第99話 買い物と登録~前編~
物語中に出てくる、女性陣には、サラとディーは含まれません。
何故ならサラとディーには性別がありませんから!
「主様、この先の道を右に曲がって、少し歩いた所にお店があるはずだよ」
今俺達がシアの案内で向かっているのは服屋さんだ。
エルが俺と婚約したという事で、エルとサラ以外のメンバーからの提案により、エルが今後必要となる服や、婚約の証となるアクセサリーを買いに行く事になったのだ。
時はさかのぼる事1時間程前の事。
ミリーとエルが俺の眷属となる契約が終わった後、ミリーが放った一言が始まりだった。
「エルが旦那様と婚約したという事は、エルは私の次にお勤めって事になるのかな?」
このミリーの発言に、ミール、ノア、シア、エルの4人は「あ!」と声を揃えた。
その後、ミール、ノア、シア、ミリー、エルの5人は俺から一番遠いベッドに集まり、コソコソと何やら話し合い始めた。
そんな様子を、俺はサラとディーを膝の上に乗せ、2匹の背中をセレブが愛猫を撫でるが如く撫で続け、俺の隣の席にレイがそっと座り、俺と一緒にミール達の秘密会議?が終わるのを待ち続けた。
ミール達の会議は10分程で終わり、5人はそのまま俺の前に横並びになると、メンバーのリーダーとしてミールが会議の結果を話し始めた。
「ナツキ様、エルがナツキ様と婚約したという事で、服を買う必要です!どうか買って上げてください!」
婚約したから服が必要になった?いったいどういう事なのだろうか?と、疑問に思い聞いてみると、ミール、ノア、シア、ミリーの4人が声をそろえて答えた。
「「「「ネグリジェです!」」」」
我が家にエル用のネグリジェは無い。
というかそもそも、我が家でネグリジェを着るのは、俺と一緒の夜を過ごす時ぐらいであり、エルのネグリジェは必要としていなかったのだ。
しかし、ミールから先程の会議の結果を聞かされ、この度エルが夜のお勤めの末席に加わる事が決定した事、そしてそれ故にエル用のネグリジェが必要になったと聞き、その後皆で買い物に行くことが決定した。
そうしてエル用のネグリジェを買いに行くことが決まったと思うと、シアから次なる話題が上がって来た。
それは、俺とエルが婚約した証は何にするか?という事だった。
俺の中では婚約と言えば指輪かな?と思っていたのだが、念のためにこの世界の一般常識としてどのようなものを送るか?と聞いてみたところ、普段身に着けておけるアクセサリーらしい。
貴族同士の場合、もし何かあった時に自身を守る為、もしくは最終手段として自害する為に使える程度の、豪華に作られた短刀を送る事もあるとか。
まぁ、俺なら絶対にそんなものは送らないね!
寧ろそんな場合、俺は全力で助けに行くだろう。
とまぁ、そんなわけで、俺がエルに送る者はアクセサリーという事で決定。
どうせ送るなら常に身に着けていて欲しいから、お店にいってエルに似合いそうな物を探すという事に決定した。
善は急げと、皆で買い物へと出発する事になったのだが、ここで一つ問題がある。
それは、俺達はこの街の何処に目的の店があるかなんて分からないという事だ。
そこでシアに頼んで、宿の受付にいってそれらしい店の場所を聞いてきてもらう事にする。
何故シアに頼んだかというと、シアはとてもフレンドリーなタイプなので、こういう事に向いてそうな気がしたからだ。
俺に頼まれシアが部屋を出て行き、10分程が経過する。
そして…
「お店のある場所までの地図を描いてきてもらったよ!」
バン!と勢いよく扉が開かれ、戻って来たシアはそう言った。
こうして俺達は宿を出発し、シアに地図を見ながら目的地へと案内してもらいながら歩く事30分程。
漸く一つ目の目的地である服屋の店の近くまでやって来た、という訳だ。
そんな道中では、女性陣はエルを囲む様にして歩きながら、これから買う服の色や、エルが着るために必要な羽を通すための加工等、そしてその後に買いに行く予定となっている、エルに似合いそうなアクセサリーについてあれこれと話し合いが続いていた。
その後ろを歩く俺は、女性陣の楽しそうな様子を見守りながら、歩いていた。
そうして先程の曲がり角を曲ってから5分程歩き続けていた俺達は、目的地である服屋へと到着する。
店自体はそう大きくはないのだが、店の雰囲気はすごく貴族が利用しててもおかしくなさそうな、ゴージャスな雰囲気が漂っていた。
早速とばかりに女性陣は店の中へと入って行き、俺もその後を追う。
「いらっしゃいませ。本日はどのような物をお求めでしょうか?」
店の中に入るや否や、女性店員に声を掛けられ、それにミールが答える。
すると店員さんは目的の物が置かれてある場所へと案内を始めるのだが、俺も一緒に行こうとするのをミールに止められた。
「ナツキ様、ここは私たちに任せてください!ナツキ様の喜び、且つエルにピッタリの物を選んで見せますので!」
そういわれ実際に着て見せてもらえるまで楽しみは取っておくことにし、俺は店の入り口付近でゆっくりと待つことにした。
しばらくし、満足する物が見つかったのか、ミールは俺の所へと必要な額をもらいに来たので、聞いた分の額をミールへと渡す。
なんとその額、1200コル!!
ネグリジェ一着にしては高すぎじゃないでしょうかね…
支払いが終わり、ミール、ノア、シア、ミリーの4人はニヤニヤとした表情をしながらこちらに向かってきており、その後ろでは購入した物の入った袋を大事そうに抱えながらも、エルは顔を赤くしていた。
さて、次に向かうはアクセサリーショップ!
またまた地図をもったシアに案内を頼み、俺達は来た道を戻る様に歩き始めた。
どうやら目的地は、最後に曲ったT字路の反対側にあるらしい。
次回 第100話 買い物と登録~後編~
最近前後半に分けてばかりでもうしわけありません。