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本日の商品 『番犬君P』

なんで、遺跡に落書きなんてするんだろう?

ティス・ハードンは思った。


キシギディル大陸のモタマチムイ遺跡国

最大の遺跡はシレルフィールの城塞都市遺跡は今、心ない観光客の落書き問題に頭を悩ませていた。


「トゥーセリアの祠の壁まで~、貴重な資料なのに~」

ティスは祠を調べながら嘆いた。


シレルフィールの城塞都市の守護の女神

トゥーセリアは防衛システムの名前に使われるくらいここでは信仰されてたらしい。


「うーん、見張ってたいくらいですけど」

キャリサ・ダータンスは言った。

シレルフィール遺跡管理組合と書かれたマントをトーガ風にまとっている。

遺跡管理組合の紅一点だ。


「見張るっていってもな、いつでもいられないし」

ティスは遺跡の状態をみながらいった。


研究の為なら何年間でも泊まるが

今は東城塞の領主の墓を

調査したいのが先にたつ


キャリサはクリアウォッシュEX と書かれた

洗浄剤ですこしづつよごれ落としている。

丁寧に丁寧に落としている。


落ちすぎない洗浄剤は遺跡管理組合で

箱買いしたらしい。

そんなに必要とは情けない話である。


「ぼくもこの祠には最初から発掘に関わったと言う思い入れがあるし…何とかしたいんだよね」

ティスは腕組みした。


「いい洗剤を明正屋で紹介してもらいました、すぐ、書かれるのでいたちごっこです。」

キャリサが疲れたようにつぶやいた。


そうだ、明正屋だ、あそこならなんとかしてくれるとみんな思った。


「先生! 明正屋ならなにかあるかも知れません! 」

助手のネーアシャ・ドファザが手をはーいと上げた。

「ぼくもそうおもう行ってみよう」

ティスは早足で歩きだした。


善は急げてある。


シレルフィール遺跡のすぐ側に

万屋明正屋と言う店がある。

謎の商品から下着やお菓子まで扱っているの店だ。


「いらっしゃ……」

店主が言いかけたところでティスがカウンターに近づいてきた。

「店長さん、監視できるグッズ無いかな? 」

ティスは前置きもなく聞いた。

「な、なにを監視するんですか? 」

店主はたじろいだ、あまりの迫力もあるが監視などと言われれば事情知らない店主は驚いて当然である。


犯罪に使われたら不味いのである。


「もちろん!落書き犯人の監視だよ」

ティスが周知の事実のごとく力説した。

遺跡を愛する男ティスに取っては当たり前のことであろう。

「ああ、その監視ですかぁ、よかった」

店主は胸をなでおろした。

「なんかあるんですか? 」

ティスが迫力満点に迫ってきた。

「あります、大体これくらいなんですが。」

店主はややたじろぎながらカウンターに商品を並べた。


監視カメラが主のようだ、色々な形の商品がいくつか並んだ。


「これ、おもしろいな♪」

ティスはキラキラした目で手にとった。

柴犬型の自走式監視カメラのようである。

「番犬君Pです、いいかもしれませんね。」

店主がそういいながらパンフレットを差し出した。

「番犬なんだ、映像はどこに送られるの? 動力源は? 保証は? 」

ティスは矢継ぎ早に質問しだした。


さすが、研究者聞かずには買えないようだ。

店主はパンフレットをみながらやっと説明している。


なんせ普段扱わない監視カメラである。

何故あるのか、それは店主も遺跡を愛する人だからあの状態に心を痛めていたのである。


「うん、納得した一台購入するよ、動力が空気中の魔力って言うのがエコで良いよね」

ティスはもちろん購入は自費である。

さすが遺跡を愛する男である。

「通信機は一台の設定で良いですか?」

店主が説明書を見ながら聞いた。

「うーん、とりあえずね」

とりあえず、つかってみて効果があったらシレルフィール遺跡管理組合に購入させようと思ったようである。


数日後、動きがあった。


「うわー! なんだよ! 」

男が番犬君Pに追いかけられている。

手にはスプレー缶がにぎられている!


「ワンワンワン」

柴犬な番犬君Pはスゴい勢いで追っている。


男は思った。

自分のシレルフィール遺跡訪問記念とここに俺様ありと書きたかっただけなのになんで犬に追われてるんだ、みんなやってるのに俺ばかりこんな目に!


自分勝手な考えてある。


「くっそー!」

息を切らしながら男は番犬君を撒こうとバリケードをまたいだ。


バリケードがあるのは立ち入り禁止だからあるのである。


「シンニュウシャ、カクニン、コウソクシマス」

感情のこもらない声がして古代の叡智防衛システムトゥーセリアの警護ロボットが目の前に現れた。


「わあ~!! 」

男は叫んだ。

俺死ぬかも~! と思った。


ガツ言う音がしてロボットが男を捕まえる

寸前で停止した。


「ふう、間に合ったか! 」

ヘリウス・ジエルキスがハンマーで警護ロボットに衝撃を与えたのだ。

荒そうに見えるが的確な位置を叩いているのでロボットの破損はない。


「ヘリウスさん、落書き犯人です、拘束してください」

ティスが後ろから迫力満点でやってきた。

「あ?ああ、でもたちあがれるのか? 」

ヘリウスは心配そうに男を立ち上がらせた。


落書き犯人は完璧に腰が抜けて動けないようだ。

その回りを番犬君Pがくるくる回って吠えている。


落書き犯人はヘリウスにお姫様抱っこをされてシレルフィール遺跡管理組合の詰め所に連行された。


男が男にお姫様抱っこさぞかしダメージだっただろう。


自業自得である。


シレルフィール遺跡管理組合は番犬君Pの

導入を検討中だ。まだ、落書きするひとはあとを立たない。


根本解決をして世界の遺産を気持ちよくみてもらいたいものである。


本日の商品

番犬君P(パニック)自走式

ハナビラスガーデアン(株)

監視カメラで犯罪抑制。

映像は端末及び通信機に送れます。

(受信アプリ設定にて)

空気中の魔力で動くためエネルギー切れなし。

決められた犯罪行為に反応してどこまでも

追いかけます。

犯罪を撲滅して平和な社会生活をサポートします。

ご購入ありがとうごさいました。

この商品は長期保証対象商品です。

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