第112話 盗賊退治を頼まれて
ちょっとタイトルを変えました。
高ランクパーティが盗賊退治に向かって5日の所を8日に変更しました。
言われてようやく変なことに気付きました…orz
他、色々な個所のミス報告がありましたのでそちらの訂正も完了しました!
魔石をつかった灯りに照らされる訓練場で、お仕置きと称した体術の練習に精を出していたのだが、9種類目に選んだ体術、パロスペシャルを試している途中、1人の兵士がディナー会場の準備が出来た事を伝えにやって来た事により、俺のお仕置きは一旦中断となり、皆で一緒にその会場へと移動を始めた。
先頭を歩くウォーリーの肩には、いくら許しを請おうが、俺の容赦無い技を受け続け心身共にグッタリとしているヨーゼル王子が担がれて運ばれている。
あんなになるほどやったのだから、もう襲ってくる事も無いだろう。
まぁ念には念を入れて食後に後半の部を実行するけど。
後半の部で試す技、もとい、お仕置きの内容について考えながら歩いる間に、リカルド王達の待っていると思われる食堂へと辿り着いた。
先頭を歩くウォーリーの手によって開かれた扉の先は、奥行き10m、横幅15m程の広さの部屋があり、その中央に直径3m程はありそうな大きな円テーブルが置かれている。
テーブルの周りには12個のイスがあり、部屋の入り口から向かって、奥の正面の位置にリカルト王が座っており、その左右には、見覚えのない女性が座っている。
左に座っている女性は、見た目は30代前後、左肩から胸元へ向けて亜麻色のウェーブ掛かった髪は伸びている。
目尻が少し下がっており、おっとりとした女性!といった雰囲気を纏っている。
因みに瞳の色はブラウンっぽい。
対して右側に座っている女性も、見た目は30代前後。
こちらは右肩から胸元へと、ストレートな髪を一つに束ねて流れている。。
瞳は少し青っぽく、活発的な顔つきだ。
この二人はリカルト王の妻、つまりは第1王妃と第2王妃なのだろう。
そして、その左の女性の隣の席にはフローリア王女が座っていた。
「お待たせして申し訳ありません陛下!ナツキ殿達をお連れしました」
「ご苦労。ヨーゼルはそこのイスにでも座らせておいてくれ」
リカルト王が指示した先は、右側の王妃の更に右側の空席である。
ウォーリーはその空席へと近づき、ヨーゼル王子の身柄をイスへと降ろす。
「ヨーゼル王子、親にまでソレ呼ばわりされちゃってますね…」
真後ろに居たシアが、俺の位置までくらいしか聞こえない程の声で、ボソッと呟く。
俺はそれを聞いて苦笑する。
「ささっ!ナツキ殿達も、席に着いて下され」
「は、はい!」
苦笑しているところに、リカルト王から声を掛けられ、慌てた様に返事をしてしまったが、すぐに平常心を取り戻し、俺はリカルト王達の正面に位置する席へと向かう。
俺の後に続く様、ミール達もそれぞれ開いている席へと向かい座って行く。
左から順にエル、ノア、シア、俺、ミール、ミリー、レイといった感じだ。
因みにサラは俺の膝の上で、ディーはエルの膝の上に座っている。
全員が席に座り終えると、沢山のメイド達が次々と入れ替わる様に食事を運び始め、全ての料理が並び終えたところでリカルト王から一言貰い、雑談混じりの楽しい食事が始まった。
目の前に並んでいた料理のほとんどが無くなりかけたところで、リカルト王は突然咳払いをし、先程まで食事と会話を楽しんでいた表情が真剣なものへと変わる。
「ところでナツキ殿、一つお願いがあるのだが、聞いてはもらえぬだろうか?」
「なんでしょう?」
面倒事じゃなければいいのだが、なんて思いながら返事をする。
「実は今朝の一件でギルドに迷惑を掛けてしまったので、ゴルドに謝罪の手紙を届けてもらうために使いをやったのだが、その時にゴルドの方からある報告をもらってな」
リカルト王の困惑した表情に、俺は面倒事だろうという予感が大きくなる。
「この街から南、馬車で3日程行った所に、ゼーベという街があるのだが、その街とこの王都の間で盗賊共が現れ、商人や駆け出しの冒険者達が次々に襲われておるらしい。
ギルドではその盗賊共を退治、もしくは捕縛しようと高ランク冒険者パーティに依頼を出していたようなのだが、今日で8日、未だにそのパーティは戻って来ないらしい」
高ランク冒険者というのがどのランクなのかは分からないが、多分Bランク以上なのだろう。
しかし、そんな高ランクの冒険者パーティが向かったというのに、8日経って未だに戻ってこないとなると、そのパーティが無事である可能性は低い。
「そこでだ、ギルドはナツキ殿達にこの一件を指名依頼で頼むつもりらしい。
どうか明日にでもギルドに向かい、受けてはもらえぬだろうか?」
そう言ってリカルト王は座ったまま両手をテーブルに着け、頭を下げる。
一国の王が頭を下げるのもどうかと思うのだが、多分、リカルト王としては今朝のヨーゼル王子の一件もあり、俺に頼み辛いと思っていた故にその様な態度をとったのだろう。
そして、頭を下げるリカルト王だけではなく、未だに意識の戻っていないヨーゼル王子以外の表情が曇ってしまっていた。
「わかりました。では明日ギルドに行って依頼を受けてきます。だから顔を上げてください」
そんなリカルト王の内心を考えつつ、俺はそう答えると、顔を上げたリカルト王や二人の王妃、そしてフローリア王女は安堵の表情を浮かべていた。
こういった困り事を解決すれば、それが誰かの幸せに繋がる事もあるかもしれない、そうすれば世界樹を少しでも成長させる事が出来るのだろう。
だからこそ、俺はこういった依頼を断るつもりは無かったのだ。
「ありがとう!2体の精霊王様と契約をする程の実力者であるナツキ殿ならば安心だ」
「お任せください、一人残らず盗賊共を捉えておきますから!」
自信満々に答える俺に、リカルト王を始め、二人の王妃やフローリア王女の表情が明るくなる。
「ささっ、残りの料理を食べてしまおう。ナツキ殿もこの後ヨーゼルの仕置きの続きがあるのだろう?」
「ええ。まだやってみたい技がいくつか…じゃなかった、性根を叩きなおすつもりですから!」
つい漏らしてしまった本音に、一同は苦笑を浮かべている中、俺の膝の上でお座りしていたサラは「最近のナツキって、段々容赦がなくなって来たよね…」と、小さく呟いていた。
第113話 フローリア王女の内心
明日一日、ちょっと予定が出来てしまったので、次話は月曜日の夜から書き始める予定です。
なので次回の投稿は木曜日の24時頃になるかと!