第116話 小屋完成!…小屋?~後編~
大通りへと出て来た俺達は、途中で道具屋を見つけたついでにと、マジックポーションやメモリーストーンを買い足していた。
このどちらも、この後オークの居た西の森に行って小屋を作成する時に必要なのと、残りの手持ちが少なくなっていたからだ。
マジックポーションは10本で2000コル、メモリーストーンは5個で5000コル
計7000コルの出費と、かなり大きい出費だが、今回の報酬で3万コル以上手に入る(はず)なのだから良しとしよう。
アイテムの補充が終わり、俺達は街の出入り口である門へと向かう。
門に辿り着くと、門番をしている兵に通行許可をもらい、街の外に出たところから少し西に向かって移動する。
というのも、レイに運んで貰う為に、ドラゴンの姿に戻ってもらったり龍カゴの準備をしたりする為だ。
今更、人に見られたところで問題無いのだが、単に門の前でそんな準備してたら邪魔になるだろうと思い少し離れただけの事である。
レイの飛び立つ準備が終わると、その大きな翼を羽ばたかせ大空へと舞い上がり、街の西にある森へと向かう。
森に着くまでの間、とはいってもほとんど時間は無いだろうが、俺はミールの尻尾をモフモフさせてもらいつつ、皆とオルリア村にある温泉旅館と従業員宿舎の名前について話し合っていた。
『マスター、森に着きましたが、どのあたりにおりますか?』
空の旅を初めて5分少々たった頃、レイから念話が届き、話し合いは終わりとなった。
『森の中でひらけた場所がいくつかあるだろ?それのどれでも適当な所でかまわない』
『わかりました』
「皆、レイが目的地に着いたってさ」
嫁達にも着いた事を伝えると同時に、レイが地上へと降り始めた。
この西の森に点在する広場の一つに降り立つなり、まずは役割分担する。
俺とミールは小屋を作る材料にするため、周囲の木々を伐採。
ノア、シア、ミリー、エルの4人には、周囲にオークの反応があるので、そちらを倒しに行ってもらう。
レイ、サラ、ディーは…特に任せることは無いので待機でいいだろう。
役割が決まり、各々が行動に移る。
と言っても俺とミールペアの伐採も、ノア達の討伐チームもそう時間のかかる者ではない。
5分もあれば作業は終わる。
こうして材料は集まり、俺はこれから作る小屋のイメージを固めていく。
「(簡易的な物だから寝る場所だけあればいいだろうけど、どうせなら風呂場は欲しいよな、あとトイレ。それから…)」
女性チームに見守られる中、少し多すぎる程に伐採した木々に向かい、手をかざしながら自分の求める者をどんどんとイメージに組み込んでいく。
もうなんだか小屋というレベルを超えた感じになっている気がするけど、まぁ良いだろう。
便利な事に越したことはないし。
多分、伐採などをしていた時間よりも集中して固めたイメージ思い描きながら、俺は創造スキルを発動させる。
手をかざした先にある木々がその形を変えて行き、それと同時に俺の魔力もどんどん減っていく。
流石にあれこれと設備を付け足していったせいもあり、小屋は予定以上のサイズとなり、完成する頃には俺の魔力は殆ど無くなってしまっていた。
おかげで、頭痛と立ち眩みに襲われる事となったが、すぐにマジックポーションを取り出して一気に飲み干し、魔力を回復させる事で倒れずに済んだ。
「ナツキ様、大丈夫ですか?」
「ああ、うん大丈夫。平気平気」
心配してくれたミールの頭とお耳を撫でながら答える俺。
「というか主様、これ小屋ってレベルじゃないよね?」
シアの一言を聞き、ノアもウンウンと頷いている。
多分同じ事を思っていたのだろう。
「私はてっきり皆で寝泊まり出来る程度の物を作られるのだと思っていたのですが…」
「やっぱり、野営するようと言っても、多少は利便性を良くしたかったからね!
とりあえず皆、中を見てみてよ」
皆を連れ、完成した小屋、というよりも家と呼ぶべき建物へと入り、その内装を見て回る。
8畳程の寝室は2部屋あり、釜戸タイプのキッチンに3人用サイズの風呂場、そしてトイレは2つ。
どう見てもこれは小屋とは呼べない。
建物内をざっと見て回り終え、全員で外へと出るなり、頭の上にずっと乗っていたサラはボソリと呟いた。
「もう完全に家じゃないか」
何か問題でも?と、聞き返しながら、俺は家をアイテムボックスの中へと仕舞い込んだ。
次回 第117話 見覚えあるモノ
3000文字超えてる!って思いながら読み返してたら、オークしか出ないはずの森という設定だったのに、別のモンスターを登場させてしまっていたというミスに気付き、その部分をバッサリカットして前後を訂正しました。
その結果、なんと文字数が1700程度まで減ってしまった!!




