」
後ろに沢山の女性を連れており、しかもその内の6人が奴隷の証を首に付けている所を見て、俺を上客とでも思ったのだろう。
キツネ顔の店主は揉み手をしながら近寄って来た。
俺は奴隷の証を付けている内の一人、ティリアを隣に立たせ、ティリアの現状と要件を伝え、そのついでにと、ティリアの首にある首輪をミール達と同じようなチョーカータイプへと変えようと思い、ここにもあるのか?と尋ねてみたところ、ちゃんとあった。
しかもフレムスト王国の奴隷商の所よりも、若干品揃えが多いような…
「これなんてどうかな?」
「ミール姉さま、こちらの方も似合いそうですよ!」
「私はミールさんの選んだ方が似合うと思いますが…」
「シア?それはちょっとティリアのイメージには合わないわよ?」
「姉さん分かってないな~、ティリアみたいなタイプだったらこっちも似合うはずだよ!」
並べられた宝石を前に、うちの嫁達がティリアのチョーカーに付ける宝石について品定めをしている。
ここでまた長い間待たされる事になるかと覚悟をしたのだが、今回は20分程で済んだ。
待っている間も、楽しそうに品定めをしている皆の様子に、たまにはこういう買い物に連れて行ってやるのも良いかもしれないと、そう思えた。
とは言っても、まずはお金稼ぎという目前の課題を解決してからの話ではあるのだが。
そんなこんなで、漸く決まったティリア用チョーカーの宝石は、髪と瞳の色に近い、トパーズが選ばれた。
まずはチョーカー代を支払い、店主にトパーズをチョーカーに取りつけてもらうと、完成したチョーカーを受け取った俺は、自らの手でティリアの首へと取り付け、主従契約を行った。
「受けた御恩に報いる為にも、私はご主人様に誠心誠意お仕えする事をここに誓います」
俺に向け頭を下げながら、ティリアはそう誓うのであった。
次回 第136話 報酬と別れ
今更ですが、ティリアの容姿については次回辺りで書く予定です。
け、決して書くのを忘れていたわけでは無いですよ!