第105話 私の名はヨーゼル!
誤字や、一部の文字の書き換えをしました。
特訓➡訓練
街の入り口となる門へと戻って来ると、もうすでに空はすっかり夕日の色に染まっていた。
門番にギルドカードを見せ、街の中へと入った俺達は、冒険者ギルドへと足を運ぶ。
「アニア草5束の納品ですね。1束が80コルなので、依頼報酬は400コルとなります。お確かめください」
受付のお姉さんから報酬を受け取り、俺達はギルドを後にする。
早く宿に戻り、訓練で疲れているであろうミリーとエルの二人をゆっくりと休ませてやりたい。
明日の訓練は、実際にモンスターと戦ってもらう予定なのだから。
そんな事を思いながら宿に向かい大通りを歩いていると、途中で古着屋を発見し、ミリーとエルの訓練用にと動きやすい服を上下2着ずつ選ばせ、それらを購入する。
支払い合計は380コルと、今日の依頼報酬のほとんどが消える結果となってしまったのだが、これは必要な物なので仕方がない。
代わりに明日、今日の出費分を取り戻せるほど稼げばいいだけだ。
何も問題は無い。
その後俺達は宿へと戻ると、部屋に戻らず先に食事を済まそうと1階の酒場の方へと向かう。
「いらっしゃい!」
酒場の入り口に立つなり、この宿の娘であり、普段はウェイトレスとして働いているエシリアが声をかけて来た。
「食事を頼みたいんだけどいいかな?」
「ええ大丈夫ですよ。これからすぐ準備するから、皆さん奥のテーブルに座って待ってて下さい」
この宿屋を利用している客は、その日の日替わり定食というメニューが出されるシステムとなっている。
一応メニューを変更することも可能ではあるのだが、その場合は追加料金が発生するらしい。
まぁ俺達は日替わり定食で十分に満足しているので、気にする必要はないのだが。
いつまでも店の入り口に立っていても邪魔になる、なのでさっさと奥にあるテーブルについて料理が来るのを待つ事にする。
俺達が向かっている奥の席は、この店を初めて利用しようとに訪れた時にエシリアが俺達全員で座れるようにと用意してくれた場所である。
朝食の際も俺達はそのテーブルを利用しており、そして今夜もまた、その場所を利用しようとしている。
俺達専用という訳では無いが、あのテーブルが俺達の食事をする場所として決まっている様なものだ。
全員が席へと座り、料理が出来るまでの間、この街で見かけた店や町全体の雰囲気等、色々な事について話ながら時間をつぶす。
とは言っても、料理が出来上がるまでの時間なんてものはそう長いものでもなく、歓談する俺達の元へとエシリアや、この店に働きに来ているウェイトレスの娘達が料理を運んできた。
「はーいお待たせ」
次々と運ばれてくる料理がテーブルの上へと並べられてゆく。
流石に7名と2匹分の食事となると、結構な量となる。
切り分けられ、大きめのお皿に盛りつけられた美味そうな肉料理やサラダ、そして一人に付き一皿のシチューに似た物等、この日替わり定食はホントにボリュームも味も良い。
この宿が多少高いとは言っても、こんな料理が食えるのなら安い方ではないのだろうかと思えるほどだ。
「それではごゆっくりどうぞ」
料理を運び終えたエシリアや他のウェイトレス達は他の客の元へと注文を取りに行ったり、出来上った他のテーブルの客たちの料理を厨房へと取りにと戻っていく。
「昨日の夜もそうでしたが、今夜の日替わり定食もすごい量ですね」
「ああ。朝食の時は普通の量だけど、夜の方はちゃんと採算がとれているのかちょっと心配になる程に多いよな」
目の前に並ぶ料理を見て感想を言うミールに、俺も思った事を口にする。
二人とも量の事ばかりを褒めているが、もちろん味の方も昨日や今朝食べた感じ、普通に美味しかった。
今、目の前にある料理もきっと美味いのだろう。
「まぁ、とりあえず食べようか」
その後、楽しい会話を交えながらも食事を進め、最後の方には俺とレイ以外はお腹が苦しい状況になっていた。
それでも何とか全てのお皿を空にし、俺達は待機組の部屋へ戻って来た。
「食べ過ぎたぁ、お腹が苦しいよ~」
「シア、食べてすぐに横になったら体に良くないわよ」
部屋に入るなり、ベッドに腰かけたシアはそのまま後ろに倒れてこみ、それをノアが注意する。
そんな二人のやり取りに、苦笑いを浮かべながらも、俺達はしばらくの間ゆったりとした一時を過ごした。
それから時は過ぎ、時刻は21時に差し掛かろうとしている。
かなり早い時間帯ではあるのだが、そろそろ寝ようかという話になり、俺とノアとシアの3人は隣の部屋へと移動する。
とは言っても、ホントにすぐに寝るわけではない。
これから夫婦の営みタイムが始まるのである。
まぁ、そんな事は皆もよく知っている訳だが…
部屋に戻り体を拭いてもらったり拭いてあげたりと大人のスキンシップから始まり、ノアとシアの二人とのプレイが始まる。
最近どんどんとノアの責められ好きが強くなってきた気がする。
そしてシアはシアで、攻め好きが強く…
とまぁそんなこんなで、楽しくも愛情溢れる行為は日が変わる手前まで続いていく。
翌日
朝食が終わり、少し休憩した後俺達は冒険者ギルドへとやってきていた。
今日は予定通りミリーとエルに実戦をさせる予定なので、討伐系の依頼で良さそうな物を探している。
二人とも大概の相手には、というよりもこの世界のモンスターならば古竜とかでもない限りはまず危険など無いのだろうから少しでも報酬の良い依頼を受けたい。
ただ、ミリーもエルも冒険者になったばかりで、まだ最低ランクのままであり、現状受けれる依頼はDランク程度までなのだ。
俺の目的であるお金稼ぎをするのなら、依頼など受けずに高ランクモンスターを討伐しその素材を売るだけで良い話なのだが、折角なのでついでにミリーとノアのランクを上げる為に依頼もこなしておこうと考えだ。
そんな訳で、俺は依頼の張られた掲示板の中から、出来るだけ報酬の多そうな討伐依頼を探していると…
「おい、そこのお前!」
突然肩に手を置かれ、声を掛けられた。
これはまさか!ついになのか!?
期待に胸を膨らませ振り返ると、そこには顔立ちの整った男が立いたのだが、俺の視線はそのすぐ斜め後ろに立つ存在へと向かい、思考が一旦フリーズする。
そこには、身長2m近くありそうな、ビキニアーマーを来たマッチョな男が立っていたのだ。
「私はAランク冒険者のヨーゼル!ヨーゼル=ラース=アクルーンだ!」
次回 第106話 王子と愉快な仲間