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本日の商品 『特殊調味料』

やっぱり、外国だよね、故郷のご飯が食べたいな。

新人 冒険者(いせきたんさくにん)ロシェルア・ニノミは思った。


キシギディル大陸のモタマチムイ遺跡国、最大のシレルフィール遺跡は今、大盛況である。

観光客も沢山だが、新人 冒険者(いせきたんさくにん)もかなりの人数遺跡管理組合に登録されたのだが。


「オレの故郷はもっと寒いところで、煮込み料理が多かったな。」

新人遺跡管理組合員、デービット・エワスケスが言った。


彼はヒデルキサム大陸のガナイス連邦出身者なのである。


「屋台料理が多いです、魚の串焼き最高ですよ。」

遺跡修復師、ハイッラ・ヴィオラが言った。


「鶏肉の巻き焼き食べたいな。」

ロシェルアは言った。

故郷(グーレラーシャ)の料理で、大好物なのだ。

母親の唯一の得意料理とだったのである。


「まあ、すきなもん食え、オレのおごりだ。」

遺跡管理組合主任エルアルド・アーチが適当な事を言った。


実はもうすぐモタマチムイ遺跡国の王族

モタ・ハウチウスが来るので打ち合わせ中なのだ。


なぜか、食堂『遺跡のおかげ』でやってるのだ。


遺跡内の町みたいなところには店がそこそこあるのである。


モタマチムイ料理中心で海や湖が近い関係で魚料理が多いのだ。


「やっぱり、新人に任せるのが一番だよな。」

エルアルドは言った。


早い話がベテランは王族なんぞ相手にしてる間はないのである。


「はい、アジフライセットお待ちどうさん。」

食堂店主、イェーガ・ルーシエンが言った。


これはこれで美味しいのだが、パンチが足りないとロシェルアは思った。


「おやじ、ラーイセ酒くれ。」

エルアルドが言った。

「お酒は禁止です。」

シレルフィール遺跡管理組合員キャリサ・ダータンスが言った。


エルアルドは肝機能が悪いのだ、懲りないおやじである。


「そんなに食べたければ、自炊すればいいじゃないですか?」

万屋明正屋店主が言った。

またまた、引っ張り出されたのである。

しかもヘリオスに膝上だっこされている。


「調味料が揃わないんです、特にスパイスキャンディが…売ってないんです。」

ロシェルアは嘆いた。


スパイスキャンディは飴にその名の通り

スパイスを練り込んだ棒状もので、

肉に巻き込んでつかったり、折って、煮込み料理に使ったりする、グーレラーシャ人に溺愛の万能調味料なのだ。


「分けてやりてーが、オレも切らしたところでな、ギーデル飴店でこの間大分作ってきたんだが。」

冒険者(いせきたんさくにん)ヘリウス・ジエルキスが店主を膝に抱き上げたまま言った。


飴作りまでするようだ、器用な男である。


「ギーデル飴店?そんな人気店の並んだって早々かえませんよ。」

ロシェルアは言った。


まあ、ギーデル飴店は人気の店なのは確かである。


「店長、てにはいんねぇーのか?」

エルアルドが言った。


何だかんだと面倒見のいいおやじである。


「…わかりました、問い合わせてみますね。」

店主は言った。


シレルフィール遺跡の前に万屋明正屋と言う店舗がある。

謎の商品からお菓子、携帯食糧、カタログ通販、人材派遣(守護戦士限定)まで展開する最近、本当に何でも屋感満載である。


「ギーデル飴店さんですか?」

店主はギーデル飴店に通信した。


『スパイスキャンディですね、はい、ご注文承りました。』

ギーデル飴店、二代目店主イェウス・ギーデルは言った。

「イェウス兄ちゃん、悪いな。」

ヘリウスが顔を出した。


実は、忙しい親にかわり面倒を見てくれたには近所のギーデル飴店のおじさん、おばさんとそのこどもたちだったのだ。


『おー、ヘリオス、お前の彼女可愛いな♪』

イェウスが言った。


まあ、抱き上げまくってるのだから丸わかりであろう。


「ヘリオスさん、恥ずかしいです。」

店主が言った。


ヘリオスが嬉しそうに首筋にキスしたからである。


「イェウス兄ちゃん、来月あたりに帰るから、舞といくな♪」

幸せそうにヘリオスが言った。


店主は真っ赤だが。


「スパイスキャンディ、てに入りました。」

恥ずかしそうに店主が言った。


まだ、恋人のいないロシェルアは思った。


私もいつかあんな恋人に抱き上げてもらいたいな、手料理を作って食べさせるんだ。…と


しかし、ロシェルアは知らない、店主が料理は得意ではなく、まだ、ヘリオスに手料理を食べさせてないどころか、逆にヘリオスに手料理を食べさせてもらってると言うことを。


本当に器用な男である。


「昔からスパイスキャンディありますよ、こんなにきれいじゃなかったですけど。」

守護の女神トゥーセリアが届いたスパイスキャンディを見ながら言った。


人気店のスパイスキャンディは色とりどりで、割るとき用の溝まで芸術的だ。


「できました!」

ロシェルアが明正屋の店主のキッチンを借りて作ったのは鶏肉のスパイスキャンディまきだ。


「うまい!」

ヘリオスは言った。

「甘くて辛くて美味しいです。」

トゥーセリアが言った。


「あ、あまいのに辛い。」

オレにはあわねーとエルアルドは思った。


「そうですね。」

地上の料理は奥深いと水人族のキャリサは思った。


「あははは。」

ご飯がこんな感じだと結婚したとき困るなと店主は思った。


だが、まだあまいのである、スパイスハニーやスパイスヨーグルトと言う特殊調味料はじめ異国料理の数々が待っているのだ。


ぜひ、来月のジエルキス家訪問時には堪能してもらいたい。


「美味しい。」

ロシェルアは幸せそうな顔をした。


何はともあれ、故郷の味は大事である。

エネルギーを注入した新人 冒険者(いせきたんさくにん)の今後に期待したい。


本日の商品

スパイスキャンディ

ギーデル飴店

唐辛子、サフラン、こしょう、他、季節商品ございます。

分割用スリットでおわりいただけると、一つ約10グラムです。

本商品は手作りのため、

冷暗所に保管のうえ消費期限内に

ご使用ください。

甘い幸せをあなたに。

ご贈答、結婚式用飴タワーはギーデル飴店をご用命ください。

地方発送承ります。

ご購入ありがとうございました。

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