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大食い地獄  作者: 夏北 沖冬
お笑い芸人の場合
9/50

アフリカ(4)


 我々6人は手錠をされ、1本のロープでつながれた。

 玄関を出たボス警官は、左手に布袋を高く掲げ、右手の拡声器を使い、群衆に向かって呼びかけた。すぐさま、人々から拍手と歓声が沸き起こり、踊りだす者までいた。

 加藤氏の通訳によると、「この者達には、厳重な罰を与えるので、道を空けて欲しい。協力してくれれば、この者達から取り上げたお金をばらまく」というような内容だったらしい。

 警官に両サイドをガードされた我々は、鉄格子のはめられた護送車に、無事乗り込むことができた。ゆっくりと車が発進すると、人々は道路脇まで後ずさり、拳を空に向かって突き上げたり、指笛を吹いたりして、遠巻きに見送るだけだった。

 そして我々の乗った車の、後ろにつけていたパトカーの窓から、小銭がまかれ始めた。車の通過した後にできた空間は、あっという間に這いつくばる人達で埋め尽くされ、土ぼこりが舞い上がり、見えなくなった。


 空港に向かうならば、東の海岸方向へ進むはずだが、車は西側の山岳地帯を登り始めた。

「どうして空港へ向かわないんだ。それと、早く手錠を外してくれないか」

 加藤氏を介し、同乗の警官に説明を求めた。

「皆さんのことは、昨晩のニュースで、この国中で知れ渡っています。空港内で、混乱を招く恐れがあるため、峠を越えた国境の村まで、お送りします。その村から、隣国の空港までバスが出ています。そして、手錠の鍵は、後ろのパトカーに乗っている警部が持っていますので、人気の無い所まで行きましたら合流して、手錠を外します」

 申し訳なさそうに通訳する加藤氏の話に、ひとまずほっとした。

 


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