第129話 対処のアイテムは見覚えのある物だった
新しく増えた人物の紹介は、水の国編が終わったころにする予定となっております。
ティリアの存在が消えていたので、一部訂正しました!
途中、一度も口を開くことなく真剣に耳を傾けるゴルドに、俺の秘密等を全てを話し終えるのにはそう時間は掛からなかった。
しかし、俺の話す内容だけではゴルドも信じ切れていなかった様だったので、トドメとばかりに俺自身のステータスを開き、二人に見せる事に。
「こ、これはまた何ともすさまじい…」
「す、すごい!こんな数値見たことがありません。
それにスキルも…」
ステータスを見たゴルドとティリアの二人は驚き、目を見開いている。
「これで信じて頂けましたか?」
「ああ。流石にこんな常識はずれなものを見せれられては信じる他あるまい」
ゴルドはソファーの背もたれに体を預け、しばらく何かを考え始める。
「ところでナツキ様?今更ながらですが、私がこのような大それた事を聞いてもよかったのでしょうか?」
「問題ない。だけど人には言わないようにしてくれよ?]
[はい!何でしたら、ナツキ様との主従契約が済み次第、私に秘密を洩らすな!とご命令下さい」
「いや、流石にそこまでするつもりは無いさ」
二人でそんな会話をしているうちに、ゴルドは何やら考えが纏まった様だ。
ソファーに預けていた体を起こし、再び俺の目を見て話し始めた。
「こんな事、周りに知られればナツキやその周りの者は注目を浴びるだろう。
そうなればきっと何らかの面倒事が起こる可能性も十分に有りうる」
「注目を浴びるという点においてはもう手遅れなところもありますけど、きっと今以上に大変なことになる気がしますからね」
俺は冗談っぽく言うが、事実としてはもうすでに手遅れである。
なんせフレムストでは姫との結婚、更にはその姫が奴隷という立場になっている。
他にも色々と噂まで広がったりしているのだから、注目を浴びていない訳が無い。
そんな事実を頭から払いのけ、俺は本題へと話を戻す事にした。
「まぁそういう事なので人には知られない様にしてください。
さて、話を戻しますが、俺達が追っている[世界を蝕む闇]は、残り3体います。
もしソレに関する、もしくは関していそうなと言うような情報が入った場合、俺に連絡を下さい。
連絡する手段については、巫女であるフローリア姫がディーと連絡を取る手段を持っていますので、それを利用すればディーから俺の方へと伝わりますので」
「なるほど、了解した。所でナツキよ、ワシからも一つ話があるのだが、よいかの?」
「なんでしょう?」
「今回のモンスター襲撃をナツキのパーティが対処してくれておるが、この一件における報酬は無しとさせてもらうが、異論はあるまいな?」
「っ!…わかりました」
意識して使った訳では無いのだが、自分の持つスキルで起こった事なので流石に言い返せず、俺は渋々ながら了解するしかなかった。
「ふむ、了解してもらえてよかったわい」
俺の了解を得られたと、ニヤニヤするゴルドの様子に、俺はため息を吐く位しか出来ずに居た。
目の前のテーブルの上に残るお茶の入った湯呑みを手に取り、報酬が無いのならせめて倒した敵からアブソープ位しておきたかったなんて思いつつ、既に冷めてしまっていたお茶を飲み干していく。
空になった湯呑みをテーブルの上に置き、一息ついた瞬間、俺の頭の中に慌てた様子の声が届いた。
『ナツキさん!今、ナツキさんのアイテムボックスに闇のフェロモンを封じる為のアイテムを送っておきました!すぐにそれを傷痕に使って下さい!
それと今夜ですが、眠りに就いた時にお呼びしようと思います』
完全に気を抜いていたところへ、突然女神様からの片道メッセージが届き驚いてしまい、俺の身体がビクッ!と反応する。
それを見ていたゴルドは「どうした?」と、心配そうに尋ねてきた。
「すいません、突然モイラ様からの念話が届いてビックリしただけです」
「なんと!?」と、驚いた様子のゴルドをほったらかしにし、俺はアイテムボックスのリストの中から女神モイラが送ったと言っていたアイテムを探し始めた。
リストにササッと目を通していっていると、リストの途中にNew!とかかれた項目があった。
こんな機能無かったと思うのだが・・・
いつの間にか追加されていた、アイテムボックスのちょっとした新機能に驚きながらも、New!と書かれていた項目のアイテムに視線を移すと、そこにはアロエと書かれていた。
「何故にアロエ!?」
贈られてきた物の名称を見て、俺は届くはずのない問いかけを、女神モイラへと発するのであった。
次回、第130話 効力の高いアロエ