第100話 買い物と登録~後編~
気づけば100話目!
正確には101話目となるのですが…
兎に角!まだまだ終わりは見えてこない程の進行速度ではありますが、最後まで書き続けますので、どうかお付き合いください。
よろしくお願いします。
最初の買い物が終わり、そこから更に歩き始めること15分弱。
本日の2つ目の目的地となるアクセサリーショップへとやって来た。
ここに来るまでの間、またもや俺の前方を歩いている女性陣は、どんな物がいいだろうか?という議論が繰り広げられていた。
そんな様子を見ながら、俺も一人色々と考えていたのだが、結局現物を見て決めようという結果に終わっていた。
そんな訳で皆揃って店に入ると、コの字に並べられた台の上に様々な装飾品が展示されていた。
「いらっしゃいませ。この街一番の品揃えを誇る当店へようこそおいで下さいました。本日はどのような物をお求めでしょうか?」
そう言って俺達を出迎えたのは、白いカッターシャツに真っ黒なズボン、首元には黒い蝶ネクタイという恰好をしたダンディーなオジサンだった。
「この娘との婚約の印にアクセサリーを送ろうと思うんだけど、何かおすすめとかあるかな?」
背後にいるエルの背中に手を回し隣に連れてくると、店員に来店した理由を告げる。
するとダンディーな店員は少し目を見開き、「ほぅ」と小さく呟いた後、再び営業スマイルへと戻る。
「もちろんございます。どうぞどうぞこちらへ」
案内されるまま、俺達は店の入り口から見て右側に展示されている様々な装飾品の前へと移動する。
そこに並べられている物はどれも素晴らしく、見るからに高そうな物ばかりである。
「当店自慢のこのネックレス等は如何でしょう?」
そう言って店員が手にしたのはその中でも比較的控え目な、ゴールドのフィルドに胸元に来る部分には多数の宝石がはめ込まれたプレートのような物が付いたネックレスだった。
正直言って大人しく物静かなタイプのエルには似合わない。
一緒にソレを見ているミール達も、俺と同じことを思っているのか、それはダメでしょうと言いたげな表情だ。
多分この店員はとりあえず高い品物を売りつけようとする、ダメなタイプなのだろう。
「ん~流石にそういう派手じゃなく、もっとこうおとなし目感じっていうか」
「それならば、こちら等は如何でしょう?」
次に店員が手にしたの物は、シルバーっぽい色したブレスレットだったのだが、なんとお値段は先程みたブレスレットがおとなし目に思えるほど高かった。
店員の説明によると、素材はシルバーでは無くミスリルが使われているとか。
それを聞いたエルは、さすがに婚約の印でそれほどの物を買っていただくわけには!と断り、そそくさと女性陣と共に自分の気に入りそうな物を探し始める。
そんな女性陣達の後ろ姿を見ながら、流石にアレはエルの意見を止めてでも買ってあげるという選択は出せないなぁと考えた後、高い品物ばかりを進めてくる店員に「後は彼女たちに選ばせます」と告げ、女性たちの後ろをついて回る。
因みにミスリル制ブレスレットのお値段、なんと27万コル!と、我が家の家計への影響が大きすぎる数字である。
エル達の後をついて回りながら見て回る事10分と少々、どうやらエルが気に入った物を見つけたらしく後ろにいた俺に「これなど如何でしょう?」とソレを指し示した。
指し示された先にあったのは、シルバー制で何やら風をイメージさせる模様の入った髪留めのクリップだった。
周囲にいたミール達も、それならばエルに似合いそうだといった風な意見が上がっている。
因みにこちらの値段は15000コルと、髪留めにしては高過ぎる気もするのだが、きっと使われている素材やデザインの関係上でこの値段なのだろう。
「エル、ホントにそれでいいのか?確かに似合いそうだが」
「はい!|あまり派手すぎず、且つ常に身に着けておけます。それに髪のセットをしていただく時には、ナツキ様の手で付けて頂くことが出来るのですから。
ですから私はコレが良いと判断いたしました」
「お、おう。まぁエルが気に入ったのならそのクリップにしようか」
「はい。ありがとうございますナツキ様!」
そういって俺に向かって頭を下げるエルに、ミリーは「よかったねエル」と言いながら自分の事の様に喜ぶ。
そして二人の周囲にいたミール、ノア、シア、レイはニコニコしながら優しく見守り、サラは俺の頭の上から飛び立ち、楽しそうに思えたのか、エルの頭の上へと移動し、その後を追う様にディーもフヨフヨと飛びながらミリーの頭の上へと着地する。。
そんな女性陣の喜びや楽しそうな姿を少しだけ見た後、先程からこちらの様子を少し離れた位置から見ていた店員を呼び、クリップの清算をしてもらうのだった。
清算が終わり、受け取った品物は一旦アイテムボックスの中へと入れる。
エルには宿に戻ったら着けてあげる事を約束し、俺達一行はアクセサリーショップを後にし次は冒険者ギルドへと向かい歩き始めた。
もちろん今回も、書いてもらった簡易地図を持っているシアに誘導してもらいながらである。
そして歩き始める事20分弱、訪れるのがこれで2度目となる、この街の冒険者ギルド前までやって来た。
建物の中へと入ると、ギルド内にはそれほど多くの人は居なかった。
現時刻は17時手前である。
時間的にはそろそろ依頼をこなし終えた冒険者達が報告に戻ってき始める頃だろう。
そうなる前にミリーとエルの二人の登録手続きを済ませておくべきだろうと思い、俺達一行は入り口正面の受付へと向かい、そこに座っていた袖カバーを付け、事務員風な恰好をした30前後だと思われる女性へと声をかける。
「すみません、この二人の冒険者登録をお願いします」
「はい。そちらのお二人は奴隷でございますので、こちら専用用紙に記入し、最後にお二人の主のサインの記入をお願いします。
奴隷の冒険者登録における注意事項等の説明は必要でしょうか?」
「いえ、大丈夫です」
ミールやノアやシアの時同様、奴隷の冒険者登録の用紙を2枚受け取り、ミリーとエルに必要な項目を記入してもらい、最後に俺のサインを記入する。
そしてそれを受付の女性に渡すと、それを持った女性が受付の奥に見える扉の中へと消え、数分後、二人のギルドカードを手に受付へと戻って来る。
この奴隷の冒険者登録という行為は既にこれで3度目であり、説明を聞かなかった分、早く登録作業は終了する。
流石にこの時間に依頼を受けるなんて事をする訳もなく、今日のところは宿に戻り、寝るまでの時間をゆっくり過ごそうと考えながら、ミール達に「それじゃ帰ろうか」と言い、俺達はギルドから出ようと扉に向かい歩き始めた。
次回 第101話 二人の初めての依頼は?
またまた評価ポイントが2件入ってました!
歓喜です!
この調子で評価ポイント2000を目指し、PVの方も目指せ100万を目指したいと思います!(現在76万程いってました