本日の商品 『のんびり茶』
どうしましょう!私!恋してしまいましたわ。
女装の考古学者ギアルデス・ハナウアズは思った。
キシギディル大陸のモタマチムイ遺跡国最大のシレルフィール城塞都市遺跡は今新しい人材が集まっている。
なぜなら、通信機ネットで今一番行きたい遺跡No.1に輝いて久しいからだ。
好評価のポイントはなんといっても、常に清潔にた持たれ、冒険者も考古学者も全然怪しくなく、遺跡管理組合がきちんと機能しているからである。
ギルアデスが興味を持ったのも通信機ネットでその美しさに引かれたからである。
彼いや彼女は美しいものが好きである。
それゆえに女装していると言えよう。
「でも、葉月さん女性なのよね。」
ギルアデスは遺跡の床に遺された配線を見ながらため息をついた。
ギルアデスの中で女装している以上、恋愛対象は多分男性である?
「先生、なにか悩みですか?」
新人 冒険者ロシェルア・ニノミが言った。
今回の場所は危なくない北城塞なので新人が配置されたらしい。
「そうよね!悩みなのよ!」
ギルアデスは叫んだ。
気がつくとあの美しい戦扇の舞が目に浮かぶ。
そして、気がつくと守護戦士、五十嵐葉月を 見ているのである。
自分がおかしいのではとギルアデスは思った。
「ええ、この辺りはかつての研究所の跡で作りかけの守護ロボットがよく見つかるんです。」
噂を(想像?)すれば影である。
当の守護戦士、五十嵐葉月が観光客の守護業務方々案内係をしているようだ。
彼女は遺跡を愛しているので他の守護戦士はできないガイドまで出来るらしい。
「そうなんですか?素敵!」
観光客は若い女性の三人組らしい。
遺跡より、格好いい守護戦士に夢中である。
紺の作務衣をきて歩く姿はさわやかだ。
「ガイドさん!いつ仕事終わりですか?」
女性は時には大胆である。
一人の女性が言った。
「一緒に飲みに行かない?」
男なら確実に自分に気があるだろうと誤解するしぐさで言った。
「そうよ!いきましょうよ。」
可愛い系の女性が言った。
その姿にギルアデスの心はざわついた。
「いえ、申し訳ありません、当分業務が残ってまして。」
葉月は微笑んだ。
三人組はぽーっとなった。
ちゃんと同性と分かっているのであろうか?
「先生、ここで発掘されてたんですね。」
葉月が側道で様子を見ていたギルアデスに微笑んだ。
「先生?女性じゃないわよね?」
三人組の一人が言った。
「いいえ、ギルアデス・ハナウアズ先生は女性ですよ。」
葉月は言った。
明正和次元人は他人の主義主張は否定しないように教えられている。
特に日本人はそういう傾向にあると言えよう。
まあ、浸透していないところもあるのだが。
その瞬間、ギルアデスの心は葉月でいっぱいになった。
前のチアスア遺跡でもそう言う差別があったのである。
でも、どうすればいいのかわからない、少しパニック状態なギルアデスであった。
シレルフィール遺跡の前に万屋明正屋と言うお店がある。
謎の商品からカタログ通販、携帯食料、医療品、下着、最近人材斡旋(守護戦士限定)まではじめたのである。
「店長さん!私!どうしたらいいのー!」
ギルアデスは叫んだ。
「どうしたのですか?」
染みハニー、夏限定真夏の不思議ハニー味をたべながら、守護の女神、トゥーセリアが言った。
すっかり入り浸ってるようだ。
「あ、女神様!聞いてください!女性に恋してしまいました!」
ギルアデスが叫んだ。
じつは、この明正屋店主すっかり、シレルフィール遺跡の相談役としてみんなに慕われているのだ。
ギルアデスも若い店主の方が気楽に話せるようである。
「そうですか?落ち着いてください。」
店主は言った。
「ああ、ドキドキします!いい男見たときより!」
ギルアデスが叫んだ。
だが、別に前の遺跡でもいまの遺跡でも男性と付き合ったことはないのである。
むしろ、おかしいくらい男性はいい男どまりで付き合いたいとは思わないらしい。
「え?女性でいいんじゃないですか?」
のんきに染みハニーを食べながらトゥーセリアが言った。
「トゥーセリア様…まあいいです、ギルアデスさんも落ち着いてください、このお茶でもどうぞ。」
店主が時空保存パックから
緑色の液体を注いだ。
緑茶の香気が漂う。
「美味しいわ…。」
ギルアデスは気持ちが落ち着いたようだ。
「新製品、のんびり茶効きますね。」
店主がそういいながら自分のカップにも注いだ。
「で、葉月さんにいつ抱き上げてもらうんですか?」
キラキラした目でトゥーセリアが言った。
ラーシャ族な女神様は抱き上げてもらう
=恋人になるである。
「え?そんな、恥ずかしい。」
ギルアデスははにかんだ。
「今まで、どんな人を好きになったんですか?やっぱり男性なんですか?」
店主がお茶を飲みながらきいた。
いつも以上にのんびりしているようだ。
…そういえば…この前憧れたのは…私に女男といっていじめた考古学者を
ぶちのめしてくれた、りりしい…女冒険者だったわ。
その前は、いじめっ子にいじめられて泣いてる所をかばってくれた
はねっかえりでお転婆って評判だった女の子よね。
ギアルデスは思った。
つまり、恋愛対象はつねに強い女性だったのである。
「…あら…私、間違ってないんじゃないの。」
ギアルデスは呟いた。
どちらかと言うと、テンパリタイプのギアルデスはこんなに考えた事はない。
研究対象の遺跡も感覚で見ているところがあるのである。
彼女、いや彼は美しい恰好がしたいから、女性の格好をした事を思い出した。
その格好に合わせる為に女言葉や男が恋愛対象と思い込むことにしたのだ。
ほっこりのんびりとした時間が流れた。
「店長さん!ガイドブックください。」
扉があいて葉月が飛び込んできた。
ガイド時購入希望者がいるためである。
「はい、何冊ですか?」
店主が言った。
「十冊お願いします…ハナウアズ先生?今日はよく会いますね。」
葉月が微笑んだ。
「え、ええ!」
ギアルデスは答えた。
ドキドキがとまらない…あらぬ事を口走ってしまいそうである。
「ギアルデスさん、お茶をどうぞ。」
店主が落ち着いて追加を注いだ。
「あ、ありがとう。」
ギアルデスはすがるような思いで飲んだ。
気持ちが落ち着く…。
けして、やばい薬がはいっているわけではないのである。
「今度、チルスア古城遺跡の事も教えてくださいね。」
ガイドブックを購入した葉月が言った。
遺跡マニアな守護戦士は他の遺跡にも興味があるのである。
「ええ、よろこんで。」
ギアルデスは微笑んだ。
チルスア古城遺跡ならよく知ってるから実際いってもいいわよね。
デートかしら?
ギルデアスは嬉しくなった。
葉月が帰った後、ギアルデスはお茶を購入した。
落ちついて、今後のプランを立てる為である。
「…葉月さん、いつ、ギアルデスさんだきあげるんですかね?」
染みハニーでハチミツをすくって食べながらトゥーセリアが言った。
「逆はないんですか?」
店主が聞いた。
「葉月さんのほうが筋肉ありますから。」
トゥーセリアが微笑んだ。
筋肉あるなしでどちらが抱き上げるか決めるのだろうか?
グーレラーシャ傭兵国の当代国王陛下は夫をときどきだきあげているそうだが…。
謎である。
なにはともあれ、気持ちを落ち着けて、仕事も恋愛も励んでもらいたいものである。
本日の商品
のんびり茶
天の川茶園
夏の新作茶です。
本商品は天然素材で心が落ちつく効果が出るような商品です。
ごく稀にアレルギー症状(発疹、発赤等)
強い眠気等見られる事がございます。
その時はただちに飲用をやめ、医師に相談して下さい。
皆様のリラックスがお手伝いできる事をこころから祈っております。




