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本日の商品 『簡単変装セット』

シレルフィール遺跡をかしこまられずにもう一度個人的に見たい。

モタマチムイ遺跡国の王族、モタ・ハウチウスは思った。


キシギディル大陸のモタマチムイ遺跡国にある最大の遺跡シレルフィール城塞都市は

王族訪問の緊張感から解放されいつもの活気を取り戻していた。


シレルフィール遺跡の前には万屋明正屋と言う店舗がある。

謎の商品から携帯食料、カタログ通販、商品の取り寄せ、

人材派遣(守護戦士限定)まで行う最近本当に万屋状態の店舗である。


「そういえば前回は行きそこねたな。」

ハウチウスは呟いた。


今回はお忍びなので王族特有の薄紫の長い髪と青銀と金のオッドアイは帽子と眼鏡で隠している。


「いらっしゃいませ…ああ、王子様。」

店主が言った。

「なんでわかったんですか?」

ハウチウスは聞いた。

「え?珍しい、目の色だなと思ってたので。」

店主が言った。


前回の訪問時店主は野次馬をしに言ったのだ。

恋人の冒険者(いせきたんさきにん)ヘリウス・ジエルキスは忙しかったので深い所まではいかなかったが、

シレルフィール遺跡管理組合登録業者の彼女は遺跡にいつでも入れるのである。


そのときに登録業者パスは携帯してないとまずいのであるが…。

冒険者(いせきたんさきにん)も考古学者も遺跡管理組合員もそれぞれパスを持っている。


それによっていつどこにいるのかわかるしくみになっている。

いきている遺跡シレルフィールはそれだけ危ないのである。


ちなみに一般観光客も受付で入場料を払い、

入場パスを受け取って首にかけるようになっている、

もちろん、どこにいるかわかるようにである。

仮に無銭入場した場合シレルフィール遺跡の守護ロボットや戦闘ロボットに捕まって

誰にも気がつかれずそのままと言うこともあり得る、

ぜひ、きちんと入場料は払ってもらいたい。


「店長は騒がないのですね。」

ほっとしたようにハウチウスは言った。


王族などどこにいっても騒がれるものである。


「ええ、まあ。」

店主は微笑んだ。


王族など、シレルフィール遺跡に一人こもってるし、その夫の王弟殿下も来るのでたいした感動もないようだ。


それに明正和次元の日本など、皇族がそこいら中にいてありがたみが薄れるのである。


もちろん、上のひとはあえないのであるが。


「店長にばれるんじゃ、お忍びでシレルフィール遺跡が見られないか…。」

ハウチウスは呟いた。


「変装ですか?ならいいグッズが届いてますよ。」

店主は言った。


最近、多彩な相談が持ち込まれるので変わった商品もおいてみようと取り寄せて見たのだ。

何だかんだいって、シレルフィール遺跡と言えば万屋明正屋と言う認識が観光客にあり、遺跡関係者もなにかと利用するので

余裕が出てきたとも言えよう。


「簡単変装セットです。」

店主はそういって白のカツラとへんてつもない眼鏡をカウンターに出した。


「どうやって使うんですか?」

ハウチウスはカツラを取り上げ言った。

短いのでどうみても髪の長いハウチウスには入りそうにない。

しかも白なので目立ちそうである。


「かぶってください。」

店主は微笑んだ。


カツラを被るとシュルシュルと髪が自動的に収納されていく。


「質量を無視ですか?」

ハウチウスはびっくりした。


「色と髪がたはこのついてるピンで調整できます。」

店主がめだたないようについてるピンを調整すると茶色の短い髪になった。


鏡を店主が渡す。


「すごいですね、後は目さえなんとかなれば。」

ハウチウスは言った。

「眼鏡をかけてください横の飾りで調整すれば好きな色になります。」

店主が調整した。


「青い目にしてみました。」

店主が言った。


どこをどうみても平凡な青年である。


「すごいですね。」

ハウチウスは感心した。


こんな不思議グッズ見たことがないとハウチウスは思った。


「まあ、パーティグッズなので完全変装じゃないですけど、横からよく、見られると目の色がばれますのでお気をつけて。」

店主は言った。


これで、パーティグッズ?明正和次元とは面白い、いつかいきたいとハウチウスは思った。



入場料を払いパスをもらったハウチウスに案内人が紹介された。


一般観光客もつくサービスなのである。

なにせ、シレルフィール遺跡はいきてるので観光客がフリーでいける区域は限られているのだ。


「花山一樹です、よろしくお願い致します。」

守護戦士二級、花山一樹は言った。


守護戦士までガイドに駆り出される毎日なのである。


「よろしくお願いしますね。」

ハウチウスはルンルンだった。


前回会った、遺跡管理組合員も受付も

まったくハウチウスに気がつかなかったのだ。


これからお忍びが楽になると思ったのであろう。


「では、今、旬スポット、東城塞遺跡の領主の墓です。」

一樹が言った。


複雑に張り巡らされた通路から誰か出てくる。


「あ?先生、ミーミアさん。」

一樹が言った。


いつもの師弟コンビである。

考古学者、快黎・グーレラーシャと考古学生デリア・ミーミアだ。


「観光客ですか?こんにちはー。」

デリアが明るく言った。

「ようこそ、シレルフィール遺跡へ。」

快黎ものんきに言った。


彼女らは領主の墓の調査に来ていたのだ。


「こんにちは。」

顔見知りのデリアでさえ気がつかないのだからすごいとハウチウスは思った。


「………殿下、なんで変装何てしてるんですか?」

その時デリアが囁いた。


ハウチウスはおののいた。

なぜ、デリアにわかったのであろうか?


「口止め料はしらゆきふんわりエビ一千、限定、マーボー味と染みハニー、限定、もも味で良いですよ。」

デリアは言った。


デリアにとって色よりも顔立ちがものを言うようだ。


「デリアさん、妹さん夫婦が旅行準備をしてましたよ、シレルフィール遺跡にいくといってました、この情報でなんとかしてください。」

ハウチウスはデリアに囁いた。

「ええ?お菓子は?…妹夫婦が来る?」

デリアは言った。


「…気にならないのですか?」

ハウチウスが言った。

「殿下、お菓子ですよ。」

デリアはスルーした。


さっきより表情が固い

何か因縁でもあるのだろうか?


「まあ、いいですけど、一樹さん、案内してください。」

ハウチウスは言った。


何はともあれ、ハウチウス王子殿下は

念願通り気がねなく見学できたようである。


簡単変装セットはこれからも活用されることであろう。


本日の商品

簡単変装セット

パーティーグッズ★アーケラポン㈲

本商品は玩具でございます。

それ以外の御使用はしないでください。

姉妹品に本格変装セットがございます。

不良品は交換致します。

皆様の楽しいパーティーシーンをお手伝いいたします。

御利用ありがとうございました。

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