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本日の商品 『落書き防止システム ラッカー君』

本当にこれで大丈夫なのでしょうか?

ネアーシャ・ドファサは思った。


キシギディル大陸のモタマチムイ遺跡国

最大のシレルフィール城塞都市遺跡では今

落書き撲滅大作戦中である。


「本当にこれで大丈夫ですかね?」

落書き防止システムラッカー君と書かれたスプレー缶を壁に吹き付けながら考古学者の助手ネアーシャは言った。

「そう願いたいよ。」

考古学者ティス・バートンも一所懸命壁にスプレーしている。


今日はシレルフィール城塞都市遺跡関係者総出で遺跡への落書き防止 ラッカーを塗っているところである。


シレルフィール城塞都市遺跡のすぐ前に

小さな店がある。


万屋明正屋である。


謎の商品からお菓子、医療品まで売るシレルフィール城塞都市遺跡関係者御用達の店である。


「この、落書き防止 ラッカー君がならばもしかしたら落書きを撲滅できるかも知れません。」


恒例のシレルフィール遺跡管理組合の会合に出席した、万屋明正屋の店主天見 舞が言った。


なんでも、自宅の塀に落書きされまくられた魔法製品クリエーターがムカついて、

力一杯えげつない機能をもりこんで作ったそうだ。


その効能を聞いて取り合えずわらをもすがる

思いでシレルフィール遺跡関係者はしてみることにしたのである。


「酒のみていなぁ。」

シレルフィール遺跡管理組合主任の

エルアルド・アーチが言った。

「先生に怒られますよ。」

シレルフィール遺跡管理組合員の

キャリサ・ダータンスが言った。


エルアルドは酒飲み過ぎで肝機能が低下しているのである。


「ネアーシャ君、この間、東城塞で発見された、領主の墓のそばに、トゥーセリアの印のある墓を見つけたんだ、終わったら調べにいこうか?」

ティスが言った。

「おお、先生、ついにデートか?」

エルアルドが口をはさんだ。


ティスが自らの助手のネアーシャに惚れてることは本人たちを除いて広く知られたおり、いつ、ティスがネアーシャにプロポーズするかまで賭けの対象になっていた。


「デートだといいんだけど、単なる仕事だよ。」

ティスがため息をついた。

「なにか言いました?」

一所懸命壁にスプレーしていたネアーシャが言った。


聞いていなかったようだ。


「報われねーな。」

エルアルドは言った。


賭けはもっと後に変更しようとおもった。

どうしようもない親父である。


「追加持ってきましたよ。」

新人(シンジン)冒険者(いせきたんさくにん)ヒエルクリフ・フェアススが褐色の顔をのぞかせた。

台車には沢山の落書き防止システムラッカーが乗っている。

「おお、悪いな。」

エルアルドが言った。


最大の遺跡の壁はまだまだある。


さて、みんなの努力は報われるのだろうか?



数日後、眠るどこかの男性に忍び寄る影。

影はひらりぴたと男性の顔にくっついた。


そして、爽やかかもしれない朝。


「なんじゃこりゃ~!」

男性は叫んだ。


彼の額には『シレルフィール遺跡みたどー!』と言う文字が黒々と踊っていた。


彼が昨日シレルフィール遺跡で書いてきた文字そのままである。


「カッコ悪い、落とさないと。」

彼は呟いた。


果たして落ちるのだろうか?


「落ちない!なんでさ!」

彼は言った。


一時間洗いまくったのにうすれる様子すらない。


「ああ、仕事どうしよう…。」

彼はおもった。

客商売な彼はこんな顔見せられないのである。


『シレルフィール遺跡管理組合にご連絡を落書きをとれます。』

その時、顔の落書きがしゃべった。


え?と彼は思った。

ああ、みんなしてるのになんてついてないんだ!

彼はそう思った。


「追跡アプリだとこの辺なんだがよ。」

エルアルドが言った。

「そうですね。」

通信機を確認しながらキャリサが言った。


実はあの落書き防止システムラッカー君を事前に塗っておくと落書きが疑似生命体になり。

書いた相手が眠ってる間に目立つところに張り付くというものだった。


「一時間おきにシレルフィール遺跡管理組合にご連絡を落書きをとれますッて言わせてるんですけどね。」

キャリサが言った。


何人かは来たのだが、来ない人たちを手分けして訪問中何だ。


「お、光ったぞ!」

エルアルドが言った。


ちょうど、フードをかぶって出てきた男の顔が光った。

「なにさ、今度は!?」

男はたじろいだ。


一時間おきに落書きにしゃべられ、男は憔悴ぎみだった。


「さすが、明正屋の商品だぜ。」

エルアルドは感心した。


十メートル以内に落書き防止システム追跡をつかった相手がいると、落書きが光って知らせるのだ。


「すみません、シレルフィール遺跡管理組合のものです、お話聞かせてください。」

キャリサが言った。

「……悪かったよ、悪かったから、この落書きとってください!」

男は逃げずに拝んだ。


よっぽどこりたようである。

そう、落書き疑似生命体は

専用おとしラッカーで落とすか、

新陳代謝を待つしかないのである。


シレルフィール城塞都市遺跡の落書きは激減した。

その代わり、落書きするとのろいがかけられるという噂がたち、しばらく、少しだけ好奇心旺盛の観光客が増えたのである。


人の心理はよくわからないものだ。


本日の商品

落書きを殲滅!

落書き防止システムラッカー君

㈲落書き殲滅委員会

どんな、インクにも反応します。

本商品は専用落としを使用しない限り

一年間有効です。

一時間おきに指定されたセリフをしゃべります。

落書きに言わせる文章は専用アプリ

落書き追跡君で入力できます。

十メートル以内に落書き追跡君アプリ使用者が入ると落書きが光ります。

落書き落とし時は

落書き落とし専用ラッカーをご使用ください。

落書き殲滅をお祈りいたします。

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