幕間 冒険者(いせきたんさくにん)グーレラーシャに帰る。
まったく、故郷に帰るのなんて
何年ぶりだろう?
冒険者ヘリウス・ジエルキスは思った。
ヒデルキサム大陸とキシギディル大陸の海峡を挟んだ両側にグーレラーシャ傭兵国がある。
その王都ラーシャにはいくつもの中庭を有するほぼ平屋(一部二階あり。)の壮大な王宮がある。
その隣にさまざまな地形や建物を作った修練所をゆうする『王立傭兵学校』があり、王族をはじめ、庶民まで傭兵になるために入学して勉強するのだ。
傭兵学校は各地に設置されていて、たとえ、文官でもここにコースがあるため通うのだ。
ヘリウスの家は王都にあり、庶民だが王宮の側の傭兵学校だったのだ。
「無駄筋肉つけて、すらりとかっこよかったのに跡形もない。」
ライテウス・ダファヤは言った。
この男は王族に房中術を教える一族のはしくれで名門の息子だが、傭兵学校より前の幼年学校時代からの親友である。
「オレは今、冒険者だからな、スピードはいらねぇんだよ。」
ヘリウスは言った。
中等剣士の資格の更新をし忘れていて
この友人がワザワザ、シレルフィールまで迎えにきて、ヘリウスを連行したのである。
「お前、モテたのに…ピエリケス・セウみたいな筋肉男に…。」
ライテウスが言った。
ピエリケスは二人の共通の友人で筋骨隆々の大男だ。
ただし、職業は王宮料理人だが。
「別にモテなくてもいいや…?」
ヘリウスは店主の事を思い出した。
おかしいな、なぜ、女性の話をしていて思い出すとヘリウスは思った。
無自覚は歯がゆいものである。
「おお、筋肉ついたな!昔は優男風だったが!」
資格更新のために傭兵学校にいくと
かつての恩師に言われた。
関係ない話だが。
かの教官は奇跡の学年といわれ
多量の高等戦士をだした学年卒業だ。
有名どころは天槍クーシャルーカ
戦闘文官、ラズデアナ等である。
教官本人も高等戦士だが
全然有名じゃないとよく、謙遜している。
「お前、今、剣士じゃないよな。」
教官が言った。
一通り剣技を見てからである。
「変ですよね。」
ヘリウスが言った。
更新用の標準剣を置いた。
どこをどう見ても剣が軽すぎる。
まるで、菜箸を振るっているようだ。
言い過ぎだろうか?
「なあ、お前、今は何を使ってるんだ?」
教官が言った。
ヘリウスが主に使っているのは巨大な
天鉱合金のハンマーだ。
剣と正装を売って作ったものである。
「ハンマーです。」
ヘリウスは差し入れ小袋の中から出した。
「お前、今どこから…まあ、いい、ハンマーなら、鎚士に変更しろ、鎚士の方はオレではないから紹介状を書くからそこに行け。」
教官が言った。
かくして、ヘリウスは
高等鎚士として新しい資格を手に入れた。
二つ名は『機械停止のヘリウス』である。
昔は『俊敏のヘリウス』だったのだが。
「中等剣士のお前が高等鎚士か…時代は変わったな。」
帰りに挨拶によったヘリウスに教官が言った。
「そうだ、教官、お土産を世話になった人に買おうとおもってるのですが、グーレラーシャ人じゃ無いんですよ、飴で大丈夫ですかね。」
ヘリウスが言った。
教官はこの武骨男に春が来たのを感じた。
「……女ができたのか?なら日除けローブを買っていって刺繍してもらえば良いじゃないか?」
教官は言った。
グーレラーシャ傭兵国は日射しが強いので日除けローブをきて外にでる。
その日除けローブは愛しい人のものと自分のものに女性が刺繍を入れると言う習慣がある。
もちろん、苦手な女性もいるので代替え業者もいるのであるが。
「……店長、舞に日除けローブを刺繍してもらう?」
ヘリウスは少し妄想した。
そこで正気に戻ったヘリウス。
まだ、自覚しきれてないヘリウスだ。
「店長?まあ、あとで、嫁に聞いておく、飴ならギーデル飴屋がおすすめだぞ。」
教官が言った。
ギーデル飴屋は果汁いりの飴であまり甘くないと外部受けがいい。
グーレラーシャ人も行列ができるほど、はまっている。
「ありがとうございます、そうだ、教官大昔のグーレラーシャ人だった地方神がシレルフィール遺跡にいるんですが。」
ヘリウスが言った。
「それは、お役所に申請しろ、オレは分からない。」
教官が言った。
まあ、当たり前である。
取り合えず、ヘリウスはシレルフィール遺跡に戻るようだ。
帰る前にぜひ、実家によっていってもらいたいものである。
言うまでもなくよったようだ。
恋に無自覚のグーレラーシャ人は
今後どのような行動をとるのか要観察であろう。
本日の商品
シレルフィール城塞都市遺跡を離れてるためなし。
今回のお土産
果汁いり細工飴
ギーデル飴屋
日除けローブ
ハスシェル衣服店
刺繍セット
手芸のファーリア
ハチミツタルト
ブーンブ菓子店
シフォンケーキ
栗羊羹
異世界菓子パティスリーイシカワ王都本店
グーレラーシャの焼き菓子
ヘリウスのお母さんの手作り




