第123話 戦いの傷痕~前編~
俺の言葉に、ミール達は驚き、先程まであった余裕が表情から消え、真剣な表情へとに変わっていた。
「ほう、我の事を知っているという事は、お前達が我の分身の一つを消滅させた犯人というわけか」
まるで、依然に倒した[世界を蝕む闇]の一部を自分の事の様に話す盗賊のボスに違和感を覚え、俺は完全解析スキルを使用してみる。
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ムスタ(寄生)
LV 45
HP ????
MP ????
STR ????
VIT ????
AGI ????
INT ????
DEX ????
LUK ????
スキル
威圧
鍵開け
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盗賊のボス、改めムスタのステータスが、[世界を蝕む闇]同様に見れない事、そしてムスタの話し方。
極めつけに完全解析スキルにて表示された名前の横の(寄生)という文字。
もう完全に[世界を蝕む闇]の支配下に落ちてしまっているようだ。
ムスタの前に居る、如何にも普通ではない様子の下っ端共にも完全解析スキルを使用してみると、ムスタ同様に、[世界を蝕む闇]の支配下となってしまっていた。
ステータスは、ムスタの様に????の表記にはなっていないが、HPは2000と高めで、その他の数値は全て500となっていた。
下っ端ですらこの強さと知り、先に盗賊討伐の依頼を受けた高ランクPTが戻ってこなかった事にも納得出来る。
「だったらどうするというんだ?」
そう言いながら、俺はアイテムボックスからダマスカスソードを取り出し、正眼に構えながらミール達に小声で予定の変更を告げる。
「ミール、ノア、シア、奴等はもう完全に意識を乗っ取られ、手遅れな状況だ。
だから捕縛は無しで、確実に仕留めるぞ」
「「はい!」」
「任せて!」
返事をするなり、ミールは自己強化用精霊魔法(火)でヴァルキリーモードに、ノアは頭上に多数の風の矢を、シアは多数の炎の矢を出現させ戦闘態勢となった。
そんな俺達を見て、ムスタは口の端を釣り上げてニヤリと笑う。
「我が分身の礼をたっぷり返してやろう!!」
言い切るなり、7人の下っ端共が俺達へと襲い掛かって来た。
それに合わせ、俺の右側から多数の風の矢が、左側からは多数の水の矢が幾つも勢いよく飛んで行き、下っ端共へと襲い掛かる。
目標に触れた魔法の矢が小さな爆発や、破裂音を幾つも鳴らし、盗賊のボスの方へと下っ端共を吹き飛ばしていく。
吹き飛ばされ壁に叩きつけられた下っ端共は、そのまま倒れると動かなくなっていた。
いくら強化されたとはいえ、下っ端共程度のステータスでは俺達の敵ではない。
「ほう、流石は我が分身を倒しただけの事はある。だが、これならどうだ?」
ムスタの持つ剣から黒い靄、もとい闇が、倒れている下っ端共へと延びて行く。
どうやら下っ端共に更なる力を与えている様だ。
「させるか!
そんな事を許すはずなく、俺は下っ端共へと延びた闇に向け、7つのファイアランスを打ち込んでいく。
下っ端共の強化を邪魔をされ、舌打ちをしているムスタ。
そんなムスタへと、ミールは炎を纏った剣で斬りかかる。
ムスタはそれをあっさりと受け止め、払いのけると同時にミールを俺の方へと吹き飛ばした。
「きゃぁ!」
吹き飛ばされてきたミールを受け止めていると、その隙を狙ってムスタは闇を纏った剣で斬りかかって来る。
それに反応し、俺も愛用の(主に伐採に使っていた)ダマスカスソードを片手に持ち受け止めようと動いたその瞬間、ムスタは口元をニヤリと釣り上げた。
剣と剣はぶつかり合い、金属音を響かせる。
ムスタの攻撃から身を守る事は出来たが、俺の愛用の剣はそうもいかなかった。
なんと、ムスタのもつ剣が俺のダマスカスソードの刃に深々と切り込まれていた。
次回 第124話 戦いの傷痕~後編~
戦闘シーンがうまく表現できずで申し訳ありません。
頑張って考えては居るのですが、今の自分ではまだこの程度が限界の様です。
orz