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本日の商品『光(ヒカリ)苔』

どうしたら破壊されないのでしょうか?

カーレン・ミューアシュが破壊されたランプの残骸を片付けながらつぶやいた。


モタマチムイ遺跡国にあるシレルフィールの城塞都市は国内最大級の遺跡でまだまだ未発掘の場所も多い。

超古代文明の遺跡なのでわからないところも沢山あるのである。


シレルフィール遺跡特有の無機質の通路に人が何人かいるようだ。


「やっぱり壊されちまったか?」

シレルフィール遺跡管理組合主任エルアルド・アーチが床に散らばる強化ガラスの残骸を見ながら言った。


中央城塞につながる通路の発掘作業にあたりいつも通り魔法式と機械式の灯りを冒険者(いせきたんさくにん)とシレルフィール遺跡管理組合員たちが設置したのだが、守護ロボットにより破壊されてしまい、ラッカ天鉱国で使われているランプを作っているランプ職人のカーレンが呼ばれたのであるが…やはり破壊されまくっているようだ。


「なにかいい素材があるといいのですが。」

崩れた通路の石?を拾い上げながらカーレンは言った。

「変わったもんって言えば、明正屋だな。」

エルアルドが腕組みして言った。

「そうなのですか?」

カーレンがエルアルドを見上げて言った。


外部の人間のカーレンは知らないが、内部の人間は変わったものを扱っているところは明正屋と言う認識を持っているようである。


もちろん、明正屋の店主が聞いたら苦笑いであろう。

別に変わったものばかり集めてはいないのであるが…。


シレルフィール遺跡の目の前に万屋明正屋と言う店舗がある、謎のグッズをはじめ下着や携帯食料、人材派遣にお取り寄せ等様々なことを行ってる何でも屋である。


「おおー、これが守護の女神トゥーセリア様お気に入りの染みハニーですな!」

神学者、キイン・オランが菓子棚の前で叫んでいる時、入り口が開いた。


「すみません、灯りのもとになる素材がありますか?」

カーレンが聞いた。

「はい、えーとヘリウスが言ってた、あの中央城塞の灯りのことですか?」

店主がそういいながら箱を出した。


店主、天見 舞と冒険者(いせきたんさくにん)ヘリウス・ジエルキスは婚約者同士なので情報共有しているようである。


「あ、知ってたんですね、実はランプをことごとく壊されてしまって、なにかいい素材無いですか?」

カーレンは言った。


カーレンはヌーツ帝国出身のランプ職人である。

可愛いでも実用性のある彼女のランプはラッカ天鉱国の坑道街でも人気な商品でそこの空間にあった灯りを提供すると評判な若手職人なのである。


「ではこの(ヒカリ)苔はいかがですか?」

店主が箱を開けた。


なかにはなんのへんてつもないこけが青々と入っていた。


「光るのですか?」

カーレンが箱をのぞきこんだ。

キインも興味をひかれたのかのぞきこんでいる。

店主が店内カーテンを閉めての灯りを消した。


薄暗い店内に箱のこけが輝き出した。


「すごいですね、昼間のように光ってる。」

カーレンは感心したようにいった。

「はい、二次界地下のルーアミーア王国産の光ごけですから、あそこの天井は光ごけで朝夕があるんです、この昼光苔(チュウコウコケ)は昼間光ります、こちらの夜光苔(ヤコウコケ)は夜に光る種類なので今は光りません。」

店主がそういってもうひとつの箱を出した。

昼光苔の箱の光に照らされてやや銀がかった苔は少しも光っていない。

「まさに神秘ですな、トゥーセリア様の御衣(オンゾ)に飾りたいような麗しい光ですぞ。」

キインが訳のわからないことを言った。


カーレンはその言葉になにかを思い付いたようだ。


「栽培とか維持は簡単なんですよ。」

店主が灯りをつけながら言った。

「あの、両方ともいただきます。」

カーレンがキラキラした目で言った。


なんだかんだ言って彼女はクリエーターなのである。

新しい素材があれば使ってみたいのが心情であろう。


「おお、いいじゃねーか。」

エルアルドは感心した。

例の通路の灯りは見事に保たれている。

「素晴らしいですね、私は個人的にほしいです。」

シレルフィール遺跡管理組合員キャリサ・ダータンスは言った。


通路には守護の女神トゥーセリアのミニチュア像が光を放ちいくつも配置されていた。


昼光苔のものと夜光苔のものがあるらしく今は光ってないものもある。


「よかったです。」

カーレンは胸を撫で下ろした。


通路の石と同じような素材に光苔を張り付けたのである…トゥーセリア像にしたのはキインの御衣の発言からヒントを得たようだ。


守護ロボットはトゥーセリア像は破壊しないプログラムになっているようだ、興味深い話である。


何はともあれ発掘は再開できるようである。


余談であるがトゥーセリア様の光るミニチュア像はキャリサの発案により明正屋で土産物として置かれ好評をはくしている。


トゥーセリア本人(本神?)はあー、ダメージです、恥ずかしいです。と言ってあんまり中央城塞の通路や観光客が持っているところにはいかないようだ。


カーレンは次の製作も光苔でいこうと思っているようだ。


本日の商品

光苔

リオース商会㈱園芸部

昼光苔と夜光苔がございますので気をつけて栽培なさってください。

光苔用肥料、土その他の取り扱いもございますのでご用命くださいませ。


皆様の心豊かな園芸ライフをお祈りいたします。

ご購入ありがとうございます。

駄文を読んでいただきありがとうございます♪

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