第101話 二人の初めての依頼は?
ついに評価ポイントが2000に!
ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!
感謝の気持ちを込めて3度言わせてもらいました。
あ、それとタイトルコッソリと変更しました(2文字追加しただけ)
誤字があったので訂正しました。
5/15
訂正内容:次回タイトルの変更
「なぜ誰も絡んでこない」
「ナツキ様!?何故唐突に落ち込んじゃってるんですか!?」
ミリーとエルの冒険者登録を済ませ、宿の控え組の部屋へと戻るなり、未だに異世界転生やら異世界召喚等で定番の、冒険者ギルドで先輩冒険者達に絡まれるというイベントを迎える事が出来ていない現状に俺は落ち込み、その後に手と膝を地につけ項垂れるのであった。
これまでに読んできた異世界シリーズの物語の中では、ほぼ確実に起こるであろうイベントだと言うのに、何故俺にはそんなイベントが起こらないのか?
一般的に考えれば、そういったイベントは起こらない方が良いのだろうが、折角自分自身が異世界に来るという、本来ではありえない体験をしている現状としてはぜひ体験してみたい!
この感覚は、観光地でその土地の名物を見る、もしくは食べるといったものに近いものだと言えばよいだろうか?
まぁ、現状の強さがあり、それ故に余裕があるからこそ、テンプレ的なイベントを求めていられるのだろうが、逆に今の強さが無ければ、きっとそんなイベントが起こらない事を祈っていたに違いない。
「姉さん、主様どうしちゃったのかな?」
「分からないわ。何故主様は誰かに絡まれる事を願っているのかしら?」
俺の気持ちが分からないエルフの双子姉妹ノアとシアは、困った表情でこちらを見ている。
「旦那様?別に争いが起こらない事に越したことは無いんじゃないの?」
「私もミリーと同意見です」」
「ある種の憧れのようなイベントだったんだよ!なのに…なのに誰も絡んで来やしねぇなんて…」
「絡まれる事に憧れを覚えるなんて、ナツキはバカなの?・・・って痛い!痛いよナツキ!ごめんなさい!謝るからコレ止めて!」
地に手と膝を付けた状態故に、俺の後頭部へと座り直していてサラが放った一言に反応した俺は、お仕置きを即座に発動させる。
今の俺の気持ちを分かってもらえるとは思えないが、それでもサラの正直な一言にはイラッとしたのだ。
謝り続けるサラの姿に多少は満足したところでお仕置きを止めてやり、小さく溜息を吐いた後、俺は気持ちと話題を切り替えながら立ち上がる。
「まぁ、まだチャンスはあるだろうし、その内勇者が出てくるだろう…よし!エル、こっちにおいで」
少し離れた位置にいたエルは、俺に呼ばれ傍にやって来た。
「早速エルにさっき買った物を付けてあげたいから、そっちのベッドに座ってもらえるかな?」
「は、はい!」
何処か緊張した様子のエルは言われるままにベッドの上へと登り、俺に背を向けるようにして座ると、サイドテールにするために纏めていた髪留めの紐を解き、じっと動かなくなる。
そんなエルの背後へと立ち、俺はアイテムボックスの中からエルの為に買った|シルバー製の髪留めクリップ《婚約の印》と、いつも使っている櫛を取り出す。
まずは髪を整えようと、髪留めクリップをエルの座る隣に置き、エル以外の皆に見守られる中、目の前にあるスミレ色の髪へと左手を伸ばし、いつも通りに右手で優しく櫛を通していく。
何度か櫛を通していく内、引っかかりが無くなり手を止め櫛を置く。
そして次は首筋より少し下辺りで髪を一纏めにし髪留めクリップを手に持ち、髪を纏めている所へと着けてやり完成した。
「よし!こんなものかな」
「あ、ありがとうございますナツキ様」
俺とエルのやり取りを見て、取り付けが終わったと判断したミール達はエルを取り囲み、正式に婚約をした事への祝いの言葉を送ったり、|シルバー制の髪留めクリップ《婚約の印》を身に着けたその姿の感想等を話し始め、夕食の時間になるまで少しの間、部屋の中は女性陣達の明るい声で賑わい続けたのであった。
1Fの酒場では再び視線を集めつつ夕食を取り終えた俺達一行は、待機組の部屋へと戻り、各自が好きな事をしながらのんびりとした時間を過ごしていた。
そんな中、ベッドの上でゴロゴロしていたシアは突然体を起こし、隣のベッドの縁でミールに膝枕をしながらお耳を可愛がっていた俺へと話しかけてきた。
「そういえば主様、明日は依頼を受けるんだよね?どんな依頼にするの?やっぱり討伐系?」
柔らかくて温かく、触ると気持ち良いお耳から一旦手を放し、シアへと顔を向ける。
「いくら力が付いたといっても、いきなり討伐系っていうのは良くないと思うし、やっぱり最初は採取系の依頼がいいかなって思ってるんだよな。
んで、そのついでに、力の使い方の練習をさせて、後は依頼から帰る前に一度実践をって考えてる」
そう言いながら、俺はミールと一緒にステータスが一気に上がり、力のコントロールに苦労した時の事を思い出していた。
あの時は木にぶつかったり、又は自分の走る速さがあまり速く、木の根に足を引っ掛けてしまったりして転んだ痛みはよく覚えている。
「ふーん、まぁその方がいいかもねぇ、ボクもこの力をもらえた時はちょっと苦労したし」
そう言って、自分が体験した事を思い出しているシアだが、俺には全くそんな様子に見えなかったのだが?
シアだけではなく、ノアも、俺やミールの時の様に力に弄ばれるような事もなく、その後の戦いは普通に動けていた様に見えたのは気のせいだというのだろうか?
「その割にはあのダークドラゴンと闘っていた時はそうは見えなかったんですけど…」
ミールも俺と同じことを思っていた様だ。
「そんな事ありませんよ、あの時は私もシアも主様のご迷惑を掛けないように必死でしたから」
「そうそう、皆で街の中を走り始めた時はもう必死だったんだよ?最初の一歩を踏み出した時なんか、え!?ってなったもん」
ノアとシアが誤解だとばかりに答えるが、それを聞いてミールのお耳と尻尾はシュンとしょげていってしまう。
「私とナツキ様はまともに動けるようになるまで、もっと苦労したのに」
ミールの落ち込んだ姿も可愛らしいが、そろそろ脱線した話を戻した方が良いだろう。
「まぁ、そんな事もあったけど、兎に角!明日は採取系の依頼を受けるって事で!2人ともいいね?」
「はい!頑張ります!」
「ちゃんと手取り足取り教えよね、旦那様」
「良し!それじゃちょっと早いが、明日の為にも今日は早めに寝るとしよっか」
そう言って俺はミールとミリーを連れ、2人を可愛がるベッドのある部屋へと戻って行く。
次回 第102話 お世話になっている故に
そろそろ貴族様が関係してくるような話が出てくる・・・といいな。
次回の102話では出てこない予定ですが、103話か104話くらいには多分。