おかしな家
イースター休暇はイースターの前日、イースター(復活大祭)当日、そしてその翌日までの計三日間だ。
少し長い気もするが国内でも東西南北津々浦々からやってくる我が校ではこのくらいやらないと帰省するのも難しいのだ。
都会の方に住んでいるのなら良いが国の中でも端の方、交通の便もよくない場所に帰るとなると一日あっても足りないかもしれない。
そんな中でレイナード達の故郷はどちらかといえば後者寄りである。
丸一日は言い過ぎだが、今朝がた出発し、実家の最寄駅に着いたのはそろそろ夕方になろうかという時刻。
「やっと着いた……」
「う……長かった……」
斜陽が二人の疲れきった顔を照らしている。
特にレイナードの顔は酷い。
途中の高速車両までは良かったが、後半の鈍行列車に乗り換えてからは最悪だった。固い椅子の狭いスペースに身を寄せながら揺られる旅は身体のあちこちが凝り固まってしまい、中々に辛かった。
なぜナターシャが後半の方が幸せそうな表情をしていたのかレイナードには理解できなかった。
そういった肉体的なものだけではなく、紀行特有のちょっとしたドタバタに巻き込まれたりもしたので、更に精神的にも来るものがあった。その件については追々話すことがあるかもしれないが、今はやめておこう。
そんな理由もあってか久しぶりの里帰りは降車直後から二人の気持ちを軽くしてくれた。
「久しぶりに帰ってきたが……ここは本当になにもないな」
駅構内から見える景色は山と田んぼばかりで、ずっと見ていると遠近感が狂ってくる。
「それが、いいよね」
「いいか? ……まぁ、落ち着くけどな」
最近はオズという最先端機器を扱う現場だけあって学校の設備も最新式だし、市街地の街並みも大分都会じみてきた。
そういう景観に慣れてしまうとこういう自然の中の駅というのも、確かに一つの魅力に感じる。
幼い頃から好きな場所ではあったが、こうして久々に見るとまた格別だ。
空気が旨い。
大きく深呼吸し、帰郷したという事実だけで胸がいっぱいのレイナードとナターシャは駅を出る。
しかし、そうなると今度はちょっと不安を覚える。
やはり、活気がない。
駅前の大通りからしてこうも寂れていると故郷の行く末が不安になってくる。
一応駅前はまだ街としての体裁が残る方であり通り沿いにはぽつぽつと店が立ち並んでいるが、それでも、まだこれからが夕方の掻き入れ時だというのにシャッターの閉まっている店がいくつもある。イースターの時期限定で商売しないというのならいいが、どこからどう見てもそうではない店もある。
そんなシャッターの降りた店の一つにレイナードは用事があったのだが、閉まっているし、出来ればナターシャを連れていきたくもない。今回はスルーするとしよう。
「じゃあ行くか。荷物持つよ」
「い、いいよ。自分で持つからっ!」
「遠慮するな。それにお前に持たせてたらリア姉に何言われるかわからないからな」
「う……じゃあこっちだけ。ありがと」
「おぅ」
ナターシャの荷物を肩に担ぐと二人は歩き出した。
☆
先へ進むにつれて商店が減り、民家が増えてくる。その民家も所々に空きがある。
この辺りの山間部は、その昔湯治場として栄えていたらしいが最近では見る影もなく、残されたものといえば所々から湧き出る温泉と微妙に開けた土地くらいのものだ。
レイナード達の住んでいた孤児院はここから更に歩きで三十分ほど丘の上の方へと登っていく。普通の人は車を使うところなのだが、あの場所で育ったレイナード達にとってはいつもの散歩道だ。
しかし、久しぶりに歩くと意外とキツかったようでレイナードの額には汗が浮いている。
荷物を持っていない分を差し引いてもナターシャの方が足取りは軽やかかもしれない。そのことに気付いたレイナードは荷物を担ぎ直すと少し歩を速めた。彼だって男子なのだ。
近代的なアスファルトの道路も民家が連なる石畳の道もなくなってきた頃にようやくその家が姿を現す。
丘の中腹よりもやや上。
周りはさらに高い山々に囲まれているが駅周辺の街並みとさらにその向こうに広がる田園の風景は良く見える。
そんな場所にレイナード達の生まれ育った孤児院はたっている。
外壁には馬や騎士、街娘や道化師などが刻まれていて、所々がはげており、住人の手入れも虚しくどんどんと悲壮さを増していく。それでもまだ廃屋のようにならないのは庭を彩る花々のおかげだろうか。
窓は(こちらから見えるだけでも)各階に三つはあり、屋根裏にも一つついている。奥には礼拝堂も見える。見えないがその更に奥には普通の家には絶対ないであろう30メートル四方の大きな倉庫がある。孤児院という名称で見るとどうかは知らないが単純に一軒家として見ればかなり大きい部類に入るだろう。湯治場・保養地として栄えたいた頃に作られたホテルを改装されたモノだと言われているが、だとすれば納得の大きさともいえる。
庭を通り、玄関へ。
「ただいまっ!」
「……ただいまー」
「おう、久しぶり」
彼らを出迎えたのは長身の女性だった。
「リアお姉ちゃん!」
云って、スポーツ選手のような筋肉のついた均整の取れたプロポーションを誇るその人物の豊満な胸に飛び込むナターシャ。
その頭をよしよしと撫でる彼女の名はデリア・デリンガー。
この孤児院で育ち、そしてまた子供たちの世話をしている年長者だ。言うなればこの孤児院の引率・教師役といったところだろうか。
ちなみにナターシャと同じ苗字ではあるが血の繋がりがあるわけではない。この孤児院にくる際に捨て子や名前の分からない・記録がない子供たちは皆「デリンガー」の姓が与えられるのだ。
そのデリアは今、ナターシャの頭を撫でながらもう一方の手を広げてレイナードが胸に飛び込んでくるのを待っている。
「……ただいま、姉さん」
「なんだ、つれないねぇ、レー坊は」
レイナードは飛びこまないと知り、今度は両手でナターシャの頭を撫でまわす。そこに気恥ずかしさは一切ない。ナターシャやレイナードくらいの年であっても彼女からすれば面倒を見るべき子供であり、弟妹なのだ。
「まぁ、兎に角お帰り。二人とも元気そうだね」
「なんとかね」
「まぁ、色々話も聞きたいけどここじゃなんだね。奥に入んな」
親指で示した居間の方向へ彼女の後ろをついて向かう。さりげなくレイナード達の荷物を持つあたりも気が利くというよりはなんだが男らしい。
そんな実に男らしい彼女は見た目もそうかと云えば随分違う。
さきほども描写したが肉体は実に女性らしい凹凸があるし髪も長く、後ろで括っている長い髪が歩くたびに揺れている。ポニーテイルといえば聞こえはいいが、当人曰く「邪魔臭いから縛ってる」とのこと。
邪魔臭いのなら切ればいいとその昔助言したのだが「……髪は女の命だよ?」と冷え冷えとした目で言われ、それ以降レイナードはそのことには触れないようにしている。
彼女について入った居間には懐かしい香りが充満していた。木と風と人が造りだす“我が家”の匂い。それを取り込む度に帰省したという実感とほっとした落ち着きが生まれる。
レイナードが久しぶりの我が家に和んでいると、来客に気がついた子供達がどこからともなくわらわらとやってきた。
「あっ、レイにーちゃんとナーねーちゃんだ」
「ホントだ」
「わぁ、久しぶり~」
「おみやげは?」
「え、だれ~?」
賑やかにレイナード達を取り巻く子供達。
持ってきたおみやげを取り出すとレイナード達そっちのけでそちらに夢中になっていた。なんともやるせない気持ちにさせてくれる子達である。
レイナード達が学園に行ってからまだ五カ月。そうそう変化はないかと思っていたが、このわずかな期間で随分と大きくなったように感じる。
そして、それ以上に大きな変化もある。
「……また増えた?」
五カ月前には見たことのない子供がちらほらといる。レイナード達を見て不思議そうな顔をしている子供はレイナードにもさっぱり見覚えのない顔だ。
レイナードの言葉に小さく、但ししっかりとデリアは頷いた。
「お前達が出ていってから三人増えたね。まぁ増えたって言ったところでウチなんかまだいいほうさ。もうちょい都会の方だとウチくらいの規模のところでもこの半年で十人近くは増えたって話だからね」
「へぇ」
それはまた、と神妙な面持ちで頷き返すレイナード。
「戦争が終わって十年も経つのに、全く世の中はどうしちまってるのかねぇ」
しみじみと。デリアが目を伏せる。
聞けば、新しく入った子供たち三人中孤児は一人で残り二人は捨て子だそうだ。
戦時中は戦争孤児が増え、こうして経済が再び上向いてきた時でも子供を養えないと捨てる親がいる。世の中はどうしてこうも上手くいかないのだろうか。
しかし、そんな憂いの表情も一瞬のことで、目を上げた時には普段の元気な彼女だった。
「まぁ、辛気臭い話はなしだね。あの子たちはもうウチの子なんだしね」
「……まぁ、それが不幸中の幸いかもな」
レイナードも自分の腰よりも低い位置にある初めて見る子供達の頭をポンと叩く。
自分が育った場所だからこそ、そこには自信を持つことが出来る。
こんな自分を育ててくれたところなのだから。
なんだかんだいいつつもデリアはいい親代わりにだろうし、他の年長者も癖のあるものばかりだが、基本的にはいい人たちだ。
なにもない田舎。しかし言い換えれば自然が多く、のびのびと過ごせるということだ。
ここは子供たちが育つにはいい環境だ。
「……あれ?」
そんな子供達を見ていてあることに気がついた。
「そういえば、エマは――」
「レイっ!」
「ふごっ!?」
どこにいる?
そう問いかけようとしたところでロケットよろしく一人の女の子がレイナードの腹につっこんできた。腹というか鳩尾と表現するのがこの場合適確かもしれない。
容赦のないその一撃がここを出ていくまでの日々を走馬灯のように思い出させてくれた。しかしなんとか彼岸にいかずに済んだレイナードは怒るわけでもなく弾丸少女に挨拶をする。
「久しぶりだな、エマ。相変わらず元気そうでなによりだ」
「うむ!」
他の子にしたように頭をなでてやると気持ち良さそうに目を細める。
しばらくレイナードの掌を堪能した後、エマが言う。
「どうだ、レイ? わたしをよめにする決心はついたかっ!?」
「エマはオレには勿体ないよ」
「そうかもしれないっ! けど、わたしはレイのおよめさんになってやる!」
自身満々に胸を張る。しかしあくまで幼児体型なので反らす胸より腹の方が出ているが。
エマ・デリンガーは現在八歳の元気な女の子で、昔からレイナードの後を着いて回る『レイナード大好きっ娘』だ。
といってもそれが恋心なのか憧れなのかは定かではない。しかし本人はそれが恋だと盲信して、猛進している。
そういう理由からこうして顔を合わせる度に結婚の申し込みをされているわけである。
レイナードとしても恋愛感情なのか憧れなのかまではわからないが、そういった“好意”を向けられていることはわかる。この大変微笑ましい求婚を無碍にするわけにもいかず毎回こうしてはぐらかしているわけである。まぁ、レイナードにも同じような経験があるため言うに言えず、出来るだけ角のたたない結末を迎えられれば良いとは思っている。
しかし、どうにか平穏に事をいなそうとするレイナードに対し、真っ向から彼女の考えを否定してかかる人物もいる。
「あ、あんまレーくんを困らせちゃダメだよ!」
必死の形相で止めに入るナターシャ。否定するでも許容するでもないレイナードの反応は彼女からしてみれば脅威以外の何物でもない。穿った見方としてはレイナードはエマが大人になるのを待っているようにも見えてしまう。そのため、ナターシャとしてはこの恋敵をなんとかしたいところだ。
しかし、それはエマにしたって同じことで、
「む……出たな、ナターシャ!」
対抗心をむき出しにナターシャを威嚇するエマ。幼児を相手に本気で食ってかかるナターシャを見れば、流石に彼女の想いにも気付けそうなものだがしかし、レイナードの目にはただただ仲睦まじい姉妹のように映っている。
妹が姉に大口を叩く。
「ふーん、今にみていろ! 六年後にはわたしもフェアリーテイル学園にいくからな!」
「いいんじゃないか? まぁ、その頃にはオレ達はいないんだけどな」
「大丈夫だ! レイは頭いいから先生になってるだろうし」
彼女の中で先生とはイコール頭の良い人というイメージがあるらしく、頭の良い人間は総じて先生になるものだと思っている。
「それにナターシャはバカだからその頃も学校にいるかもしれないしな!」
「ば、バカじゃないもん!」
子供に似合わない容赦ない皮肉たっぷりな台詞にナターシャも相手が子供であることを忘れて本気で言いかえす。
そんな様子が微笑ましくもなんだが可哀想に見えてきたので、レイナードがついに助け舟を出した。
「ナターシャは凄いぞ? 十四番目に頭いいんだ」
「十四番なんて最下位ではないか!」
この孤児院は現在十二人の子供がいる。レイナードとナターシャを入れれば十四人。その人数でいれば確かに十四という順位は低いかもしれない。この孤児院という世界しか知らない彼女にとってはそれが全てなのだ。
「こことは人数が違うんだよ。百人以上いる中で十四番目なんだから凄いんだぞ」
「百人か……」
「わかるか、百?」
「うむ。この間習ったのだ」
そういうと両手を開閉し数えはじめた。
「むぅ……そうか。それは凄いな、バカではないな」
そうして百という数の大きさに気づいた彼女はナターシャがバカではないという事実を受け入れた。根は素直で真面目な子なのだ。
「では二人に負けないように私も頭良くなるぞ!」
「あぁ、そうするといい」
そういって頭をもう一度撫でているとエマが目を輝かせて請いてきた。
「そのためにも勉強を教えてくれ、レイ!」
「あぁ、あとでな」
「わ、私が教えてあげるから!」
「えー、レイがいいー」
そんなやりとりを聞きつけたのかおみやげに夢中になっていた子供達が取り囲みにやってきた。
「勉強なんかしてないで遊ぼうよ、エマちゃん! レイ兄ちゃんもナー姉ちゃんも!」
子供の誰かがそう言ったのをきっかけに、そうだそうだと激しく攻められる帰省組。これにはナターシャだけならずレイナードも腰が引けてしまう。子供の“遊ぶ”はオズの操縦以上にハードだ。授業でたまに行われる体力トレーニングになんとかついていけてるのは孤児院に居た時に毎日子供達と追いかけっこをさせられていたからだとレイナードは思っている。
「さ、先におばあちゃんに挨拶してくるから」
「その後でな」
「え~」
そうやって場を濁し、子供達のブーイングを背後に受けながらレイナードとナターシャは逃げるように居間を後にした。
この孤児院は居住区から離れていることもあってか広いスペースを活用でき、家としては十分すぎる広さを持つということは先ほど話した通りだが、じゃあ皆が皆、至極快適に何の不満もなく暮らしているかといえばそういうわけでもない。
その最たるモノが個室である。
子供達はいくつかある寝室を一室数人で使っている。
子供達の中には一番年下の子よりもレイナードに年の近い子もいる。そういった年頃になれば自分個人の部屋を持ちたくなるというものだ。かくいうレイナードも――なまじ大人びていて物事に理解があったので口にはしなかったもの――自分の部屋を持ちたいと思ったものだ。その夢は学生となった今になってやっと叶えられた(寮は狭いが一人部屋だ)。
この孤児院で個室を持つのは現在三人しかいない。
デリアと、もう一人の成人を迎えつつもまだ孤児院にいる姉、そして院長である。
そんな院長の個室――院長室は玄関から居間を抜け、さらに奥にいくとある。
「失礼します」
院長室といえば聞こえがいいが簡素なベットと執務机、クローゼットがある程度の本当にちょっとした個室だ。
レイナードとナターシャのお目当ての自分は執務机に座っていたが、二人の訪問を受けて、身体の向きを変える。
その顔を見て、レイナードは頭を下げ、ナターシャはエマよろしく彼女目掛けて駆けだした。
「御無沙汰してます、先生」
「おばーちゃん、久しぶり!」
「あらあら」
胸に飛び込んでくるナターシャを柔和な笑みで抱きとめるのはこの孤児院の院長、ヘルミーナ・デリンガーだ。
この孤児院にデリンガー性が多いのは、出生記録などが見つからない、自分の名前や苗字がわからない子供たちに彼女が親代わりとなり名づけるからだ。
ナターシャも名前だけは覚えていたが苗字は覚えてなかったようで、院長の苗字を戴いた。それが関係しているのかどうかは知らないがナターシャは多分一番ヘルミーナにくっついていた記憶がある。
「ナーちゃんはいつまで経っても甘えん坊さんね。おばあちゃん嬉しいわ」
にっこにっこと常に笑顔を絶やさない彼女が表情を変えたところをレイナードは只の一度しか見たことがない。
「レイくんはレイくんですっかり大人になっちゃって」
「まだ一年も経ってないですよ、先生」
「うふふ、年を取るとね、時間が過ぎるのが早く感じるの。子供達の成長もおんなじね」
「け、けど、まだまだ元気そうで安心した、よ?」
「そうね、ナターシャのお嫁姿を見るまではまだまだ死ねないものね」
「お、お嫁さんっ!?」
急にあたふたとし始めた幼馴染。こちらにちらちらと送られる視線を救難信号だと勘違いしたレイナード。
「その前にデリア姉さんたちをどうにかすべきじゃないか?」
「何か言ったかい?」
振り返ると悪魔のような笑みを浮かべたデリアがたっていた。
これはマズイ、と冷や汗がレイナードの頬を垂れる。あれこれ策を巡らせるも最終的に出てきたのは下手なおべっかだけだった。
「姉さんみたいな美人が結婚できない今のご時世はおかしい、って話をしてたのさ」
「やかましい」
おべっかを見透かされて、脳天チョップが下る。
叩かれた頭が割れたかのように痛い。
この暴力が結婚できない理由かもしれないとレイナードは割と本気でそう思った。
「イテテ……で、わざわざ挨拶の最中に入ってくるなんて何の用?」
「外で子供達が待ってるよ」
そういって指差した先は窓の外。子供達が元気に走り回っている姿が見える。エマ他数人は窓の外からこちらを覗きこんでたりもする。
「……部屋で遊んだ方がいいんじゃないか?」
「子供は風の子って言うじゃないか。天気がいいんだから外で遊ぶのは当然さ」
「…………」
あの輪に交ざれというのは16才の少年少女には酷なハナシだ。しかし、期待した面持ちでこちらを見ているエマたちの期待を裏切るわけにもいかない。
「……わかったよ、今行くよ」
「が、がんばる……っ!」
諦めたようなレイナードと期待に応えようと闘志を燃やすナターシャ。
「みんなお前らが来たからっていつもよりテンション高いからね。ま、頑張りな」
「…………」
「…………」
「うふふ」
デリアの死刑宣告のようなその言葉にレイナードもナターシャも唾を飲み、ヘルミーナ院長だけはただただ朗らかに笑っていた。




