第117話 見覚えあるモノ
今回文字数少な目です。
次回も、もしかしたら少なくなるかもしれないです。
そして投稿遅くなってすみませんでした!
再びドラゴンの姿に戻ったらレイに運んでもらい、俺達は水の国アクルーンの王都から南の方向へと向かいつつ、探知スキルで盗賊らしき反応を探していた。
王都から今俺達の居る所までは、所々に木が存在する程度の草原であり、人が居ればすぐに気づく事が出来る。
しかし、出発してからというもの、見かけるのはモンスターと闘っている冒険者パーティがたまに居るくらいであり、盗賊共は全く見つからない。
『マスター、どうやらこの辺りには盗賊は居ないようですね』
『みたいだな。こっちの探知スキルにも反応は無いし、もっとゼーベ寄りなのかもしれないな』
『わかりました。それではもう少し南に移動してみます』
『ああ、頼む』
現在、盗賊達はゼーベの街付近に居るのではないかと予想した俺は、レイに頼み、一気にゼーベの街まで飛んでもらう事に。
もちろん向かっている途中にも、全員が大地を見下ろしながら、更に俺は探知スキルを展開しながら進んでいた。
途中、俺の探知スキルに反応を捉える事があったのだが、反応のあった方を見てみると、その先には巨大なカタツムリの殻だけがあった。
確か名前はジャイアントシェル。
前回、この水の国に来ている途中に見かけたのだが、その時の奴ほど大きくは無い。
それでもその殻の大きさは、目測で7・8メートル程はあり、十分に巨大だと言える。
探知スキルに引っかかるという事は、アレは間違いなく生きている。
きっと本体は中に引っ込んでいるのだろう。
何はともあれ、あまり見たくないのでジャイアントシェルの事は放置し、レイには先を急いでもらうとしよう。
「旦那様!街が見えてきました!」
俺、ミール、エルの組と、ノア、シア、ミリーの組に分かれ、30分交代で眼下に広がる草原を警戒していたのだが、3度目のノアチームとの交代をして少し経った頃、ミリーが遠くにゼーベの街の姿を見つけた。
ゼーベまではまだ少し距離があるのだが、別にゼーベに用事は無いのでこれ以上進む必要は無い。
そこで、一度地上へと降りてもらい、レイの翼を休ませる事にし、その間に俺達は話し合いを始めた。
「ここに来るまでの間で盗賊らしき姿はなかったな」
「はい。盗賊達が隠れてそうな怪しい場所も全然ありませんでした」
俺に答えたミールのお耳が、シュンとしてしまっている。
きっと見つけられなかったのが悔しいのだろう。
「見かけたと言えば、多少は腕の立ちそうな冒険者と弱そうなモンスター位だったよね」
「だな。オークやゴブリンの集団、それにキングボアが居たな。
ああ、後ジャイアントシェルも居たっけ」
「ちょっと待ってください」
途中で見かけたモンスターを思い出しながらシアに相槌を打っていると、エルに抱かれていたディーが俺のセリフにおかしな点を見つけた様だ。
「ジャイアントシェルがあの草原に居たのですか?」
「え?居たけど、それがどうしたんだ?」
「普通、ジャイアントシェルは水場の近くにしか生息しません。
ですからこの様な草原に居る事などありえません」
ディーに言われ、俺はあの時みたジャイアントシェルの事を思い出してみる。
そして一つ、俺はある可能性に気付いた。
どうやら俺は、ここまで来る間に怪しい場所を見つけていた様だ。
俺達は再びレイに頼み、ジャイアントシェルを見かけた場所へと飛んでもらっていた。
次回 第118話 内部への侵入