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本日の商品 『寝袋』

遺跡あらし…でもないんだろうけどこんなところまで困るんだよね。

快黎カイリ・グーレラーシャは思った。


キシギディル大陸のモタマチムイ遺跡国最大のシレルフィール城塞都市遺跡は

今、絶賛観光ブームの渦に巻き込まれていた。


ふだんは最大の遺跡なので学生が修学旅行で見るくらい

それも浅い所をみるくらいなのに

今、発掘しているところまではいりこみ

シレルフィール遺跡管理組合はじめ、考古学者、冒険者いせきたんさくにんたちを困惑させていた。


「私、泊まり込もうかな?」

快黎は言った。


快黎の遺跡への愛は故郷に居たときから

続いている。


昔は故郷の世界の『黎明(レイメイ)真王(シンオウ)』の研究をしていた。

自分の名前に黎明(レイメイ)がはいってるし。

翼人名が『(ココロヨ)黎明(レイメイ)』で

親近感があったからだ。


故郷では『黎明の真王』研究の権威として知られている。


快黎は実は翼人だが、ほとんど翼を出して行動しない、遺跡の探索の邪魔になるからである。

根っからの遺跡大好き女子なのである。


まあ、子持ちだが。

グーレラーシャ傭兵国にいる旦那アルティウスとの結婚で色々あったようだが、

語るのはそのうちとしよう。


「先生~床にねるんですか~。」

考古学生デリア・ミーミアが言った。

「そうよね、差し入れ小袋じゃ外は見えないしね。」

快黎は言った。

「差し入れ小袋?ねるのなら、寝袋だ!」

いつのまにか発掘地域に来ていた

老人(男)が言った。

「寝袋ね、いいかも、ところでここは関係者以外立ち入り禁止です。」

快黎は言った。


発掘現場まで入って怪我をされると困るのだ。


関係者、つまりシレルフィール遺跡管理組合に登録ずみの考古学者、冒険者(いせきたんさくにん)、管理組合員等の事であろう。


「やれやれ、わしのこともしらんのか?」

老人(男)はため息をついた。


もちろん、知らないのである。

世の中、自分のことは知っていて当たり前という人は少なからずいるのである。


「お祖父ちゃん!何でこんなところまで入り込んでるのさ!」

最近復帰した冒険者(いせきたんさくにん)ニルザード・デーランが叫んだ。


シレルフィール遺跡に仕掛けられている罠の一つに引っ掛かり大ケガし長期に渡り療養生活を送ってたのだ。


「ニルザード!わしは誰だ!」

老人(男)はとぼけた事を言った。

「ハルアード・デーランでしょう、(もと)冒険者(いせきたんさくにん)の。」

ニルザードはため息をついた。

「そうだ!なぜ知らん!」

老人(男)改めハルアードが言った。

「時代は変わったんだよ…ほらお祖父ちゃんいくよ。」

ニルザードはハルアードの手をにぎった。

「ふ、わしをしらんなどもぐりだぞ!」

ハルアードは言った。

「じゃ、先生、デリアちゃんまたね。」

ニルザードはため息をつきながら手を引いて去っていった。


「ニルザードさん大変そうでしたね。」

デリアは他人事のように言った。


まあ、他人事であるが。


「そうだね、寝袋か…遺跡内だし丈夫のがいいし明正屋行こうかな?」

快黎は言った。


シレルフィール遺跡のすぐそばに

万屋明正屋という店舗があり、謎の商品から携帯食料、お菓子、医療品、下着等とりあつかい、はてはカタログショッピングまでうけおっている。


「寝袋ですか?」

店主は言った。

「うん、寝袋、なるべく頑丈なのがいいな。」

快黎が言った。

「私、この生チョコ煎餅買います!」

強引についてきたデリアが言った。


生チョコ煎餅…ダラデー製菓…変な菓子が売りの企業である。

美味しいのだろうか?


「はい、かしこまりました。」

店主がお代を受け取った。

「美味しそうですね。」

最近、明正屋入り浸りのトゥーセリアが

染みハニーを食べながら言った。

限定アンデスメロン味と書いてある。

「一緒に食べましょう♪」

デリアは言った。


二人は菓子友らしい。


「……デリアちゃん、最近、お菓子しかたべてない。」

快黎は心配そうに言った。

彼女にとっては可愛い弟子なのである。


「そのうち、あの一日分の野菜スナックバー薦めますから、はい、寝袋です。」

店主がカウンターにだした。

「へぇ、広げると大きくなるのね?」

快黎が言った。

「ええ、そうなんです、ハイパワーの魔法爆弾が落ちても大丈夫!最終戦争も生き残れますと言うのが売りらしいです。」

店主が言った。


恐ろしい商品である。


「へぇ、ずいぶん、強い商品なんだね、トトキクリエイト?」

快黎が言った。

「残念ながらそうです。」

店主が言った。


トトキクリエイトは素晴らしい商品を作るが

突飛な商品を作ることでも有名である。


「いいけどね、二つちょうだい、デリアちゃんも寝るから。」

快黎が言った。

「ええ?私もですか?」

デリアが言った。


当然、弟子は巻き込まれるものである。


その夜、二人はシレルフィール遺跡に宿泊した。


「ひっ!なんだよあれ?」

大変、困惑したと

夜、見回りにきたシレルフィール遺跡管理組合デービッド・エワスケスは朝主任エルアルド・アーチに報告した。


薄暗い遺跡のなかでボーッと光る

ふたつの物体。

不気味だったらしい。


近づいて、二人と気がついたが。


使用時には是非、遺跡管理組合に一報いれてほしい。


寝心地はよかったようだ。


本日の商品

寝袋ストロングG

トトキクリエイト㈱

ハイパワー魔法爆弾をはじめ最終戦争まで

ガードできます。

夜間はボンヤリ光りますので

つまずき防止できます。

おていれは軽く絞った布で

軽くふいてください。

楽しいアウトドアをお祈りいたします。

快黎の黎明の真王ネタは別ユーザー飛人参の短編でえがかれています。


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